目白ヨシノ治療院

目白ヨシノ治療院は新宿区下落、目白駅から徒歩3分、マニュアルメディシンを用いたマッサージ、手技治療,リハビリの専門治療院です。病院では特に問題のなかったつらい症状、日常生活で困る痛み、肩こりや腰痛、首の痛み、またはよく分からない目の奥の痛みや頭痛など機能障害に関する問題の治療を行っています。

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松ぼっくり通信電子版
高野台松本クリニックの院長、松本不二生(ふじお)先生が体にまつわるあれこれを書いた松ぼっくり通信。読めばカラダに役立つ、読むサプリです

高野台松本クリニック 177-0035 練馬区高野台1-3-7NFプラザⅡ三階 
℡03-5372-7773

(整形外科・リハビリテーション科・漢方外来

松ぼっくり通信

松ぼっくり通信 2024年 4月号

歩き方を整える一週間

 よちよち歩きの子を見ると、みな楽しそうに歩いています。とてもかわいいのですが、ステップが軽やかでらくちんな感じがしますね。いまのおとなだって昔はこうやって歩いていたのです。重苦しくつらそうに歩いている人たちを見て、「どうやったら元気に歩けるようになるのかな?」と一週間の練習法を考えてみました。

1 足うらをしっかり使って立つ(第1日)

 おやゆびのつけ根、小指のつけ根そしてかかと。この三点を意識して立ってみましょう。はじめはいすにすわったまま、両足うらにかかる圧力を感じます。三点にひとしく体重をかけるイメージです。今度は立ち上がって同じようにやってみます。できた人はつぎに片足立ちにチャレンジしましょう。片足のときでも三点にひとしく体重がかかることを意識してください。

2 腕ふりの練習(第2日)

 スムーズにまっすぐ歩くには腕ふりが大切です。肩の力を抜き、ひじを直角に曲げ、軽く手を握ります。左右の肘を交互に後ろに引いて振り子のように動かします。せすじは丸くもならず伸ばしもせず、無理のない姿勢を保ちましょう。鼻呼吸の方が望ましいですが、できない方は口呼吸でも結構ですので、いつまでも続けられそうなリズムで腕を振り続けてください。10-15分は続けられるようにがんばりましょう。

3 踏み出した足に体重を乗せる(第3日)

まっすぐ立った状態から一歩を踏み出します。踏み出した足の上にすぐに体重をのせましょう。体重がのったらまた後ろ足に体重を戻しましょう。そしてまた前足にのせ、また後ろ足に・・・と体重のうつし方を練習します。両側とも上手にできるようにしましょう(注意:足元を見ると腰が引けるので前をまっすぐ見てやってくださいね。)

4 足踏みの練習(第4日)

 走るときとちがって、歩くときは必ずどちらかの足が地面についています。でも体重は必ず片側の足にのせますから、片足立ちの練習をして足腰を鍛えましょう。腰がぐらつかないように立ち、しずかに足を下ろしたら反対の足を上げます。これをくりかえしてください。

5 腕を振って足踏み(第5日)

 目線を高くして、腕を振って足踏みします。腕と足の動きが同期するようにリズムをつけて足踏みをしましょう。  上半身と下半身の動きを合わせる練習です。

6 股関節を動かす(第6日)

 股関節の柔軟性がないと歩幅が広がりません。かべにつかまりながら足を前後に動かします。上半身はまっすぐにしたままでやってください。できるだけ力を抜き、足がブランコになった気持ちで足を後ろに引き、ゆれ幅を広げていきましょう。

7 オールインワン(最終日~)

 一週間の成果を試す日がやってきました。大手を振って元気よく歩きましょう。無理に歩幅を広げるのではなく、リズムに乗って進んでください。スマホのミュージックを聞きながら歩くのも楽しいと思います。

  • 目線はまっすぐ前を向けましょう

  • 歩いているときおしりの筋肉を使えていますか(手で触れるとわかります)

  • 慣れてきたら少しペースを上げてみましょう

  • 自信がついてきたら階段や坂道にもチャレンジしてください

  • 少しずつ距離を伸ばしていきましょう

ねりまインクワイアラー 203 産業のコメ

 お米は食事のキホンで、お米なしには日々の食生活が立ちゆきません。同じようにこれがないとほとんどの産業が成り立たない製品が産業のコメと呼ばれています。かつては鉄鋼、今は半導体が産業の米です。現在どこかで電気を使う商品(スマホ・パソコン、自動車、あらゆる家電、最近ではクレジットカードなど)なら必ず半導体が使われていると言っていいでしょう。

