目白ヨシノ治療院

目白ヨシノ治療院は新宿区下落、目白駅から徒歩3分、マニュアルメディシンを用いたマッサージ、手技治療,リハビリの専門治療院です。病院では特に問題のなかったつらい症状、日常生活で困る痛み、肩こりや腰痛、首の痛み、またはよく分からない目の奥の痛みや頭痛など機能障害に関する問題の治療を行っています。

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松ぼっくり通信電子版
高野台松本クリニックの院長、松本不二生(ふじお)先生が体にまつわるあれこれを書いた松ぼっくり通信。読めばカラダに役立つ、読むサプリです

高野台松本クリニック 177-0035 練馬区高野台1-3-7NFプラザⅡ三階 
℡03-5372-7773

(整形外科・リハビリテーション科・漢方外来

松ぼっくり通信

松ぼっくり通信 2023年 9月号

なにが正しいか考えよう

 当時の常識がまちがっていて、新しい考え方のほうが真実だとわかったとき、すぐに受け入れる人はまれです。「太陽が地球を回っているのではなく、地球が太陽を回っているのだ」という考えがひろく受け入れられるようになるのには数世紀の期間が必要でした。しかしスマホやネットがあたりまえになり、ものごとがガラッと変わるスピードが速くなった今、新知識についていくのがたいへんです。新しいことと向き合うヒントをお話しします。

1 コロナはただのかぜ?ワクチンは有害?

 21世紀の時代に、まさかこれほど新型コロナという伝染病が広がるとは!長らく医学では伝染病をどう克服するかが大きなテーマでした。一般的な見方では伝染病は世界の一部の地域に残るばかり、ふだんの生活には関係がないように多くの人が感じていたはずです。でもこわがらずにやることをやれば、ある程度の感染予防や症状の悪化を防げることもわかってきました。当初ワクチンがないために恐れられた新型コロナウイルスですが、きわめて短期間でワクチンが作られ、多くの人に接種することである程度流行を抑えることができました。これまた短期間で抗ウイルス薬が作られたのもビックリでした。伝染病治療・予防の歴史から見れば、これはすごいことです。

反面、新ワクチンで健康を損ねたり亡くなった方がいるのも事実です。世の中のすべてと同様、絶対的に良いものや悪いものはありません。良いほうだけを取り上げるのも、悪いほうだけ見るのもまちがったやり方です。コロナの存在を否定するのも、過度にこわがって人との接触を避けようとするのも?と思います。

テレビやネットを観るとき、この情報は事実なのか、あるいは誰かの見解なのかをしっかり考えることがたいせつです。そして一次情報(生のままのデータ)まで自分なりに調べらればさらにいいと思います。

2 長生きをするほど幸せなのか?

医学のもう一つ大きなテーマはいかに人間の寿命を延ばすかでしたが、これはほとんど達成されているように思います。ただし、「健康に」という付箋付きで考えると、長寿が必ずしも幸せか疑問に考える声も出てきました。さすがに江戸時代のように60を過ぎれば定年(命が定まる≒そろそろ寿命)と言われるよりは今のほうがずっといいと私も思います。ですが、毎日を充実して生きるには明晰な心とじょうぶな足腰が必要で、単なる長命だけでいいのかとも考えます。

認知症になったり、足腰が立たなくなったりするのが、生活習慣から来るのか素質からくるのかはまだはっきりとしませんが、少なくとも(医師の手を借りずに)自分で工夫し対処できる期間をなんとか伸ばしたいものです。そうすることで生きている一瞬一瞬が宝物となるように暮らしてみたい。みなさんも長生きの意味をとらえなおし、長さ以外のなにかで命を測ってみませんか。

3 痛みには原因がある?

