みんな水分が足りてません!
2年続きでたいへん暑い夏が続いたので、今年がどうなるか心配です。例年暑い時期にも運動を心がけていましたが、昨年は体調をくずしてしまいました。今考えると慢性の脱水になっていたのだと思っています。今年の夏を乗り切るためにたいせつな「水」のお話です。
1 からだの大部分は水でできている
人のからだは約37兆の細胞でできています。地球全体の人口が80億人と言われていますから、どれだけ多いのか見当もつかない数と言えるでしょう。でもその一つ一つの細胞が体液にかこまれていて、そこから栄養や酸素をもらったり、老廃物を洗い流してもらっているのです。赤血球・白血球のように体液の中を漂っているか、あるいは内臓や筋肉のようなかたまりへ体液がしみ込んでいくかのちがいはあるものの、海水とほぼ同じ濃度の体液の中で暮らしているのがあらゆる細胞の共通点です。だから、脱水になるとすべての細胞が影響を受けます。
一般的に体重の60~70%は水でできていますから、体重60キロの人なら40キロ弱、すなわち40リットルが水でできています。水分2リットル(体重の3%)以上の脱水が起きるといろいろな症状が出てくると考えられています。
2 不感蒸泄と発汗
不感蒸泄とは「自分では全く汗をかいていないと感じていても、気づかないうちにからだから失われている水分」のことです。体重60キロの人で一日900ml の不感蒸泄があると言われています。気温が上がると不感蒸泄も増えていき、運動の最中は6倍まで増えたという報告があります。
そして発汗です。汗ばむような運動をしているとき、だいたい1時間当たり1~1.5リットルの汗が出ると言われています。汗っかきの人だともう少し多いかもしれませんが、運動中は30分で500mlのペットボトル1本は飲むべきと思ってください。
以前山の中を71キロ、24時間以内にゴールするレースに参加したことがあります。6リットルの水を担いでスタート、途中で1.5リットルの補給をして完走できましたが、計7.5リットル飲んでもまだ脱水気味だったです。外来で話を聞いていると(水分が足りないのでは?)と思うことがしばしばです。暑い季節になったら、不感蒸泄900ml+おしっこの量300ml=1200ml/日の水分補給では絶対足りないです。迷ったら水分は多めに取りましょう。
3 脱水の症状
砂漠地帯で十数日間さまよい、後に生きて発見された人の話を読んだことがあります。皮膚にしわがより唇が縮み歯がむき出しで、まるでミイラのように見えたそうです。声帯が縮んで悲鳴のような音しか出せなかったとか。ここまで極端なケースでなくとも、ふだんから水分の摂り方が少ない人が暑さなどで発汗(エアコンですぐ乾くので気がつかないことも多い)が増えるとき、本人や周りも気がつかないうちに脱水が進んでいるかもしれません。
脱水の初期は、筋けいれん・頭痛・口の渇き・微熱・皮膚の乾燥などがおきます。中等度ではいらいらした(興奮)状態になり、進めば意識障害⇒死亡することもあります。先日ハーフマラソンの救急室に勤務したとき、脱水になった人のほとんどは足の筋けいれんくらいでしたが、一人意識障害を起こした方は救急車に乗りました。
4 脱水になりやすい人と対策
ü 高齢者・・・体液の大部分は筋肉内にあるので、筋肉量の少ない高齢者は脱水になりやすいです。①もともと渇きを感じにくくて飲水量が少ない②薬(利尿剤など)や加齢の影響で尿量が多い③発熱や下痢がある④糖尿病やホルモンの病気(アジソン病・尿崩症など)があるとさらになりやすいです。
慢性的な脱水になると反対にのどの渇きが減り、ふらつきや失神が起きやすくなります。脱水になると血中の薬物濃度が高くなり、ふだんは見られない副作用(睡眠剤が効きすぎる・血圧が下がりすぎるなど)が出てきます。失禁や夜間のトイレを心配して水分をとりたがらない方もいますが、やはりきちんと摂りましょう。
ü 子ども・・・大人より水分量が多く赤ちゃんは70%を超えます。熱発や下痢があるとき、とくに暑い夏は心配です。大人に比べからだが地面に近いので、照り返しの影響を強くうけます。吐き気などで水分が摂りにくいとき、経口補水液(OS-1など)やスポーツ飲料を少しづつ飲ませてください。
ü アスリート・・・電解質も失われるのでスポーツ飲料(経口補水液)は良いです。持ち運びが大変な人は粉のタイプもあります。塩飴や塩梅もいいですね。レースの時など給水を意識するあまり水中毒(これはこわい!)になることがありますから、おなかがちゃぽちゃぽ鳴る(飲んだ水が吸収できていないサイン)ようなら給水のペースを落としましょう。
ねりまインクワイアラー 217 万博どうする?