 日本のお家芸だった半導体産業は最近元気がありませんが、国を挙げて応援体制が作られています。なんとかがんばってほしいですね。

松ぼっくり通信 2024年 3月号

からだのくせを知る

 ふだんの仕事の中で一番簡単なのが切り傷や骨折・ねん挫などの治療です。治し方が決まっているので工夫の余地はそれほどありません。いちばんむずかしいのは、頭痛・肩こり・腰痛などぱっと見ではわかりにくい症状の場合です。くすりやマッサージで軽くできるけれど、そこからが問題です。なぜこうなったのだろう?どうしてこの人に出たのか?なる人とならない人のちがいは何か?良くなっても長続きしない人がいるのはどうしてだろう?このように考えたときに「くせ」が気になるのです。

1 みんな違うけれどみんな似ている

 先日の箱根駅伝をテレビ観戦して気づいたのは、各大学別に選手たちの走り方に特色があるということでした。広く全国から選手がスカウトされて各大学へ入学しますから、最初はもっと走り方にバラエティがあったはずですが、チームとして練習するうちに何となく似通ってきたのだと思います。

 では一流の選手ならみんな同じような走り方をするのかと言えば、そうではなさそうです。やはりテレビ中継で見た全国男子・女子駅伝の場合、中学生~実業団の選手が出身都道府県別にチームを作って走りますが、走り方はとてもバラエティに富んでいます。それでも全員が全国レベルの選手なのですから、誰にでも当てはまる正しいフォームはないのだと思いました。

 からだのくせを観るときも同じです。絶対に正しい姿勢・からだの使いかたはないので、その都度人それぞれに向いた使いかたや疲れにくい姿勢をみつけていかなくてはなりません。

2 くせは生き方そのもの

 くせのなかには生まれつきに関わるものがあります。身長、筋肉のつき方、手足の長さや形、動作の俊敏性など持って生まれた素質からからだの動かし方が決まり、くせとなります。

 社会的・文化的な習慣も大きいです。アジアの多くの国では正座やあぐらをするのが日常生活の一部ですが、欧米系の人たちは正座やあぐらが苦手な方が多いです。また稲作文化圏では村落の中で他人と密接にかかわる機会が多く、長幼の順・礼儀作法を重視する習慣が育まれました。今でも私たちは相手との関係をおもんばかってお辞儀の深さを変えたり、目上の人の前ではやや前こごみとなり尊敬の意を示すなどなかば無意識にやっていることがありますが、これもくせの一種です。

 そして一人ひとりの経験からもくせが生まれます。子供は親を見て育つので、親の身ぶり・歩き方をよくまねます。ヒトの脳には他人の動作・表情をまねるための神経組織(ミラーニューロン)が内蔵されていて、上手にしぐさや表情をまねられるし、仕事やスポーツの動きを見て覚えられるのもこの仕組みがあるからです。つまりくせはその人のこれまでの人生に深く根差したものだと言えます。

しかしくせの中にはまちがった動き方や自分のからだに合わない動き方が入っていることがあり、慢性的な肩こりや腰痛、スポーツや仕事の中で繰り返し発症するさまざまな故障や音楽演奏・スポーツなど技術面での伸び悩みにつながることもあるのです。

3 くせは直すべきか

 くせのすべてが問題ではありませんから、その人の暮らしや仕事に差しさわりを生じたときにくせの修正を考えてください。たとえばなぜか自分だけ調子が良くない、故障が多いと感じたとき。とくに反復動作が多い職業・スポーツをしている方は注意してください。キーボード作業なら手指~前腕、介護職なら腰、ランニングなら膝~足、テニス・野球なら肩・肘というように、繰り返し負担のかかるところに累積型の故障が生じやすくなります。「塵も積もれば…」の例え通りです。

 今は問題がなくても将来を考えてくせを直すのもありだと思います。ただしその仕事・スポーツをよく理解していて、酸いも甘いもかぎ分けられる指導者がいないとなかなか難しかもしれません。ここまでくると治療ではなく予防ですから、医療は側面からのサポートしかできないかもしれませんね。

4 くせの取り方

  • 思っていることとやっていることは違う・・・自分ではちゃんとやっているつもりでも、じつはできていないことはざらです。信頼できる指導者のことばには耳を傾けましょう。

  • 細部にとらわれない・・・いきなり細かいことにこだわるのではなく、まずおおまかな動きづくりから始めよう。

  • 目より身体感覚を磨こう・・・目であちこちを観察するのではなく、動きの感覚を磨きましょう。

  • 色々な状況でシミュレーション・・・場所・シチュエーション・疲労度を変えても同じことができるようにしよう。

ねりまインクワイアラー 202 練馬に地震はおきるのか

 最近の調査では、今後30年で70%の確率で東京にも地震がおきると予測されています。気になるのが活断層ですが、練馬区にはないようです。しかし立川活断層(埼玉県名栗村から府中市まで)や23区東部で起きた地震の影響は必ず受けるはずです。ハザードマップで自宅や近所の地質をチェックしておきましょう。また自宅近くの避難拠点を調べてみましょう。

