目白ヨシノ治療院

目白ヨシノ治療院は新宿区下落、目白駅から徒歩3分、マニュアルメディシンを用いたマッサージ、手技治療,リハビリの専門治療院です。病院では特に問題のなかったつらい症状、日常生活で困る痛み、肩こりや腰痛、首の痛み、またはよく分からない目の奥の痛みや頭痛など機能障害に関する問題の治療を行っています。

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06月

松ぼっくり通信 2017年 7月号

治る時間

この仕事をしてたびたび驚くのは、「患者さんたちは、からだがあっ!という間に治ると思っている」ことです。もちろん早く治る故障がありますし、時間がかかる場合があることも理屈では知っているはずです。でも、いざ自分が困った状態になったときには、なかなか冷静な判断ができなくなるのかもしれません。少し整理してお話しします。

1 なぜ治るのか

扁桃炎、下腿骨骨折、尾骨骨折、中足骨骨折、そのほか打ち身すり傷は無数。小学生時代を思い返せばいろいろなけがや故障がありました。下腿骨骨折以外は当時の様子・治りぐあいでたぶんそうだろうと後で考えた診断です。下腿骨を除き「親に言うと病院に連れていかれるので、ほっといた」うちに治りました。おそらく現在の小学生も似たようなもので、「ほっとく」だけで治っていることがいっぱいあると思います。いわゆる自然治癒力がよく働いているわけですが、大人になっても同じこと、治る基本は治癒力であり、病院や医師に魔法の力が宿っているわけではありません。ほっといて治れば一番いい。治りをじゃましている理由があるなら、みつけて正す。そのお手伝いをするのが医療の仕事だと考えています。

大まかにいうと、皮膚は1・2週間。筋肉は1か月。骨・軟骨は1~3か月。神経(末梢)は故障の仕方で異なり、数十分から1・2年まで。例外はありますが、治癒にかかる時間です。治癒を遅らせる理由があればあるほど時間がかかりますから、できるだけ理由を取り除いてあげられるかが、医療の役割どころと言えます。

2 「治る」にも限界がある

完治という言葉があります。専門的な医療の現場で使うことはなく、患者さんや保険会社などから質問で聞く言葉です。「完全に治る」ということは、実際の医療ではまずありません。ニキビが治ってもあとは残ります。胃潰瘍が治っても瘢痕が残ります。骨折が治っても骨の形は必ず変化します。

イメージで言うと「割れた茶碗を修理に出したら、新品になってもどってくる」のが完治ということだと思います。凄腕の修理名人が取り組んでも、新品にもどすことはできません。とりあえず元の形に近づけたり、器として使えるようにはできますが、壊れる前とはちがってきます。

病気やけがの場合も同じで、「元気になる」「良くなる」ことはできますが、厳密にいえば故障する前に戻ることはありません。顕微鏡・細胞レベルまで見れば必ずなんらかの痕跡が残ります。いつも完全に治っていたら、老化も後遺症もないわけで、生きとし生けるものの宿命がそこにあります。みなさんはがっかりするかもしれませんが、何十年ものあいだ病気やけがをのりこえて、命を支えてくれる驚異の仕組みを、私はすばらしいと思っています。

3 治るじゃまをしない

だから、治るじゃまをしない。最大限治癒力を発揮させる。これが重要です。けがや病気で大事にする時期・タイミングがあります。徐々に負担を増やしながら体を丈夫にしていく時期があります。毎日の暮らしの中で体を傷める原因があれば減らし、できるなら根絶します。体力向上のためにできることに取り組めば、長い目で見て治癒力を上げることができます。

治るのにじゃまをしているものをどれだけ減らせるか。くすり、注射、手術やリハビリをする意味はそこにありますから、たくさんあればいい、いっぱいやればいいというものではありません。薬をたくさん飲んだりリハビリを毎日しても、それだけで早く治ることはなく、やり過ぎでじゃまをする場合もありえます。

4 治るために必要なこと

一番大事なのは、「患者さんが主体性を持つ」ということです。治りたいと言いながら、どこか人任せで、自分自身の体を管理する気持ちの少ない人が少なくありません。病院の中にいる時が治療なのではなく、自宅・世間で暮らしている時が肝心です。わたしの専門で言うなら、慢性的な腰痛や手足の故障のかなりの部分が、日ごろの体の使い方・動かし方が原因・きっかけになっていることが多いです。病院で対処法を教えますが、望ましい姿勢や動作を本人が日ごろから意識しているかどうかは、本人にしかわかりません。お手伝いはできますが、治すのは患者さん自身です。

期待のかけすぎも?です。先にお話ししたように、治るためには一定の時間が必要です。病院に行けばすぐに治るわけではないことも理解してください。

そして予防の意識を持ちましょう。一回良くなったのにどうして再発したのかと質問されることがありますが、からだはどんどん変化します。症状がない時にも上手に体を使い、必要な筋トレやストレッチをして予防に努めましょう。おしりに火がつく前に、火がつかないようにつとめる。これが大切です。

 

ねりまインクワイアラー 126 ワールドマスターズゲームズ2021

オリンピックの翌年に開かれる国際スポーツ大会で、1985年から開かれています。一般的なスポーツ種目のほか、綱引きやゲートボールなども種目に上がっています。30歳以上のスポーツ愛好家ならだれでも参加できます。新・東京オリンピックの翌年2021年に関西で開催されることが決まりました。5歳刻みの年齢区分で競い合います。国際大会でメダルがねらえるチャンスですよ!