医学生のころ、痛みの発生回路について教わり(ホントに電気回路みたい!)と思いました。それからうん十年がたち・・・最近の痛みの考え方は「痛みには原因があることもないこともある。脳が痛いと感じたなら、それが痛みなのだ。」ということになっています。

え?と思いませんか。でも、長いこと痛みを中心として診療を行ってきた経験からはなかなかうなずける説明なのです。心の痛みってほんとうなのですね。からだに何の異常もないのに(医者から見て不可解な)痛みを訴える人をたくさん診てきました。診たての不十分さもあるかもしれませんが、精密な電気回路のようなからだの仕組みからは理解しにくい痛みはやはりあります。そしてよくわからないきっかけで良くなったり、悪くなったりするのです。

良くしてなんぼの臨床医ですが、理屈に合わない経験をすると心が乱れます。そして医学はみなさんが思っているほど整然とした世界ではなく、まだまだ謎にあふれています。かたくなりがちな頭をやわらかくして、なんとかついていきたいです。

4 さて、あたらしい考えについていくには

  • 積み重ねられた事実があれば受け入れる・・・一歩一歩まちがいがないか確認しながら事実を積み重ねていく。その結果が世間の常識と異なるように見えてもきちんと検証できていればまずは受け入れてみる。

  • 声が大きいから、有名な人が言うから、正しいと思わない。

  • 昔から言われていても正しいとは限らない。逆に新しいから本当とは限らない。

  • 「専門家」が本当に専門家なのかは慎重に判断しよう。人が聞きたいこと、自分が言いたいことを言うだけの人かもしれません。

  • わかりやすいことが正しいと限らない。反対にむずかしいから正しいとも限らない。かんたんなことをむずかしく言うほうがありがたがられますが、むずかしいことをかんたんに説明するほうがほんとうはたいへんです。

 

ねりまインクワイアラー 196 山酔い(軽症の高山病)

先日家族で富士山に登りました。わたしは平気でしたが山酔い(頭痛・食欲不振)になる者もいて、やっぱり富士山はたいへんだ!と思いました。なりやすさには脱水・年齢のほか素質も関係するそうです。

松ぼっくり通信 2023年 8月号

骨質を語ろう

 骨粗鬆症の程度を示すとき骨量を使います。「若い時に比べて〇〇パーセント」「同年齢の平均と比べて〇〇パーセント」といった説明があってわかりやすいです。でも今回はもっとわかりにくい「骨質」のお話です。

1 骨量と骨質のちがい

 味噌や醤油を買うとき、値段もだいじですが味もだいじです。でも味噌を何グラム買いたいか人に伝えるのはかんたんですが、自分が求めている味をきちんと伝えるのは難しいです。同じように骨量を測るのは割合かんたんで、レントゲンやDEXA(デキサ)を使うとすぐに結果がわかります。骨質はまったく別です。「骨質がいい」とは、ほねに適度なしなやかさがあり、強い力がかかってもかすかにたわんだりへこんだりして、すみやかにもとのかたちにもどることを指しています。え‼骨ってやわらかいの?と思った人、じつは骨は意外と柔らかいのです。とくに若いころの骨はやわらかく強靭です。グラスファイバーという素材が自動車のボディ、スキー板などに使われていますが、へこまず割れず、たわむことで力をためて強い反発力を生み出すため重宝されています。最近ではパラ陸上選手の義足に使われていますから、みなさんも目にしたことがあるはずです。 グラスファイバーは細く繊維状に伸ばしたガラスをプラスチックで固めたものですが、骨も同じようにコラーゲンというタンパク質にカルシウムが沈着してできています。グラスファイバー=コラーゲン、プラスチック=カルシウムと考えるとわかりやすいです。そしてコラーゲンが骨質の決め手なのです。

2 骨質を決めるもの

コラーゲンはひも状のタンパク質で、これをどう配置するかで性質が変わってきます。皮フの場合は皮膚細胞の下にコラーゲンがひらたく編み込まれて伸び縮みできるようになっています。腱では弾力がありかつ強靭な登山用ロープのように編み込まれています。骨ではコラーゲンが縦方向に配列され、真ん中には空洞(骨髄腔)が作られます。軽くてしなやかな竹みたいなイメージです。

むちむちの赤ちゃんのはだと、お年寄りのかさかさとしたはだ。小さい子のやわらかい体と、かたいおとなの体。転んでもかんたんに折れない骨と、ちょっとしたことで折れる骨。これらすべてにコラーゲンの性質のちがいがかかわっています。そして年をとるとコラーゲンの合成量が減り、配列も乱れてもろくなりがちです。ですからからだを若々しく保ち、骨質をよくするためには、コラーゲンの状態を改善しなければなりません。

3 骨質は測れるのか

いろいろ調べたのですが、骨質を測れる装置はまだ作られていないようです。からだが柔らかいかどうかは動かしてみないとわからないように、骨を曲げたり伸ばしたりしてどこまで耐えられるのか見ないことには骨のしなやかさは測れないのかもしれません。