松ぼっくり 2024年 2月号

「転びそうで転ばない」練習をしよう

コロナ流行の3年間でおどろくほどけが人が増えました。以前はけっこう元気だった人が転倒して、顔や手足をケガしてクリニックを訪れます。年のせいにするにはおとろえ方が早すぎるので、運動不足が大きな理由ではないかと思っています。けがを避けるのに必要なからだのきたえ方をお教えします。

1 スクワット

スクワットに始まり、スクワットに終わるくらい重要な練習です。きちんとやれば体幹・下半身の筋肉がまんべんなくきたえられます。転びそうになったときにふんばりきれないのは下半身の筋肉が弱くなっているからです。ひたすらこればかりやってもいいくらい、足の立ち巾や手の位置を変えたりして、転びそうな瞬間にしっかりとふんばれる準備をしましょう。

 足出し

転びそうになると姿勢がくずれます。その一瞬、前に足が出るかどうかが運命の分かれ目です。体が前にかたむいたときに足をさっと出すことで、転ぶ寸前に足を出してからだを支える練習を行います。これは反射神経の訓練ですから、足をすばやく出すことを意識しましょう。

3 壁にトン!

足が出ないで転ぶとなったら、今度はいかに体を守るかがだいじです。転ぶ一瞬に手でかばえず、顔や胸をケガする人が増えています。とっさに手が出るように、からだを前にかたむけながら、かべに手をつく練習をします。これも反射神経の練習なので、力を入れるのではなくさっと手を挙げることを意識しましょう。

(ドンと強くつくと手首を痛めるかもしれないので、軽く「トン」とついてください。)

4 注意点

この3つの練習は、とりあえず一人でなんとか歩けている方向けに書いています。杖でやっと歩けるぐらいの人はまずスクワットをたくさんやって地力を養ってください。

  • スクワットを安全にやるためにはイスに座った状態から始めて、いつ姿勢がくずれても座れるようにしておくといいでしょう。同じく手すりなどにつかまりながら行うのもいい方法です。

  • スクワットに慣れてきたら、できるだけゆっくりとやってください。とくにしゃがむときにゆっくりやるといい練習になって、いざというときにふんばれる体に変わってきます。

  • 上の写真のように、何かあったときにすぐにつかまれる場所でやると安全です。

  • じょうずにできるようになってきたら、家の外でもやってみてください。外の地面はでこぼこしていますからいい練習になります。でもそれで転んでしまっては元も子もないので、気をつけてやってください。

  • もっとじょうずになったら、長めに歩いて少し疲れてから練習してみるといいでしょう。ここまでできたら、かんたんには転ばないからだに変わっているはずです。

ねりまインクワイアラー 201 カーボンニュートラル

カーボンニュートラルとは、自動車や工場などから出る二酸化炭素の量と、海や地中に吸収される二酸化炭素の量を等しくすることです。地球温暖化を防ぐためにはできるだけ早くカーボンニュートラルを達成することが必要です。日本は2050年にこれを達成すると宣言しました。

と聞いても、今一つ実感のわかない方も多いのでは?大まかに言えば石油・ガス・木材を燃やさずにエネルギーを作ることと、ゴミを減らすことがポイントです。太陽光・風力発電や電気自動車もその流れで注目されているのですが、私としては車に乗らずに出かける習慣をもっともっと普及させたいなーと考えています。

松ぼっくり通信 2024年 1月号

超高齢化社会に向かって

 令和18年(今から12年後)に3人に1人、令和47年(41年後)には2.6人に1人。何かというと、高齢者(65歳以上)の予想比率です。私が医者になりたての頃、90歳以上の患者さんを診るとき「イヤー、すごいですね!」と話していましたが、今は(あー、また90台の人ですか)と思ったりします。でも自分もほどなくお仲間入りなので、他人ごとではありません。これからを考えてみました。