娘から大阪万博のチケットをもらいました(会社で買わされたらしい)。人混みが苦手だし、暑そうなのがイヤだなー。でも建築は面白そうなのがいっぱいありそうです。たこ焼き・お好み焼きは食べたいけれど。行くかどうか迷っています。電子チケットの発行は評判通りめんどうくさかったです
ビタミンDを作ろう・摂ろう!
微量ですが生きていくのに欠かせない有機化合物のことをビタミンと呼んでいます。そのなか唯一自分の体で合成できるのがビタミンDです。また、気をつけないと不足してしまうのもビタミンDの特徴です。毎年恒例となったビタミンDキャンペーン第4弾です!
1 なぜ不足するのか
いろいろなビタミンがありますが、共通しているのは「毎日の暮らしの中で絶えず使う必要がある」物質だということ。たとえるなら台所のみそ・塩・しょうゆみたいなものです。だから気をつけていないとなくなり困るはずですが、特に意識せずともバランスの取れた食事をしていればかなりのビタミン類が補えています。ところがビタミンDだけは現代の生活(とくに都会に暮らす人)で不足しがちなのです。
なぜなら、私たちのからだは自分でビタミンDを合成できるように組み立てられているからです。生活習慣の変化でほぼ日に当たらずに生活している人が増えたため、ビタミンD不足の人が増えたのだと考えられています。
2 どんな人がビタミンD不足になるのか
太陽光線(紫外線B)があたると皮ふの中でビタミンDが合成されます。そして腎臓で活性化され骨や体中の組織にいきわたっていろいろな仕事をします。国立環境研究所の報告では、夏の東京、お昼ごろなら顔と両手(の面積)に10分日が当たれば一日当たりのビタミンD必要量をまかなえるとされています。
ではみなさんが本当に日光をしっかり浴びているか?よく考えてみましょう。上の報告は直射日光がしっかりと肌にあたった場合の話です。ビルの陰や木陰に入れば著しく効果が薄れます。窓越しの日光では肝心の紫外線がブロックされるのでほとんど効果がありません。衣類や化粧品(サンブロック機能があるもの)の影響も大きいです。スイミングやバレーボールなどのインドアスポーツではほとんど日に当たりません。朝や夕方の日光は紫外線が少ないのであまり効果がありません・・・というように「きちんと日光を浴びている」人は意外と少ないのです。
週に一回1時間のウォーキングをしたとします。両手顔出しでまったく日陰のないところを歩いたとしても、1週間分にはまだちょっと足りません。また寒い季節は太陽光線も弱くなり、厚着の影響もうけますから春夏秋に冬の分のビタミンDをからだに貯めなければなりません。スポーツや肉体労働をしっかりやると骨や筋肉の補修工事にビタミンDをたくさん使うので、意外とビタミンD不足の症状が出やすいようです。最近、東京都の住民を対象に調べたところ98%の人がビタミンD不足だったそうですから、ほぼだれもがビタミンD不足だと言えるのかもしれません。
3 症状は?