もしかしたら骨の一部を切り出して曲げたり伸ばしたりして強度を測ることはできるかもしれませんが、実際にはなかなか難しいと思います。いまのところは骨量(骨密度)を測って大ざっぱな目安とし、ふだんの暮らしの中でいかに骨質を上げるかを考えればいいでしょう。

4 骨質を上げるには

骨質を上げるには骨そのものに多様な刺激を与えることが必要です。そうすることでコラーゲンの健康な形成が促され、しなやかで丈夫な骨が作られます。

  • ワンパターンでない体の使い方をしよう・・・特定の運動だけでなくいろんなことをやるほうがいいです。運動と名がついてもつかなくても、家事・仕事・趣味・遊びで多彩な体の使い方をしましょう。

  • タンパク質をしっかり摂ろう・・・年配の方に伺うと(タンパク質が足りてないのでは?)と思うことがままあります。筋肉や骨を丈夫にするためにタンパク質をしっかり摂りましょう。

  • 休養もだいじ・・・ホッとする時間も必要です。生活にめりはりをつけましょう。

  • 糖尿病に気をつけよう・・・糖尿病はコラーゲン老化の大敵です。甘いものの摂りすぎに注意!

  • 上半身を忘れずに・・・歩くだけでは上半身の骨質は良くなりません。手もしっかり動かそう。庭仕事や拭き掃除などもいい刺激になりますよ。

  • 栄養食品(コラーゲンなど)は不要・・・ネット情報の大部分は一種の宣伝です。商品購入を促す内容だったら飛びつかないこと。ふだんの食事に偏りがなければじゅうぶん。むだな出費はさけましょう。

  • イメージでいうと骨形成促進薬(ビタミンDなど)は骨質優位、破骨細胞抑制薬(ビスフォスフォネート製剤など)は骨量優位の薬と言えます。使い方はケースバイケースですが、わたしはビタミンDを中心に治療を組み立てることが多いです。

 

ねりまインクワイアラー 195 ブルーカーボン

 この夏も暑いですね。ブルーカーボンとは海藻などに取り込まれた二酸化炭素のこと。空気中の二酸化炭素発生量を抑えて地球温暖化を軽減するために、いま活用する研究が進んでいます。

松ぼっくり通信 2023年 7月号

良くなったけどすっきりしないときは…

 ケガや病気から立ち直っても、期待したほど回復しない、前とはちがう…と感じることがあります。お医者さんから「病気は治っています」「様子を見てみましょう」と言われても、どうもすっきりしない。こんなときのお話です。

1 完治!はありません

患者さんから聞くことはあっても、お医者さんが使うことのないことばが「完治」です。がんや胃潰瘍が治っても、コロナ感染症や骨折が治っても、かならず何かのキズ跡が体に残ります。うちみやねんざのような軽いけがであっても微細なダメージが残ります。完治を求められるというのは、壊れたツボをあずかって、ていねいに破片をつないだり金接ぎをして苦労して修理して直しても、「壊れていないまっさらなツボになっていない」と言われるようなものです。

長く生きればどんな人でもあちこちに傷がつきます。真っ白な紙にしわやシミがつくように、おぎゃあと生まれた日から今日までの痕跡が体に残ります。お医者さんにできるのはとりあえず使えるように戻す手助けなので、そこからどれだけ回復させるか、生きてて良かったなーと思えるようにするかは本人次第なのです。

2 一歩一歩進んでみよう

いまから5年前、私自身もけがをして手術を受けました。ケガ前の状態には今も戻っていませんが、それでも毎年ちょっとずつ良くなっているのがわかります。階段を上りやすくなったり、以前できなかったストレッチができるようになったり、長い時間動いても疲れにくくなったことを実感しています。苦労話は省きますが、小さな積み重ねが大切です。大事だと思うことを挙げてみます。

  • できるだけわかりやすい目標を立てる・・・ただ元気になりたいではなく、「あそこのレストランに行きたい」「高尾山にまた行きたい」のように具体的に。

  • 細かく分解、ちいさな進歩を体験する・・・今できることをほんのちょっとだけ増やしてみる。外に出るのが大変なら家の玄関まで行って、靴を履く練習をする。速く歩けないなら、電柱一本分だけ速く歩いてみる。