松ぼっくり通信 2017年 6月号

関節痛のふしぎ

  腰痛についで多い相談が関節痛です。熱をもって腫れていて、動かすとずきっとする。わかりやすい感じがしますが、じつはなかなか謎の多い痛みなのです。

1 関節痛のなぞ

リウマチのようなはっきりした病気を除くと、「どうして痛くなったのか?」はっきりしないケースが多いのが関節痛です。だんだんと痛くなったり、ある日急に腫れてきたけれど、原因がはっきりしない。これは原因がないのではなく、わかりづらいのです。ひさしぶりに長い距離を歩いたり、普段はかない靴を履いたり、バスや電車に乗り遅れないように急いで歩いたり、いつもより長く座りつづけたり、直接の原因は思いがけないところに潜んでいます。しかしつきつめて原因を考えるなら、本当の理由は関節ではなく「骨」のことがまれではありません。

スポーツマンや若い人ではどうでしょうか?けがの場合を除くと、「筋肉」「じん帯」がほんとうの原因なのに、症状が関節痛であることがよくあります。よく考えれば関節は骨と骨のすきまであって、実際は骨・軟骨・じん帯・筋肉などが関節を作っています。したがって、関節痛の原因を細かく探すとまわりにある骨や筋肉に理由が見つかるのは当たり前だともいえます。

2 軟骨のすり減りが原因?

学生の頃に、軟骨には神経が通っていないから痛みの感覚がないと教わりました。ところがお医者さんになると、「これは軟骨がすり減っているからですよ」と話している自分がいました。たしかにレントゲンだけを見ていると関節痛のある人の軟骨はよくすり減っています。一方、かなり軟骨はすり減っているのに痛がらない患者さんも時々みかけます。これはいったいどうしてか。いろいろ調べたり考えたりしましたが、神経が通っているところに痛みの原因があると思えば筋が通ることに気が付きました。

3 見えない犯人~骨挫傷

レントゲンに写るのは骨です。骨が写るのはカルシウムという金属がレントゲンを通さないからで、皮膚や筋肉には金属成分が含まれないので写りません。ところが骨の中身すべてがレントゲンで見えているわけではなく、骨髄の中を流れる血液・リンパ液や造血細胞は金属を含まないので写りません。だから、骨の中で炎症がおこり血液やリンパ液がうっ滞してもレントゲンではわかりません。

ところがMRIという診断装置はちがいます。こまかい理屈は省きますが、MRIは体内の水分の分布を調べる機械です。水分の多いところと少ないところを画像化するので、内臓や筋肉だけでなく、骨の中のむくみや炎症が写ります。なかなか痛みの取れない膝関節痛の患者さんのMRIを調べていると、骨の中が腫れ、むくんでいる場合が多いことがわかりました。

骨の中が腫れることを「骨挫傷」と呼びます。目に見えない小さなひびが骨の中にある状態だと考えられています。運動不足や高齢化のために骨の強度が落ちてくると、ちょっと駆け足をしたりけつまずいたりするだけで骨にひびが入ることがあります。関節の痛みがすべて骨挫傷だとは言いませんが、原因がはっきりしない関節痛を診たら忘れてはならない故障のひとつです。

4 筋肉のはたらき

関節の故障は、自動車のサスペンションに例えるとわかりやすいです。関節の間にはさまっている軟骨はショックアブソーバー(クッション)、筋肉はバネ(スプリング)です。歩くときに足にかかる地面からの衝撃を受け止めるためにはショックアブソーバーとバネの働きが重要です。変形性関節症で軟骨がすり減るとショックアブソーバーが効かなくなります。さらに筋肉が弱って、バネも効かなくなったらどうなるでしょうか?

サスペンションが効かない車(木箱にタイヤを付けただけ)ででこぼこ道を走ることを想像してみましょう。がたがた揺れてお尻は痛くなり、木箱もだんだん壊れてきます。木箱(シャーシー)がすなわち骨です。ごつごつと衝撃が繰り返し伝わって、骨にひびが入ったのが骨挫傷です。ですから変形性関節症のある人は予防のために筋肉の力をつけることが大事です。痛みのある人も、痛みが落ち着いたら筋肉を丈夫にすることが必要なのです。

今現在痛みがある人は、自分の体がタイヤのついた木箱だと考えましょう。平べったいところを静かに歩いたり、そっと階段を上り下りすることができれば何とか歩き続けられるでしょう。筋力が十分でなく、どうやっても痛い場合は安静が必要です。時間がたち痛みが取れてきたら、もう一回気を入れなおし、歩く練習を始めてください。

ねりまインクワイアラー 125 ウォーキングへようこそ

歩くことにも技術があります。(赤ん坊じゃあるまいし…)と思う方は、1・2歳の子が歩く様子を見てください。小さな手足を動かして歩くさまは愛らしいですが、肩や股関節をしっかり動かしている良い歩き方です。大人になると運動不足、仕事や日常生活のくせから歩き方が下手になり、そのままがたがた・トボトボ歩くことが習慣になっている人がたくさんいます。こんなときプロのウォーキングコーチに教わるとまったくちがいます。やっと歩いている人も長距離ウォークに参加する人も、ぜひ一度経験してみてください。