コロナ大流行のあたりからビタミンD不足の方が激増しました。多いのはひざなど下半身の痛みですが、手指の痛み・こわばり、肘の痛み、足うらの痛みなどもずいぶん増えました。腰痛やおしりの痛みにもビタミンDが効く人がいます。また五十肩が治らないという相談の時に、ビタミンDが効果的な人がいることにも気がつきました。
サッカー・野球・ラグビーなど屋外スポーツをしっかりやっている人を診たとき、はじめのうち(しっかり日焼けしている人だからビタミンDはいらないだろう!)と思い薬を使わずに様子を見ていました。ところがすっきりしないので試しにビタミンDを処方すると効果的なケースがあることも発見しました。日焼けをすると皮膚内のメラニン色素が紫外線をブロックしますから、過度の日焼けはビタミンD合成にマイナスと考えてよさそうです。
4 ビタミンD補給が必要な人
l 高齢者・・・皮ふ自体のビタミンD合成機能が低下します。屋外に出る時間が少ない方が多いようですから、ビタミンD内服がおすすめです。ビタミンDは骨粗しょう症治療の基本になっています。また食が細い人はビタミンD不足になりやすいので気をつけましょう。
l 閉経期以降の女性・・・骨造成機能のある薬がおすすめですが、ビタミンDはその一つです。痛みなど症状がある人を診たとき、わたしはまずこれを処方しています。
l 屋内作業中心の方・・・在宅ワークの方は要注意です。外に出て日を浴びましょう。ビタミンDの薬やサプリも有効です。
l 運動量の多い方・・・以前東海道を(小分けして)走ったとき、途中から右ひざが痛くなりました。ビタミンDサプリを飲みながらゆるゆる歩いたり走ったりで京都まで行きましたが、今はまったく問題なく走れるようになっています。軽い痛みの原因がビタミンD不足である可能性も考えてみましょう。
l 日光浴ができない・したくない方・・・いろいろな事情や体の問題で日光浴ができない方がいることは承知しています。サケ・サンマ・キノコ類などを食べることでビタミンDを摂れますが、食事だけで十分に補給するのは難しいと思います。ビタミンDサプリは比較的安価で、普通のドラッグストアで買えますからおすすめです。私もサプリを飲んでいます。また日本なら、10分程度の日光浴ではほとんど日焼けしない方も多いですよ。
ねりまインクワイアラー 216 はだしで歩く
暖かくなったので自作のゴムサンダルで歩き始めるつもりです。はだしとほぼ同じ、足うらの感覚が新鮮です。
トリガーポイントとお付き合い
トリガーポイントは筋肉の中にできる押すと痛むしこりのことです。いわゆる「こり」と同じですが、より症状が強いのがトリガーポイントと考えてください。腰痛や肩こりの大半はトリガーポイントが原因です。身近なのに案外知られていないトリガーポイントとの付き合い方をお話しします。
1 なぜトリガーポイントができるの?
