目白ヨシノ治療院

目白ヨシノ治療院は新宿区下落、目白駅から徒歩3分、マニュアルメディシンを用いたマッサージ、手技治療,リハビリの専門治療院です。病院では特に問題のなかったつらい症状、日常生活で困る痛み、肩こりや腰痛、首の痛み、またはよく分からない目の奥の痛みや頭痛など機能障害に関する問題の治療を行っています。

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松ぼっくり通信電子版
高野台松本クリニックの院長、松本不二生(ふじお)先生が体にまつわるあれこれを書いた松ぼっくり通信。読めばカラダに役立つ、読むサプリです

高野台松本クリニック 177-0035 練馬区高野台1-3-7NFプラザⅡ三階 
℡03-5372-7773

(整形外科・リハビリテーション科・漢方外来

松ぼっくり通信

松ぼっくり通信 2025年年 10月号

不動が体に与える影響

私が入院したようなリハビリ病院では①患者本人がリハビリを一生懸命やれるように環境・設備を整えている②医師、看護師、理学・作業・言語の3療法士(PT/OT/ST)、ソーシャルワーカー、介護福祉士+サポートスタッフ(栄養士、施設メンテナンス、清掃スタッフなど)全員が、どうやったら患者さんが気持ちよく過ごせて、リハビリ(からだの回復)に専念できる環境を作るか考えているのが特徴でした。「病気ではなく病人、それも入院前までふつうの暮らしをしていた人たちに寄り添い、励まし、手助けする」ことが徹底されているのを入院中に実感しました。

それでも入院生活の肉体・精神的負担は大きかったです。とくにベッド上でじっとしている時間が長いこと(入院直後の時期)が影響しています。現在入院されている方・今後入院の可能性のある方向けに不動の影響(急に動かなくなるだけで調子をくずす)と対策を挙げていきます。今は元気という人もよろしければご参考にしてください。

1 関節が固くなる

動かさないだけで関節まわりの筋肉・じん帯の弾力が失われます。縮まったところは伸ばすと痛いので、じっとしているだけでも節々が痛くなってきます。

対策・・・かべやベッド・椅子を利用してストレッチを行う。狭いところでも工夫次第でいろいろなことができるのを実感しました。

2 姿勢が悪くなる

1と似ていますが、股関節・くびから背中まわりの筋肉が縮まってくると本人の意図に関わらず姿勢が崩れてきます。私も気をつけていましたが、肩こりや首の痛みが出てきたので対策を立てました。

対策・・・ストレッチ+テニスボールマッサージ(クリニックホームページに詳細)が有効です。入院した後、家族にテニスボール(靴下上の袋にテニスボールを入れたもの)を持ってきてもらい、ベッド上で使いやっと一息つけました。リハビリ病院では療法士さんと外の散歩に行けたので、これも助かりました。

3 内臓の働きが落ちる

内臓も体を動かすことで刺激を受けてちゃんと働くようにできています。とくに消化器は影響を受けやすいようです。便秘薬を飲む前にまず体を動かしましょう。

4 むくむ(皮ふ・皮下組織)

皮ふ・皮下組織も動かさないだけでむくみ、固くなります。下肢の静脈瘤や肝臓・心疾患・内服薬の影響でむくみが出やすい人は特に要注意。全身のリンパの流れを良くするためにできるだけからだを動かす機会を作ることです。病院の環境でも、いろいろな工夫をすればむくみの予防はできると思います。

5 あたまが煮詰まる

ぼける・元気がなくなるなど言葉を探しましたが『煮詰まる』がいちばんぴったりくる感覚でした。入院というだけで心配・不安は尽きません。お見舞いの人、(そんな必要はないのに)入院仲間や病院スタッフのちょっとした言動や表情を気にしてしまう、ゆったりと構えようと思ってもなかなかできない自分が情けなくなります。

解決策・・・からだを動かすこと。リハビリ病院だったからか、検査や治療のない時間帯はわりあい規則が緩く、ちょっとした時間に病院ロビー・病棟内の廊下・リハ室(空いている時間帯のみ)を歩いていても見とがめられませんでした。もちろん走り回ったり、キャッチボールしたりは✖ですが、からだを動かすとあたまの中身も動くことを実感しました。