  • 週2・3回以上は練習する・・・練習の効果は間をあけすぎると失われます。週単位で小さな進歩を積み重ねましょう。

  • 長いスパンで見よう・・・患者さんたちを診ていて、気の短い人が多いと感じます。マンガのヒーローのようにあっという間に回復しないので、のんびり粘り強くやることです。

  • あたらしい経験をしよう・・・今までやらなかったことをしてみると、別の刺激が入って良い効果があるかもしれません。新しいトレーニングややり方にチャレンジしてみるのも手です。

3 限界とのつきあい方

はあ、やっぱりだめだったか…もうちょっとがんばれると思ったのになあ。もう年かな。こんな風に感じることってありますよね。あるいはほんとうにがんばったのにダメだった、出し尽くしたのに届かなかったという経験は誰にでもあるはずです。それに、誰もが知っている有名スポーツ選手だっていつかは年齢や体力の限界で引退します。

でも(ここまでがんばった)という記憶はあなたの心に残り、チャレンジしたことでからだは確実に変わっています。医学的に言えば、脳の前頭葉が刺激され、強い意志や決断・実行力が高まりました。筋肉や内臓も鍛えられて、まったくちがう分野にチャレンジしても体を動かす準備ができているはずです。

先日、山の中でウルトラマラソン参加中、時間切れのリタイヤとなったとき、こんなことを考えました。たしかに年齢とともに体力は落ちていきますが、これからも好きなこと(私はランニング)を続けていこうと思いました。

4 柔軟に生きよう

ミルトン・エリクソンさんは19歳の時ポリオにかかり、全身のマヒがおきました。唯一動かせる目を使って周囲の人たちを観察するうちに、声の調子やかすかな表情の変化から人の心を読み取れるようになり、その後医師となり杖を使いながら「魔術師」と人が呼ぶ名医になったのです。何が幸いするかは後になるまでわかりません。

  • 上から見下ろすのでなく、下から見上げよう・・・いきなり高いところに目標を置いてまだこんなところなのかとがっかりするより、少し上を目指してあきらめずにがんばってみよう。後から見れば意外と高いところまで来ているものです。

  • ほんとうにできないことにぶち当たった時は、コースを変えてみよう。がんばったことは記憶にも肉体にも残るので、まったく新しいチャレンジにも役立ちます。

  • 完ぺきでない自分を愛そう・・・お茶の世界では、割れた茶碗を金接ぎにして大切に扱っている人がいます。完璧でないから味わいがあるのです。同じように不完全な自分を愛しましょう。

 

ねりまインクワイアラー 194 シンギュラリティ

直訳すると「一点突破」みたいなことばです。人工知能(AI)が自ら学ぶ力を発揮し、人間を超えた知性を獲得することで世の中を根っこから変えてしまう。SFの世界のようですが、いまや本気で議論されています。20年後(いや数年後か)、世界はどう変わっているでしょうか?

松ぼっくり通信 2023年 6月号

「ばんそうこう理論」とは

 おくすりや注射を使わなくても治ることがある。と言うと、「え?そんなことがあるの⁈」と驚かれることがあります。

 でもそんなに力技を使わなくても、からだにはもともと治る力が備わっています。いちばんわかりやすいのがひざこぞうなどをすりむいた時。ばんそうこうを貼って、傷を守ってあげるだけでどんどん治っていきます。ばんそうこうと同じように、体を守るしくみをじょうずに使えば、治る力を最大限に発揮できるのです。

1 からだじゅうに治る力が備わっている

これを読んでいるみなさんは、ひょっとして病院で治療を受けないと病気やケガが悪くなってしまうと思っていませんか?たしかにそういうこともたまにはありますが、たいていの故障・不調はとくに治療をせずとも治っていきます。

昨年の自分をふりかえってみましょう。頭痛、、胃のもたれ、肩こり、湿疹、鼻水、打ち身そのほかいろいろあったはずですが、それなりに良くなっていませんか。かんぺきでなくても、からだはなんとかやりくりしてくれるのです。まったくなにもなかった人でも、体の中では小さな故障が絶えず起きていて、小さな修理屋さん(白血球やせんい芽細胞など)が故障を直す仕事をしてくれます。わりに大きな故障があるばあい、からだのコントロールセンター(脳)に連絡があって、(しばらく脂っこいものをさけて胃の負担を減らしておこう⇒胃のもたれ感発信!)とか(骨にかかる負担を減らして早く治るようにしよう⇒関節痛の出力アップ!)のように症状を自覚するのです。