研修医になりたての頃、いちばん苦手だったのが朝夕の点滴でした。仲間同士で手分けして病棟の患者さんたちに点滴を行うのですが、血管が硬い人や太っている患者さんだとけっこう難しいです。中には20~30分かけてやっと入ったとか、見かねた看護婦さんが代わりに入れてくれたとか、患者さんには迷惑な話でした。
そして教授回診。テレビでよく見るアレですね。直立不動で1時間のプレゼンテーション、さらに1時間くらいぞろぞろと病棟を歩き、質問に答えます。手術室では助手をやり、重たい手足を持ち上げたり筋肉をよける鉗子(かんし)をつかんで長時間立ち続けます。病棟に戻ると患者さんの移動介助(ベッド⇔車いすなど持ち上げ・下ろすの繰り返し)、病棟処置(ガーゼ交換など)など前かがみの作業が続きます。夕方にまた点滴、そのまま夜に突入、救急病院の夜間当直に出かけたり当直に入ったりでまともに眠れない日々が続きました。
若かったので何とかやれたのですが、腰痛や肩こりはしょっちゅうで、全然疲れが抜けなかったのを覚えています。無理な姿勢での長時間の労働、ストレス、休憩・睡眠時間の不足。これらは典型的なトリガーポイントの発症要因なのです。
2 トリガーポイントがおこす症状
痛みが弱いときはコリ、重圧感、しびれ感、チクチク感などと表現されますが、ズキンと響いて動けなくなるほど強くなる場合もあります(例:ぎっくり腰)。筋肉痛なので基本はからだを動かすと感じる痛みです。しかし、圧迫されても痛みが生じますから、坐っているときのおしり、あおむけで寝ているときの背中、横向きのときのおしりやひざなどにも痛みが出ます。
姿勢に関わる筋肉の場合、姿勢によって自動的に力が入りますから「じっと座っている」「じっと立っている」ときにも痛みを感じます。腰痛の多くはこれにあてはまると思います。
また吐き気や下痢などの消化器症状、不整脈やめまいなど意外な症状が現れることがあります。痛みを感じる神経と自律神経系が奥深いところで連絡しあっているのが理由だと考えられています。
3 これまでの経験から
l ひざの痛み・・・コロナ以前は筋性(主にトリガーポイント)の痛みが一般的でしたが、今は骨性の痛みがとても多いです。最近またぼちぼちと筋性の痛みを診るようになってきました。外出量の減少・運動不足が大きく影響しているのでしょう。
l 腰痛・・・スポーツやきつい仕事がきっかけの腰痛が減り、坐り続けが原因の腰痛が増えています。パソコンの仕事が増えたこと、とくに在宅ワークの広がりでおきた極端な運動不足が根っこにあるのだと考えています。筋性の痛みが多いです。
l 頚肩腕部痛・・・筋性の痛みが増えています。パソコン仕事の増加が根底にあるのでしょう。前腕のように小さな筋肉が密集している部位の故障ではズキッと感じる鋭い痛みが手まで広がることが多いです。少ないですが、くびの故障や手根管症候群も見られます。意外に多いのがくびの偽痛風。頚椎の関節の炎症で、症状はくび肩に広がる痛みです。
l 頭痛・・・私が診る頭痛は筋性が多いです。原因はくび・あご関連の筋肉が多いですね。片頭痛は血管性の痛みと考えられていますが、トリガーポイントが誘発することもあるようです。だから一度はトリガーポイントのチェックが必要かもしれません。
4 トリガーポイントと上手に付き合おう
わかっていても体調を崩したり、睡眠不足になったりストレスをためこむのが人間です。だからトリガーポイントを絶対作らないのは無理だと思います。トリガーポイントができたらどうすればいいのでしょうか?
おすすめはテニスボールを使ったマッサージです。コリや痛みを感じたらひどくならないうちにやってみてください。テニスボールをふたつ靴下の中に入れて両端をしばります(右図)。
自覚する痛みの場所やその周囲にテニスボールを押し当てて、痛むところをみつけてください。何か所も見つかることが多いです。そこをテニスボールでマッサージします。力を入れにくい、手が届きにくい部位の場合は、床(ふとんやクッション含む)とからだの間、壁とからだの間にテニスボールをはさみこんでごろごろと転がすように動かしてください。自分で場所がいまいちわからない場合はご相談に来てください(細かいやり方はクリニックホームページにも載せてあります)。
ねりまインクワイアラー 214 自転車のやめ時は?