6 知的活動

今の時代、パソコンやスマホを持ち込めばかなりのことができるはずです。デスクワークで過労気味の人は休んだほうがいいかもしれません。ご家族や信頼できる主治医のアドバイスに耳を傾けましょう。私の場合は脳梗塞後の刺激療法の一環としてパソコンを使えたことはむしろ役立った気がします。故障の中身と治療方針で変わるところです。

※入院の理由・からだの状態によって以上のアドバイスがあてはまらない場合もあり、病院で一度確認してください。。

ねりまインクワイアラー 222 寝ていれば楽?

ぐっすり寝たら疲れがとれたという経験は皆さんもあるでしょう。ところが寝ていても疲れが抜けず、かえってあちこちが痛くなった(つらくなった、こってきた)という場合もあるのです。人間のからだは真四角の箱ではなく、おしり・おなかなどがでっぱり肩や股関節が大きく動きます。頭・くび・せなか・手足も独特の形をしていて、筆箱の中の鉛筆のようにじっとしていることはできません。

だから寝返りをして固まった関節や筋肉を動かし、血行を良くし、栄養を受け取り、老廃物を排出する必要があります。大人になって寝相が良くなるのは、疲れをためやすい習慣を無意識に行っているのと同じです。

寝ても疲れが抜けないときは「寝返りをしていないから、からだがこった」可能性を考えてください。眠る前にベッドの上で準備体操をして体をほぐしておくのもいい考えです。

松ぼっくり通信 2025年 9月号

脳出血で入院しました

7月末から脳出血で入院しました。突然の休院でみなさんにはたいへんご迷惑をおかけしました。幸いなことに現在でも歩けるし話せますから、ぼちぼちと外来を再開いたします。

1 発症後の経過

8月号の最後に書いたように、自転車で遠くまで出かけたときに発症したようです。直後は何が起きたのか記憶があいまいで、少しづつ後から思い出せるようになりました。家族や医師仲間のご尽力でリハ病院に入院できて、おもに高次機能障害のリハビリを2か月ほど続けました。

具体的には短期記憶に問題があったものの、ずいぶん良くなりました。まだ言いたい言葉が出にくいことがありますが、大筋では発症前に近づいてきました。みなさんの相談事にできるだけ対処できるよう、がんばっていくつもりです。

2 反省点

自己管理が甘かった・・・血圧が油断すると高くなりがちで、塩分摂取量の管理が甘かったかもしれません。チーズを摂りすぎたのかも。

別次元の高温対策が必要・・・外部環境の変化を軽く考えすぎ。4・5年前と比べて今どきの夏は別次元の暑さ対策が必要と思います。夏の真昼は運動を避けるべきでした。氷冷・水分摂取を徹底すること。夏場は激しい運動を避けなければなりません。

年齢も考える・・・自分の体力・能力を冷静に判断する。からだを使い続けることは大切ですが、使い続けるにはどうすればいいか毎年新しく考え直す必要があります。

患者さん、家族や職場の人たちに迷惑をかけた・・・自分一人のからだではないということを痛感しています。健康管理は個人の責任を越えています。

3 高次機能障害とは

パッと目にはわからないが、話を続けていると微妙につじつまが合わなかったり、身近な家族が本人と話していてわかるようなこと(例:家族の生年月日があやふや)など、微妙だが前とはちがう何かが残っている状態。長期的に改善する可能性もありますが、何らかの影響が残ることもあります。

一般的な脳機能障害(まひ・失語症など)よりずっと微妙な障害ですが、脳の働きに問題が生じているのは同じです。脳はスーパーコンピューターなので回路の一部が壊れてもある程度は自動的に修理できる機能がついています(脳の可塑性といいます)。しかし脳を使い続けることが神経修復を促しますから、あきらめずに使い続けることがとても重要です。脳梗塞・脳出血のリハビリで一番大事なことです。