こういうからだを守る・修復するしくみがうまく働いていれば、たいていのことはなんとかなるものです。ところがなんとかなるはずなのにうまくいかないとき、くすりやお医者さんに出番がまわってくるのです。

2 治る力を阻害するもの

擦り傷の治り方で説明しますが、基本的に体のどの場所でも理屈は同じです。

ひざに擦り傷を作ったとき、はじめに白血球が傷口にやってきて、入り込んできた細菌をやっつけます。つぎにリンパ液が沁み出して、死んだ細菌や壊れた皮膚組織を洗い流します。そのあと、せんい芽細胞が傷口をつないで皮膚細胞が傷のまわりから伸びてきて傷をふさいでいきます。よくできていますね。

小さな細胞たちのはたらきをじゃましなければ、けがは最短で治ります。傷をこすらないようにやわらかいガーゼや包帯を当てる。激しい動きをさけて傷を刺激しないようにする。細胞たちが元気に働けるように、たんぱく質やビタミンが豊富な食事をとる。同じく休息をじゅうぶんに取って、修理の時間をたっぷり作ってあげる。これをわかりやすくたとえたのが「ばんそうこう理論」です。そして理論の真逆をやれば、傷のなおりがどんどん遅くなっていきます。

3 治る力を発揮するには

上記に加え、運動器(骨・関節・筋肉)の場合、症状を生じる原因となった物理的な刺激をさけることが必要になります。

  • 痛みが出にくい動き・姿勢がある・・・たとえば腰部脊柱管狭窄症では腰をそり気味で歩いたり、長時間座りっぱなしでいると発症しやすくなります。上肢痛の場合、ねこぜ+くびがそり気味で症状が悪化する人が多いです。痛みが出にくい姿勢や動作を習慣にするだけで治るスピードがぐっと速まります。「ばんそうこう理論」でも大切な部分。クリニックで指導していますが、くらしの中でどれくらい気を付けてもらえるかがポイントです。

  • 体幹をきたえたり、全身のストレッチをするのはいいことです。きれいな身のこなし=故障をしにくい・回復しやすい動きと考えてください。

  • 歩き方もだいじです。足のうらをじょうずに使い、なめらかに足を運べば下半身にかかる衝撃が軽くなり、ひざや足腰の痛みの回復に有利です。

  • ほんとうの急性期(1週間)を過ぎたら、適度の運動はむしろ修復を促進しますから、痛み=安静ではありません。トライアンドエラーで試してみてください。

ねりまインクワイアラー 193 朝型・夜型

朝型か夜型かは体質的に決まっているそうです。わたしはほっといても早く起きる子供でしたが、わが子の中にも夜型のタイプがいます。コロナをきっかけとして在宅ワークが広がりましたが、最近ゆりもどしで出社型に戻す動きが増えているそうです。夜型の人はゆっくり寝て、ゆっくり起きて仕事に取り組むほうが能率がいいのでは?もっと働き方は柔軟でいい気がします。

松ぼっくり通信 2023年 5月号

ビタミンD押し活中‼

 コロナ流行の3年間、仕事でびっくりするほど増えたのがビタミンD不足の患者さんたちです。以前国が行った調査では成人女性の約8割がビタミンD不足だったのですが、現時点では老いも若きも、ねこも杓子もビタミンD不足になった感じがしています。みんなビタミンDが足りてないぞ!ビタミンD押しキャンペーン第3弾です。

1 証拠は現場にあり

 レントゲンや検査ではわからないことがいっぱいあるので、手で触る(触診する)ことが大事だと考えています。そうやって診察すると、一見同じような痛みでも、これは筋肉、あれは神経、こっちは骨が原因と見当がつきます。コロナ前から仕事のやり方は変えていないのに、緊急事態宣言が出たあたりから痛みの原因が骨のケースが急増しました。