自転車には免許がない分、年をとったときのやめ時が難しいです。①一本の線上を10m進める②乗ったまま8の字を描ける③急ブレーキをかけて止まれる。この三つが乗り続ける最低条件かな?と思っています。
運動を「いちから」始めるには
子どものころからひょろっと背は高かったものの、運動がちょっと苦手な子供でした。中年になって運動をはじめ、今は運動をしないと調子が良くないと感じるようになりました。運動を始めようとする方たちへのアドバイスです。
1 いくつになってもおそくはない
いままでまったく運動らしいことをしたことがない人でも、年齢が高くなった人でも、おそすぎることはありません。またほとんどの病気(一部の深刻な病気を除く)があっても運動はできます。
運動をすると、食欲が進み、お通じが良くなり、睡眠が深くなるなどからだにいいことがいっぱいあります。外で運動すれば、太陽の光を浴びたり、新鮮な空気に触れたり、景色の移ろいや草花の変化を楽しむことができ、体だけでなく気持ちもリフレッシュすることができます。歩く・走るなどリズミカルに体を動かすことは脳にいい影響を与えることがわかっています。悩みごとや気分の浮き沈みがあっても、動いているだけで気持ちがアップしていくことはまれではありません。
そして、何よりからだを動かすことは楽しいです。子どものときの跳ねまわっているだけでうきうきした気分になる、あのころの感じをもう一度味わってみませんか。
2 いやなことはやらない
運動嫌いの人の中には、学校に通っているころに運動で嫌な思いをしたことのある人もいると思います。私もなかなか泳げなかったり、逆上がりができなかったりで体育の時間が楽しくない時期がありました。子どもたちで野球をするとき、いつもライトで8番のみそっかすでしたが、走ったり自転車に乗ったりローラースケートをしたりするのは大好きでした。
いまは大人になったので、もう嫌なことをする必要はありません。だから私の場合一人で走ったり、歩いたり、自転車にのったりしています。それで十分楽しいし、だれにも迷惑をかけず、体の調子も整えることができています。
反対に人と集まってやる方が楽しいという人も多いはずです。年齢が高くなってから野球やサッカーを始めたり、スタジオでエアロやダンスをするのが好きな方もいるでしょう。スポーツと名前がつかなくてもからだを動かすこと(スケッチ、写真、バードウォッチング、釣り、パワースポット巡りetc.)ならグッドです。だれもが自分の好みに応じてやりたいことをやればいいのです。
3 人と比べない
人間はもともとおサルの仲間なので、集団生活に適応するように進化してきました。だからどうしても周りと比べて考えがちです。でも自分のために運動をするのですから、ほんとうは比べる必要がないのです。
しかし、他人が気になるのも人情です。私もマラソンを一生けんめいやっていたころは自分の記録を見て(40代の中では上の方?)(あの人より上or下⁈)とか勝手に気をもんでいました。今でも走っていますが、年をとって遅くなってきたことに加え、数年前にけがをしたころからぐっとスピードが落ちたこともあって、人と比べずに走ることそのものを楽しむようにしています。でもまだ記録や順位にこだわる自分もすこし残っているようです。煩悩を含めて自分なのですから、いろいろ考えることもセットで楽しんでいけたらと考えています。
4 始めるにあたってのアドバイス
トライ・アンド・エラーをしよう・・・以前やったことの方が始めやすく続きやすいと言われていますが、まったく新しいことにチャレンジするのも手です。やったら思いのほか楽しいかもしれませんし、そうでないかもしれません。気軽にチャレンジして、合わないと思ったらすぐに撤退するのもOKです。
からだのやわらかさがだいじ・・・何をするにもからだは柔らかい方がいいです。日ごろのストレッチをおすすめします。