4 みなさんのお役に立つアドバイスは

ふだんの健康管理がたいせつ・・・脳血管障害(脳梗塞・脳出血)では、血圧の管理が大切です。血圧が高くてもそれだけでは何も起きないように思えますが、長期的には動脈硬化が進行して発症します。私のように親や兄弟がすでに脳血管障害になっているケースではリスクが高いと言えるでしょう。『何も起きないうちに血圧を管理しておく』ことがなによりもたいせつです。

食生活の見直しを・・・日本式の食事だとどうしても塩分摂取が多くなりがちです。コレステロールや血糖値にも気を配りましょう。

忙しさをいいわけにしない・・・今回の私の一番の反省点です。仕事が終わって帰宅し、食事を食べてぐたーとする毎日を送っていました。入院先リハスタッフに勧められて、毎日のリハビリ内容(理学・作業・言語の3種類)、三食の内容・味付け・感想、その時点で改善したところと残っている点、お通じや飲んだ薬、家に戻ってから予想されるできごと・対処法など、どんなことでも大学ノートに毎日書き続けました。ふだんあたりまえだと思っていることもあたりまえでなく、誰かの支え・気づかいがあったからやれていたことがあらためて理解できたのは大きかったです。この経験を未来に活かせ!・・・まだ医師になりたてのころに聞いた話(ジンクス)です。「だいたいの医師は年齢を重ねると、自分の専門領域の病気・ケガになる人が多い」そうです。これまで骨・関節・筋のケガはいっぱいやりましたが、今回はもう一つの専門・リハビリにどっぷり浸かってしまってジンクス通りになりました。なりたくはないが、なってしまったからにはリハビリをたっぷり味わおう!と思いました。自分が患者になったからわかることがいっぱいありました。この経験を、これからの毎日の仕事に活かしていくつもりです。

ねりまインクワイアラー 221 ウロリフトって?

前立腺肥大で頻尿や排尿困難があり、困っている方に朗報です。今まで薬物療法のあとは前立腺切除が次に考える治療法でしたが、そこに新しい方法「ウロリフト」が入りました。

おなかを切らず、尿道からの麻酔で尿道鏡を使って治療します。前立腺を切除せず、特殊な糸を使って前立腺内の尿道を広げるだけなので、手術後から自力排尿が可能で副作用が少ないです。2022年に健康保険適応となりました。興味のある方は泌尿器科の先生にぜひ相談してみてください。入院は1日くらいです。

松ぼっくり通信 2025年 8月号

からだの変形について

めだつ症状がなくてもからだの変形は気になるものです。ほかの人は気にしていなくても、相談内容がプライベートなことだとだれに相談したらいいのか判断に迷います。今回のテーマです。

1 見た目だけで判断してはいけない

望聞問切(ぼうぶんもんせつ)とは、望(見る)聞(聞く)問(問いかける)切(触ってみる)という意味で、むかしのお医者さんの診察のやり方をまとめたものです。顔色や舌のむくみを見たり、訴えを聞いたり、いろいろ質問したり、おなかや手足を触ったりで診たてをする時代が長く続きましたが、現代の医学は検査や診断装置で見えない部分の異常をみつけることができるようになりました。でも見た目だけで判断することからはなれてきた今の医学の中にも、まだまだ見た目に引きずられる部分が残っています。とくに目に触れやすい手足やせなかの相談ではその傾向が目立ちます。

2 外反母趾が悪いのか?

「外反母趾が痛いので何とかしてください!」という相談が多いのですが、足のおや指(やその周り)がなぜ痛くなるかと言えば骨・筋など何かにダメージがあるから痛むわけで、それをみつけて治せば痛みは無くなります。実際の診療で外反母趾の痛みの原因は千差万別です。強調したいのは痛みの原因をみつけるのがたいせつで、見た目上のの「外反母趾」を直すのではないことです。

外反母趾自体は長い時間をかけてしだいに形が変わったものです。はじまりは5歳くらいからと言われていて、靴の中で長いこと圧迫されることで生じていきます。例外的に極度の変形があるときには手術をして直すことがありますが、ほとんどの人では痛みが訴えなので、地味な治療(薬・履物のくふう・マッサージなど)で良くなります。

足に限らずからだの変形はその人の長い人生の軌跡を反映したものです。良くも悪くも木の年輪のようなものですから、元気に暮らせるように今からできるやりくりの方法をみつけることがだいじです。

3 ひざの痛みは変形からくるのか?