1 世の中がガラリと変わる

 これほどの高齢化社会は人類史上初めてで、日本はさらにそのトップを走っています。だれも経験していないのですから、本当にどうなるのかはだれにもわかりません。でも数年単位で劇的に変わるテクノロジーが日常生活の細々としたところに影響を及ぼし、極端な人手不足が仕事を根本から変えるでしょう。AI(人工知能)やロボット化が進んで人間が今までやっていた仕事のかなりを肩代わりするでしょう。いまの高齢者さんの孫世代が暮らす未来世界では、社会のしくみや考え方ががらりと変わって世代間のギャップはとんでもなく大きいはずです。「わたしの若い時には・・・」という経験談は役立たずの世の中になりますが、これからの高齢者は今までの世代が絶対味わえなかったミラクルな毎日を過ごせるかもしれません。何歳になっても新鮮な経験は必要、一日一日を楽しんで暮らしていきたいですね。

2 最高の時代

80歳代で年代別ボディビルダー選手権に優勝した方の記事を読みましたが、ご本人は130歳まで生きて記録を作りたいとお話しされていました。若いころとはちがって日本食をしっかり食べる、トレーニングは量より質、けっして無理をせず、ウェイト(重り)は軽めにゆっくりやるそうです。その分野でトップになった人がトライアンドエラーをくりかえしオリジナルプランを作るやり方は、だれにとっても参考になると思いました。

皆さんは君原健司さんをご存じでしょうか?1964年の東京オリンピックにマラソンで出場されたのですが、以前あるマラソン大会で走る姿をお見かけしました。現在は82歳、今も走られているようです。一流選手でも長く走り続けている方はまれなので頭が下がります。

先日トレラン(山の中のマラソン)に参加した時、60歳以上は20人だけ、さすがに減ってきたなーと思いました。長く何かを続けるコツは、「とにかく続けること」だと思います。レベルが落ちても、ヘタになっても続けていればいいことがあります。何日も筋肉痛が残りますが、飯がうまく、自然の中で動くと生き返った感じがします。年が進めばどこかでやめることになるでしょうが、その日までは楽しんで続けようと思いました。

長生きだけをとるならば、今は最高の時代です。だから「どう生きるのか」がだいじになりますね。

3 人間らしさの原点

SF小説「地球最後の男」(映画化されました)を読んだとき、自分がもし地球で最後の人間になったらどうだろう?と考えました。食料はあちこちに残っているから心配ありません。車やガソリンもたっぷりあるのでどんなところにも出かけられます。ビデオや映画は見放題です。でもどこに行っても誰もいません。けんかをする相手もいないけれど、話したり悩みを打ち明ける相手もいません。遠い将来、自分が死ぬまでひとりぼっちが続くのです。

おそらくこの状態に耐えられる人はほとんどいないのではないでしょうか。つまるところ人間らしさの根っこは「他人とコミュニケーションがとれる」ことなのでしょう。ことばでも、身ぶりでも、顔の表情でもいいから相手に何かを伝えることができる。そして相手から反応が返ってくる。これが人間らしさの基本ひとつめです。

そしてふたつめは「移動できる」ことです。移動することで食べる・排泄など基本的な生体機能を確保できるし、あちこち出かけてコミュニケーションを行えるからです。

4 未来に備えてできることをしよう

  • 最後まで歩けるからだを作ろう・・・長いこと患者さんを診ていて、まめに体を動かしている人はやっぱりちがいます。運動とかスポーツとか名前はつかなくても、とにかくマメに体を動かすことです。むだ足、遠回り、徘徊(家に帰ってね!)大歓迎。能率無視で歩数をかせごう。

  • 身の回りでいいことを・・・何でもいいので、誰かの役に立つことをしてみよう。ゴミ拾い、ちょっと声かけ、ちいさなお手伝い。そこからコミュニケーションが生まれます。

  • 働けたら働こう・・・3人に一人が老人の時代だから、できる人は働きましょう。人手不足のお助け、お小遣い稼ぎ、健康維持(体を動かす、日に当たる)、誰かの役に立てると実感できます。

  • 未来ををおっくうがらない・・・スマホはもちろんのこと、これからAI(人工知能)、ロボット、自動運転のクルマなど身の回りにやってくる最新テクノロジーがめじろ押しです。年だからと言わずどんどんチャレンジしてみよう。

 

ねりまインクワイアラー 200 警察もの

ミステリー小説が好きですが、なぜか警察物を読んだことがありませんでした。ところがはまった!今野敏さんの「隠蔽捜査」シリーズ、ユニークなエリート官僚が主役です。最新刊が待ち遠しいです!

松ぼっくり通信 2023年 12月号

しびれ、さあどうする?