栄養に気を配る・・・からだを今まで以上に動かす⇒より骨や筋肉に負担がかかる⇒今までより栄養が必要となります。特にタンパク質・カルシウム・ビタミンの豊富な食事を心がけましょう。サプリや栄養補助食品を摂るのも一手です。
はじめは習おう・・・上手なやり方を教わった方が進みも速く、故障もしづらいです。からだづくりはあせらずに・・・早く上手になろうとしてやり過ぎる、詰め込み過ぎると体を壊してしまうことがあります。からだを動かし始めたころに多い失敗です。運動を続けることで骨・じん帯・筋肉、神経系、心臓など循環器系、肺などの呼吸器系ほか、体中のあらゆる組織が強くなっていきますが、それには時間がかかります。あせりは禁物、体と相談しながらゆっくりと練習してください。
ねりまインクワイアラー 212 伝染性紅斑(リンゴ病)
子どもがかかるとほっぺたが赤くなり発熱するリンゴ病ですが、おとながかかるとほっぺたが赤くならず数か月にわたって全身の関節痛が残ります。コロナ禍で不顕性感染が減ったためなのか、今大流行中です。
骨と筋肉の痛みをみわける
一枚の顔写真を見せられて、まだ会ったことのない人を判断せよと言われたらどうでしょうか?人生経験が増えればある程度の予想はできるかもしれませんが、実際に会ってみたら大ちがいということはめずらしくありません。骨と筋肉の痛みの診わけもこれとよく似ています。
1 神経が通っていない部位は痛まない
鍼灸師さんが使う鍼(はり)はとても細くて、上手に刺せばまったく痛みを感じません。細かく調べていくと皮膚には痛みを感じるところと感じないところがあって痛みを感じないところの方がずっと多いのです。直径0.1-0.2mmしかない鍼を皮膚に刺したとき、その刺激で痛みを感じる神経がほんのわずか(ゼロ~数個)なので痛みを感じにくいのです。 注射の場合は針がもっと太いこと、そして薬剤注入でたくさんの神経が同時に刺激を受けますから痛みを感じるのです。痛みを感じる神経が高い密度で分布しているのは、①皮膚②筋膜③骨膜です。だからすり傷、肉ばなれ、骨折の痛みが強いのです。反対に神経の通っていない部位(とくに軟骨)は相当なダメージを受けても痛みは感じません。え?どうしてといえば、神経の通っていない部位は痛みを感じないからです。
2 レントゲン、MRIですべてがわかるわけではない
医師になりたての頃、レントゲンの読影に苦労して患者さんの診察がおろそかになりがちでした。たしかに画像診断でわかることがいっぱいあります。でもレントゲンやMRIでわからないこともあります。それを挙げてみます。
1. 痛み・・・どんな検査をしても痛みそのものを検出することはできていません。
2. かたさ・やわらかさ・・・画像診断で関節・筋肉のかたさ・やわらかさはわかりません
3. 熱・冷え・・・画像診断で温度変化はわかりません(特殊な検査法はあります)
4. むくみ・脱水・・・局所のむくみ・脱水も検出しづらいです
ところがこういった画像診断でわからないことを一気に、安全・安価に検出できる方法があります。それが人間の手(触診)なのです。
3 痛みの出方に着目する
わたしがとくに注意を払っているのは、上の4項目のうち「痛みの出方」と「かたさ・やわらかさ」です。この2項目を整理整頓して意味付けするのにずいぶん時間を使いましたが、最近はだいぶこなれてきました。
手で確認した情報を整理すると、(この人は骨の痛み)(こっちは筋肉の痛み)(これはじん帯性の痛み)と判断できるので、これをもとに本人の生活状況や仕事内容・趣味やスポーツの趣向などを発症の原因と考えることができないか検討していきます。
こうして仕事をしていると、最近では骨性の痛みが増えている印象があります。ちょうど新型コロナ感染症が爆発的に流行したあたり(2020年)から激増し、自分の診たてがまちがっているのでは?と自己疑念がわき上がりました。でも診たてに沿って治療すると確かに良くなるのでまちがいではないはずです。