変形をどう扱うか?お医者さんでも微妙に考え方がちがいます。典型は変形性関節症によるひざの痛みです。私の場合は、多くの症例でビタミンD内服を行っていますが、これは変形関節症の痛みの原因が骨(軟骨下骨)にあると判断しているからです。でもお医者さんによってヒアルロン酸注射(関節の摩耗を避けるため)や痛み止めを処方したり、手術(半月板の損傷を修復するetc.)をすることもあります。X脚やO脚を直す矯正手術を行う病院もあります。

コロナで緊急事態宣言が出たあたりから骨性のひざの痛みが増えました。試みにビタミンDを内服してもらうとみんな症状が良くなりました。以前は筋肉性の痛みの人が多く、痛みの原因が急速に変化しておどろきました。現在は骨痛・筋痛ともに診ていますが、レントゲンだけにたよらず(変形にまどわされず)触診に基づいた治療を心がけているのは同じです。

4 脊椎の変形

「背骨が曲がっている」と人に言われた、自分で気がついた、検診で指摘されたという相談は多いです。変形を治したいと来院する方もいます。変形はあっても様子を見るだけでいい例が多く、痛みの原因が筋肉にある(疲労の蓄積や運動不足による)ことが大半です。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症では痛みが強いとき一時的に背骨が曲がることがありますが、症状が落ち着くと変形も消えていきます。

思春期にみられる特発性側弯症では、変形は進まないか進んでも目立たないぐらいで落ち着く場合が多いです。肩こりや腰痛がでるときも疲労や使い過ぎでおきているだけなので安心してください。ただし骨密度が低いと変形が進む恐れがあるのでタンパク質やカルシウムの豊富な食事をとり、日光浴でビタミンDを作ってくださいね。年配の方の側弯症でも同様なので、骨粗しょう症対策をしっかりと心がけてください。

5 見た目からはなれて考えてみる

見た目を考えて治療しなければいけない病気や故障もあることは承知しています。ただ日々のこまごました相談を受ける立場から見ると、見た目にとらわれて相談内容がきちんと整理できていない人が珍しくないと感じています。

l  ほんとうに困っているのは何なのか・・・仕事や家事に支障がある?痛くて眠れない?それとも見た目が気になる?自分の相談事は何なのか整理してみよう

l  個人差は異常ではない・・・骨格や形には個性がありますが、それは異常ではありません

l かたちと機能は別・・・きちんと仕事・生活ができていているならどんな形でもそれは正常です

ねりまインクワイアラー 220 ロードレース

東京で自転車のロードレースが行われると聞いて見物に出かけました。朝早く出発、1時間待ったのに通過するのは一瞬!でも本格的なレースの雰囲気は格別だったです。

松ぼっくり通信 2025年 7月号

脳疲労をやりくりする

 疲労の本質は脳の疲労であることがわかってきました。だからどんなことにもくじけない強靭さ・粘り強さ(タフネス)を養うには脳を鍛えることが必要です。今回のテーマです。

1 疲れるのは脳のせい

 ちょっと動いただけで疲れてしまう。気力が続かなくなった。だからつい引っ込み思案になってしまう。こういった相談をよく受けます。貧血、糖尿病や慢性の内臓疾患があれば疲れやすくなりますが、多くの場合は原因がはっきりしないケースです。疲労の原因は長らく筋肉など肉体側にあると考えられてきましたが、最近の研究で疲労の本質は脳の機能であることがわかっています。体の微小なダメージが蓄積していくと、神経を介して脳に情報が伝わります。そして脳がこれ以上のからだのダメージを避けるためにからだにブレーキをかけようとします。これが私たちの感じる疲労の正体です。このブレーキは本来必要なものですが、脳自体が弱ってくるとすぐにブレーキを踏むようになりがちです。からだは適度な刺激を受けることで元気になっていくものですが、十分な刺激を受けるより前にブレーキを踏んでしまうと元気になる機会を失ってしまうのです。

