目白ヨシノ治療院

目白ヨシノ治療院は新宿区下落、目白駅から徒歩3分、マニュアルメディシンを用いたマッサージ、手技治療,リハビリの専門治療院です。病院では特に問題のなかったつらい症状、日常生活で困る痛み、肩こりや腰痛、首の痛み、またはよく分からない目の奥の痛みや頭痛など機能障害に関する問題の治療を行っています。

03-6908-3434

〶161-0033
東京都新宿区下落合3-2-16池龍マンション401

松ぼっくり通信 2018年 7月号

松ぼっくり通信 2018年 7月号

一日では治りません!

 毎日の仕事の負担で手関節の腱鞘炎になってから1年ほど過ぎました。患者さんの足を持ち上げて診察する際に、不意に体を動かされると手首が痛みます。痛みが出にくくなるように手の持ち方を変えたり、手順を変えたりしているうちに、少しずつ良くなってきました。「薄紙をはがすように」という表現がぴったりで、治療のプロがそれでいいの?と思われるかもしれませんが、時間のかかるものはかかる!ことをお話しします。

1 医療が変わってきている

 20世紀は医学にとって大きな進歩の時代でした。歯ぐきから出血する壊血病や歩けなくなる脚気。むかしはなぞの病気でしたが、不足したビタミンを補給する治療法が見つかります。不治の病と思われていた結核やらい病。病気を引き起こす細菌が発見され、治すための抗生物質が発明されます。そのほか、かつては命を奪い、恐れられていた病気の治療法が次々と見つかり、医学がこのまま進歩していけば人類は病気から解放され、誰もが幸せに長生きができるようになる。お医者さんもふくめ、みんながそう思える時代があったのです。その反面、このクスリ、この治療法で治るというわかりやすい説明に慣れてしまって、どんなからだの不調にも治す方法があるはずだと思い込みが生まれてきました。それも手軽に、簡単に。

 ところが長生きが当たり前となった現在、病気で亡くなる人は激減したものの、毎日になにがしかの不調を訴えて病院を訪れる方はむしろ増えています。そしてこういう相談に対しては、地味に一歩一歩進めていくような解決策が必要な場合が多いのです。

2 できないことはできない

 ときどき「一発で治してください!」と言う患者さんがいます。これは困ります。また、「旅行に行くので」「試合に間に合うように」治してほしいという相談も困ります。こういうとき、どのお医者さんも心の中で(それができたら苦労しないよ~)とつぶやいているはずです。電気製品やロボットなら部品を取り換えてすぐに修理できますが、人間の体は生きている細胞でできています。細胞が治るのには時間が必要です。故障の仕方と治療の善し悪しで変わると思いますが、数週間かかることがあれば、数年もかかることもあります。あるいは良くはできるが、すっきり治らない場合もたくさんあります。とくに長生きすることで故障が起きた場合、老化そのものを治すことはできないので、良くなってもそれなりで、人によっては満足できないこともあります。お医者さんがいつも100%期待に沿えないのはどうしてなのか。なぜ必ず治せないのか。それは「治る力」には限界があるからです。

3 治る力を利用する

 ビタミン剤や抗生物質の治療はわかりやすく、クスリだけで治ったように見えますが、じつは「治る力」を補強しているにすぎません。栄養の欠乏や特殊な細菌の性質があって治癒力が十分に働かないとき、それを手助けする薬があるとからだは治ってきます。ちょうど家の補修工事中に道具と材料を十分に補給して、職人さんにボーナスをはずむようなものです。このように薬やほかの治療法も手助けはできるのですが、治しているのは修理を担当する細胞(職人さん)なので、細胞の元気度のちがいで仕事は早くも遅くもなります。

 また、故障の程度によっても変わってくるでしょう。壁のペンキ塗りぐらいなら数日ですみますが、腐った土台を取り換えるような大仕事では数か月に及ぶこともあるはずです。職人さんも、早いけど少し仕事が粗いとか、ゆっくりだけど仕事がていねいだとか個性があります。これが治癒力の個人差になります。

 年齢も関係します。年をとると修理を担当する細胞自体も年をとり、数が減ってきます。最近、私もすり傷や切り傷の治りが遅くなった気がして、年齢にはやっぱり逆らえないなあと思ったりします。

 この治癒力をうまく利用しようとするのが治療なので、治癒力の限界は医学の限界になります。だから切断した足がまた生えてくることはないし、脊髄損傷後の完全麻痺が回復することもありません。また長生きに上限があるのもこのためです。

4 「治る」より「元気になる」ことを考えよう

 家の補修工事の話に戻ります。施主さんの心配りも十分、職人さんは多少年はいっているがベストを尽くしてくれました。雨漏りも治ったし、配管も新しくして台所やお風呂の使い勝手も格段に改善できました。目的は十分に達していますが、でも新築に戻ったわけではありません。あちこちに古びた部分が残っていますし、近所のピカピカの家に比べれば見劣りがします。欲を言ったらきりがないけれど、予算があったらもう少し手を入れるところもあったと心残りも感じています。

 しかし、この家で長く暮らし、いろいろな経験をしてきました。柱のキズ一つにも思い出があります。家が変わるように、住む人の生活も変わります。これからどういう生活をするかは住む人にかかっています。充実して元気な毎日を送る。それは築年数に関係なく、暮らし方次第でできるのだと思います。

 

ねりまインクワイアラー 136 先生って

 クリニックのスタッフが4月から小学校の先生になって旅立ちました。風の便りでは、毎朝4時半起きで準備をしているのだそう。大変だと聞いていたけれど、想像以上です。就労時間が長く、休みも少なく、気苦労が多いのに?と思いますが、それでもやりがいの感じられる仕事なのでしょうね。

« »

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です