もしかすると(以前かかっていたお医者さんと診たてがちがう)と感じている方がいるかもしれませんね。整形外科医としてのトレーニングはどこの大学を出ても基本的には同じですから、ちょっとした見方のちがいと思ってください。たとえば「関節軟骨がすり減っていることが痛みの原因だ」と考えるのか「軟骨がすり減ったぶん、そばの骨に無理がかかって痛くなる」と考えるのかのちがいです。でもそれで治療方針が変わることがあります。たとえば、ひざなどの関節痛に痛み止め内服や注射を行わず、ビタミンDやカルシウム剤を処方するケースも多いです。
4 レントゲンも、診察も同じくらいだいじ
レントゲンなどの画像診断と手による触診を組み合わせることが整形外科的診断にベストだと考えていますが、これには多くのお医者さんが賛成してくれると思います。ただし触診の習得が意外に難しいとも感じています。これをなんとか昔のわたしのような初学者に伝えるいい方法がないだろうか?これをテーマに近い将来本が書けるのでは⁈
そのためには、アタマの中身をもっと整理して、誰もが納得する説明をできるようにしたいですね。
ねりまインクワイアラー 211 自転車よ、もう一度
以前、旧東海道(日本橋~京の三条大橋まで)を走ったことがあります。もちろん連続ではなくて、近いところは日帰り、遠いところは1、2泊のこま切れですが、とにかく走りとおしました。
そこで今度は旧中山道!現在、群馬の高崎まで来ました。さあこれからは碓氷峠を越えて信州、そして木曽路!ところがこのあたりから街道と鉄道が離れていき、場所によっては宿がみつからない地域があります。へたをすると峠道で行き倒れになりかねません。そこで自転車を使うことにしました。今、輪行(自転車を電車で運び、現地で組み立てて乗る)の方法を調べています。
子どものころから自転車が好きでした。夢よ、もう一度!来春から再開の予定です。
五十肩のセルフマッサージ
五十肩(肩関節周囲炎)の多くは筋肉が原因でおこります。肩の痛みに関連する筋肉は20種類くらいありますが、ここでは一番原因としてよくある4つの筋肉のセルフマッサージをご紹介します。
1 前斜角筋(ぜんしゃかくきん)
くびの付け根の前よりにある筋肉です。五十肩のボスキャラ的存在で、この筋肉が強くこってくると痛みが肩に放散し、肩回りのいろいろな筋肉に二次的なトリガーポイント(押して痛むところ)を生じます。頭の重さを支える大事な筋肉ですから、長く座り続ける仕事(デスクワークや運転など)では、じっとしているだけでこの筋肉がこってくることがあります。くびの横、やや前をさわって固く張った筋肉を見つけてください。痛いところをみつけて指先でマッサージします。
赤く塗られているところがこの筋肉で痛みが生じる場所です。とても広くて手まで広がっているのがわかります。ペケ印が押して痛むところ(トリガーポイント)なのに、肩から腕全体に痛みが広がっています。
2 肩甲下筋(けんこうかきん)
腕を持ち上げたり、内側に回す筋肉です。わきの下の奥に写真のように指を押し込むと触れます。肩甲骨の前にある筋肉なので、肩の後ろに向かって指を押し付けると触りやすいでしょう。指先でのマッサージの他すりこ木などの道具でもできると思います。筋肉の位置と自分が感じる痛みの場所が全くちがいますね。
3 棘下筋(きょくかきん)
肩甲骨のまうしろにある筋肉です。肩甲骨の上を後ろから押して痛いところを見つけます。痛いところがたくさん見つかるはずなので、細かく場所を変えてマッサージしてください。この筋肉でも、こんなに広い範囲が痛くなります。原因としてとても大きい筋肉です。テニスボールを壁に当ててマッサージする方法もよく効きます。
4 棘上筋(きょくじょうきん)
肩の上、うなじのやや後ろ、肩甲骨の上にある筋肉です。痛いところを見つけたら上から押してマッサージします。
痛みが強いと肘まで痛みが広がることがあります。
5 マッサージを自分で行う時のコツと注意点