2 脳にも栄養(脂肪)存在する

 脳は血液で運ばれてくるブドウ糖を使って仕事をしています。ところが長時間の運動(マラソンなど)をするときには、脳内の脂肪(ミエリンという組織内にある)を分解して神経の栄養源にしていることがわかってきました。体の脂肪が長時間の運動に備えて蓄えられているのと同じく、脳の脂肪も脳を長時間使用できるように備えられているのです。

エネルギー源としてブドウ糖から脂肪への切り替えが起きるのは細く長く使用したときですので、筋肉なら短距離走や重量挙げよりサッカーやマラソン、脳ならばストレス少なめでのんびりと続けられる作業が脂肪燃焼に向いており、脳が疲れにくいと言えるでしょう。そして脳が疲れにくくなれば、結果的に体の持久力も高まっていきます。

3 からだで脳を鍛える

 脳のトレーニングでだいじなのは、受け身のトレーニング(テレビを見る、ネットを見るなど)ではなく自発的なトレーニング(自分から働きかけてなにかをするもの)を多く取り入れることでしょう。そのほうがたくさんの脳内ネットワークを使用しますから効果が大きくなります。

 からだを動かす作業はどんなことでも脳の大半を利用するので脳トレとして効率的です。たとえば冷蔵庫の中身を調べながら夕方の献立を組み立て、スーパーに行き食材を選定購入し、段取りを考えて調理し味付けを調整、配膳や片付けをスマートに行えば広範に脳の機能を使っています。日常生活全般(たとえば庭の手入れ・風呂そうじ)や趣味も同じで、自分なりの工夫や計画(いつ・どのように)を立てて行動すれば立派な脳トレです。もちろん運動全般でも同様、考えながらやることで立派な脳トレとなるでしょう。

4 心で脳を鍛える

びくびく・ドキドキからはなれる

 長いこと診療して思うのは、症状以上に不安が患者さんを苦しめているケースが多いことです。「これからどうなるのだろう?」「仕事や学校に影響が出るのでは?」「じつは悪い病気(がんそのほか)が隠れているのでは?」と考える人もいるでしょう。でも考えすぎは良くありません。それ自体がストレスになります。悪い病気でなければのんびりかまえましょう。後から見ればたいていのことはなんとかなっています。

一意専心

 たくさんの用事を抱えているときでも、結局は一つずつ片付ければいいだけです。マルチタスク(同時にいくつかのことをやる)はかっこよく見えますが、脳には負担です。複雑なことも小さく分解して少しずつやれば意外とスムーズにできるものです。

休むときは休もう

 これは忘れがちです。ほんとうに疲れたらちゃんと休みましょう。

長嶋さんを見習おう

 脳梗塞になった長嶋さんは周りがびっくりするくらいリハビリに励み、同病の人たちを励ましたそうです。リハビリをやり続けたことはウソをつきません。心の持久力を上げれば体の持久力も上がります。ふだんの暮らしでも長嶋さんを見習いたいですね。

ねりまインクワイアラー 21 フラット登山

 飛騨高山で、昔の巡礼道や田舎道をとことこ歩きました。高いところはお寺(千光寺)くらい、これってハイキング?ウォーキング?登ることを目的としない山歩きをフラット登山と呼ぶそうです。

松ぼっくり通信 2025年 6月号

ふだん考えていること お話しします

仕事が忙しいときものんびりしたときもありますが、ぽっかり時間が空くといろいろ考えます。今回のお話です。

1 きちんとケアをしたらどれくらい体がもつのか?

患者さんたちにはセルフケアが大事だと伝えています。五年十年で考えればきちんとケアをしているか否かで体の状態はまったくちがってきますが、三十年四十年で見るとどうでしょうか?ハーバード大学の卒業生を対象にした調査では長生きの度合いや体の調子ではっきりしたちがいがあることがわかりました。でも私が気になるのは、「ストレッチを続けていれば体はいつまでもやわらかいのか?」とか「ランニングを続けていれば90歳になっても走り続けられるのか?」といったことなのです。バレエのように柔軟性が必要なアーチスト・アスリートの方たちを見ていると、日ごろからストレッチをやる効果がはっきりとあるのだなと感じます。手入れを続けることで手足の関節はかなり柔らかさが保てますが、せぼね(脊椎)は年と共に硬くなる方が多いようです。それでも日常の生活動作には肩・ひざ・股関節の影響が大きいので、やはりストレッチは有効です。