 しびれの相談はめずらしくないのですが、奥が深くてなかなか説明がむずかしいです。今回のお話です。

1 だれにでもしびれは起きる

私の実感では、しびれの相談が十あるとすると九割がたはほっとくか様子を見るだけで済むもの、残り一割は調べたほうがいいものです。先日マラソン大会に出たとき、脱水が原因で指が腫れてしびれました。ゴールしてからたっぷり水分補給をしたらしびれが治りました。そのほか競歩の練習で腕をいっぱい振ってしびれたり、長時間のランニングで坐骨神経痛(しびれ)が出たりいろいろなしびれを経験しました。

救急外来に勤務しているときよく診たのは過換気症候群の患者さんで、からだじゅうがしびれ、息が苦しくて救急車で担ぎ込まれます。本人にすれば苦しくて死にそうなのですが、患者さんの口に紙袋をあててゆっくり呼吸させる(今は古いやり方)とすぐに治りました。私自身なったことがあって、あの切迫感・恐怖感はよくわかります。

デスクワークなどあまり体を動かさない人たちの中にも手足のしびれを感じる人がいます。厳密な意味でのしびれ(神経障害)ではなく、脳やせき髄の検査をしてもはっきりした異常は見つかりません。ここからは私の意見なのですが、おそらく慢性型の過換気症候群(習慣的に呼吸が浅い)だと考えています。細かい理屈は省きますが、深い呼吸の仕方を覚えてもらうとしびれがなくなってくるようです。

正座を続けて足がしびれるのはかなりの人が経験していると思います。腕を上げた格好や横向きで長く寝たりして腕がしびれた人もいるはずです。どちらも神経が圧迫されるために起きると言われています。細かく診ていくと、手足のあちこちに神経のウイークポイント(骨のすきまや筋肉の中で神経が圧迫されやすい部位)があり、相談を受けるしびれの多くはこれが原因です。

2 これは要注意!しびれ

つぎにほっといたら×のしびれを考えてみましょう。

脳から来るしびれ・・・脳梗塞や脳出血でしびれが出ることがありますが、たいていは運動まひなどほかの症状が合併します。

せき髄から来るしびれ・・・神経の経路に沿ってしびれが出ます。痛みが伴うことが多いですが、しびれだけのこともあります。多くは椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症が原因ですが、三浦雄一郎さんのせき髄血腫のようにめずらしい病気もあります。

神経そのものの炎症・・・脳・脊髄・末梢神経それぞれに炎症(難病指定のことが多い)を起こす病気があります。しびれる場所がだんだんと変化していきます。肩から腕に激痛がおきる神経痛性筋萎縮症もたまに経験します。

糖尿病・リウマチ疾患など・・・糖尿病で有名なのが手袋・靴下型のしびれです。太もも前方の痛み・しびれがでることもあります。そのほか小さな枝神経の故障があるとあちこちにしびれが生じます。

栄養不足・・・意外に多いのがビタミンB1の欠乏症です。足首から下の感覚が鈍くなります。白米中心の食生活で少食だとなりやすいです。ビタミンB12の欠乏症もちらほら見かけます。胃の手術後、胃酸を抑える薬の常用、動物性食品の摂取不足(ベジタリアン、少食の人)がある人でしびれ・歩きづらさがあったら可能性があります。

そのほか、 内臓の病気、がん、トリガーポイントのような筋肉の故障でもしびれがでることがあります。

3 しびれとのつきあい方

生活に支障のないしびれだったら、とりあえずのんびりかまえましょう。食事内容や睡眠に気を配り、運動やストレス発散を行いながら様子を観ましょう。多くのしびれは自然に消えていきます。

痛み、筋力低下、歩きづらさ、手先の細かい作業がしずらいなど、しびれ以外に症状があるときは一度お医者さんに相談してみてください。

「しびれ」にはいろいろな感覚があって、人によって全然違うことを言っている気がします。自分のしびれがどんな感じなのか(ズキズキ、ちくちく、ぴりぴり、何かがくっついている、だるい、動かしにくい、力が入らない、つかれる、ふらふらする他)、どんなタイミングであるのか(24時間連続、ときどき、たまに、一回だけ、何かをしているときだけなど)、どこらへんに感じるのかを説明できるようにしましょう。しびれは目に見えないので、あなたのことばがたよりです。ここをきちんとやらないと、正しい診たて・治療に結びつかない可能性があります。

 

ねりまインクワイアラー 19 ブギウギ

朝ドラ「ブギウギ」おもしろいですね。主人公役の趣里さんは子供のころからバレリーナを目指していましたが、足のけが(踵骨剥離骨折)でキャリアをあきらめざるを得ませんでした。でもあんなに踊れてるのに?!と思いますが、それだけ厳しい世界なのでしょう。私の趣里さん押しひとつめは、自分も同じけがをしたのでその苦労がよくわかること。もうひとつはお母さんの伊藤蘭さん(元キャンディーズ)が高校の同窓だからです。