 仕事の中身や生活習慣について聞いて、(太陽の光を十分に浴びていない⇒ビタミンD不足では?)と疑い始めました。そこで、ためしにビタミンDを飲んでもらうとこれがよく効きました。一番多い膝の痛みでビタミンDが効くのを確かめてから、おそるおそるほかの痛みの相談(股関節、肘、指ほかetc.)でも試してみました。すると痛み止め(飲み薬)を使わずにビタミンDだけで良くなる方がいっぱいいることがわかり、わたしのビタミンD愛がさらに深まったのです。

 刑事もの小説のことばを借りれば、まさに「証拠は現場に落ちている」のだと実感します。現代の、ふつうに暮らしている日本の生活ではビタミンD不足が一般的ではないのか。そう考えるようになったのです。

2 そもそもビタミンDとは何ぞや

 以前にも触れましたが、ビタミンDは骨だけに効くわけではありません。からだを構成しているあらゆる細胞の働きにはカルシウムが必要です。このカルシウムの調節を行っているのがビタミンDなのです。

骨はかたくてじょうぶ。この「骨をかたくする」にビタミンDが不可欠なのですが、ほかにがん予防、うつ予防や不妊予防などの働きがあります。最近では筋肉強化(ビタミンDが足りないと筋力がつかない)や慢性炎症(老化や動脈硬化の遠因)の防止効果があることもわかってきました。あらゆる細胞の機能に不可欠なビタミンDですから、さらに研究が進めばいろいろな効果がわかることと思います。

そしてビタミンDには大きな特徴があります。それは「自分の体で作ることができる」こと。ほかのビタミンは食べることで体外から取り込むことが必要ですが、Dだけは皮膚に日光があたることで合成できるのです。もちろん食事でも摂れますが、日光の下で暮らす古くからのライフスタイルなら、かなりの割合を自分のからだで作ることができていたのです。

3 なんで不足するのか

 ビタミンDに限らず、ビタミンと名がつくものは毎日結構な割合で消費されています。イメージでいうと台所にあるみそ・しょうゆみたいなものです。だから油断するとなくなってしまいます。ビタミンDの場合、日光浴プラス食品(サケ・さんま・キノコなど)で補給が可能ですが、屋内では日が当たりません。窓ガラスがビタミンD合成に必要な紫外線(UVB)をブロックするので、ベランダ越しの日光浴ではなく、ベランダや庭に直接出て日にあたってください。

 赤ちゃんのビタミンD不足は世界中で問題になっており、妊産婦の方のビタミンD不足も珍しくありません。年寄りは皮膚のビタミンD合成力が下がりますし、色黒や肥満の人もビタミンD不足になりがちです。そしてコロナ流行中の外出制限・自粛がおきました。これがきっかけとなってクリニックを訪れる方が増えたのだと思います。

4 日焼け対策とビタミンD不足のはざまで

 皮膚がんが怖い。シミやそばかすができる。やっぱり色白の方がいい。日光蕁麻疹がある。いろいろな理由で日にあたりたがらない・あたれない方がいます。そんな人へのアドバイスです。

  • 日焼けが目立つほどの日光浴は必要なく、どれくらい日にあたれば十分なのかは調べればすぐわかります。スマホ・パソコンで「ビタミンD生成・紅班紫外線量情報」と検索すれば一発です。今の季節、東京なら顔・両手出しで20分、顔・両腕出しで10分くらいです。

  • ビタミンDの一日推定必要量は 成人15㎍  71歳以上は20㎍ となっています。

  • 実際にビタミンD不足で症状が出たらくすり・サプリなどで補いましょう。参考に栄養食品やサプリ中のビタミンD量をあげておきます。

サントリー・ロコモア 1日6粒で5.0㎍  雪印メグミルク・毎日すこやかMBP 一日3粒で3.0㎍

明治メイバランス(ヨーグルト)1.0㎍  ザバス・ミルクプロテイン(飲料) 5.1-11.0㎍

カワイ・カルシウム肝油ドロップ 1日2粒で3.3㎍  赤ちゃん用BabyD 1滴あたり2.0㎍

  • 服の色が濃いほうが紫外線を遠ざけます。白色が一番紫外線を通します。薄い生地より厚い生地の方が紫外線をブロックします。その点、デニムの生地はかなりいい線をいっています。服装にも気を配りましょう。

  • 日焼け止めやサンプロテクションつきの化粧品もありですが、安全性に注意してください。