ランニングの場合、海外では101歳でフルマラソンを完走した人がいます。マラソン大会に参加すると70歳以上の参加者が増えているのを実感します。たしかに記録は落ちてきますが、走ることを楽しむ気持ちがあれば意外と長く続けられるのではという気がしています。さすがに90代は?と思いますが。日に当たるのでビタミンD補給もばっちりです。

2 「お客様」より参加者になろう

患者さんに今後の見通しを伝えたとき、反応が大きく二つに分かれます。一つ目は「これから良くなるために何をしたらいいのですか?」、二つ目は「いつごろ治りますか?」と聞いてくる場合です。筋肉や関節の故障の回復期は、患者さん自身がからだを動かし硬いところをほぐし弱いところを強くしなければなりません。病院にたよりきりではだめです。だから二つ目の質問を聞くとだいじょうぶ?と思ってしまいます。

私事ですが5年前に足のけがをして以来あきらめずに動きストレッチを続けていると、毎日(あれ少しやわらかくなったな!)(ちょっと前より楽に動ける!)と感じます。まさに「けがは一瞬・リハビリは一生」ですね。長くかかっても良くなることがいっぱいありますから、あきらめずに続けることが大切です。自分のからだの責任者はあくまでも自分!積極的に体を動かし、整えましょう。

3 転び始めたら要注意

ちょっと前までとても元気だった人が「転んでしまった!」と受診することが多くなりました。ハイキングやトレランをしているとき転びそうで転ばないことはしょっちゅうですが、疲れて何でもないところで転ぶことが数回ありました。つま先が上がらないのに気がつかず小さな根っこや段差に足先がひっかかってしまうのです。転びやすい人は、つま先を地面でこするように歩くくせを直しましょう。つま先を上げようとせず、ひざを上げてください。腿のつけ根にある腸腰筋という大きい筋肉を動かすことを意識します。すると転びにくくなるし、足がひっかかっても次足がさっと出てリカバリーができるはずです。

まだ元気なうちに「手を前に出す」練習をしておきましょう。壁に向かって立ち、手を下ろしたままからだを前に傾けていきます。倒れそうになったらさっと手を挙げて壁につき体を支えます。慣れてきたら壁との距離を広げてやってみてください。これは反射神経の訓練です。転ぶ瞬間に手が出ずに上半身のけがをする方が多いので、ふだんからすぐに手が出るように訓練しましょう。

4 どんな場合も「治る力」がだいじ

医者になってからいろいろと経験して、こういう風に仕事をしたいと考えてきたのは①患者さんの治る力を利用する②無駄な検査はしない③薬・注射は必要最小限④しないですむ手術はしないの4点です。自分が患者さんだったらこうしてほしいと思うことなので、あたりまえのことばかりかもしれませんね。

それでも長く続けていると仕事のしかたに個性が出ているようです。患者さんによってですが、(もっと検査をしてほしい)(もっと薬を出してほしい)(注射をしてほしい)(手術をしてさっさと直してほしい)と言われることがあります。しかし①~④を守るためにそれなりにくふうがあり、努力もしています。とくに①はほんとうに大切だと思っています。だから食事やエクササイズのアドバイスをしたり、マッサージやストレッチを取り入れたり、日光浴を勧めたり、歩き方や身のこなしのアドバイスをしたり・・・地味だからがっかりする人がいるかもしれません。でも意外なくらい効果を発揮することも多いのです。私が理想とする町医者の仕事はこんな感じです。これからもこの方針は変えずに続けて、みなさんの信頼にこたえられるように(でもがんばりすぎず)やっていきたいです。

ねりまインクワイアラー 218 長崎歩き旅

先日長崎―雲仙小浜の歩き旅(マラニック)に参加しました。山を越え、海岸線を歩き、広大なジャガイモ畑を進み、むかしの線路跡を抜け、最後は温泉街にゴール!8時間ちょっとかかりましたが、一歩一歩が思い出に残った気がします。みなさんも歩き旅、挑戦してみませんか?