1. 押して気持ちいい~ちょっと痛いけれどがまんできるくらいで行う
2. いちどきにたくさんやらず、少しづつこまめに行う
3. 手が届かないところ、やりづらいところはほかの方法で・・・テニスボールや器具を使ったマッサージ法をクリニックホームページに載せてありますので参考にしてくださいさらに細かく知りたいとき、今はお手軽ないい方法があります。スマホアプリで「トリガーポイント」と検索してください。おすすめは「筋のトリガーポイント」です。だれでも自分が痛みを感じる部位をもとにどの筋に問題があるかわかりやすく図示されています。拙著「 痛みの臨床に役立つ手技療法ASTR 」もご利用いただければ幸いです(上の挿絵は同書から転載しました)。トリガーポイントマッサージがどんなものか知りたい方はクリニックのホームページ⇒「マニュアルメディシン」⇒「トリガーポイントの知識」を読んでください。
ねりまインクワイアラー 210
エアコンの快適温度
この夏は暑さで寝つけず消耗しました。病院やホテルの場合、室内温度は夏26度冬24度で統一されていますが、みなさんはどうですか?睡眠中の快適温度を調べてみたら、男性で26度、女性で28度前後の方が多いようです。やはり男女差があるのですね。
小さな疑問にお答えします
わざわざ病院に来るほどではないけれど、気になるので聞いてみたい。そんな質問にお答えします。
1 からだの筋肉がピクピクするのはどうして?
からだのあちこちの筋肉がピクピクすることは私もよくあります。マラソンなどややきつい運動の後は特に出やすい気がします。若いころはちょっと心配でしたが、今も特に問題はありません。筋肉に疲れがたまるといわゆる「コリ」=筋肉が縮まって戻らない状態になり、それがほどけるときにピクピクするのだと考えています。
ピクピクが出る特殊な病気もなくはないですが、かなり珍しく多彩な症状が出ますから、ピクピクだけで心配は無用です。
2 足(下肢)がよく攣るのはなぜですか?
私もしょっちゅう足が攣っていますが、脱水気味の時が多いです。だいぶ前に山の中で両足が攣ったときは往生しました。激痛で立てないと思いましたが、周りに誰もいないので助けはありません。はいずるように進むうち、しだいに歩けるようになって無事山を降りることができました。それ以来登山の時はけいれん止めの漢方薬(芍薬甘草湯)を持参し、たっぷりの水分補給を心がけています。
夏場、クーラーの効いた部屋にいると気づかずに脱水になり、足がつりやすいです。お茶や水分をこまめにとりましょう。また、筋けいれんをくりかえす部位には筋肉のコリができてつりやすくなることがありますから、筋肉内の押して痛いところをこまめにマッサージしてください。しだいに攣らなくなるはずです。
3 内臓の病気から腰痛が起きますか?
めずらしいけれどあります。診察の時は患者さんの話を聞きながら、いつも深刻な病気の兆候はないかアンテナを張っていますから、(あれ?ちょっとおかしいぞ)と思ったら検査を追加したり専門医に紹介しています。
これはどこのお医者さんも同じだと思います。自分の心配の中身をお医者さんに尋ねてください。話を聞くだけで安心できる場合も多いはずです。
4 ちょっとがんばって歩くとあちこちが痛くなるのはなぜ?
たいていの場合、運動不足が原因です。人間のからだはほうっとくだけでどんどん弱く、硬くなっていきます。それだけで動かしたときに体のあちこちが痛くなることがあるのです。小さな子供や中高生みたいにふだんから飛んだり跳ねたり走り回っていれば関節・筋肉の柔軟性は保たれますが、年をとるとだんだんとからだを動かすのがおっくうになりがちです。
年配の方が気持ちを切り替えてからだを動かし始めても、最初のうちは体が硬く、弱く、疲れやすくて、あちこちが痛くなるかもしれません。体の調子を見ながら、ちょっとずつ、こまめにからだを動かしてください。しだいにじょうぶなからだに変わっていくことと思います。
5 筋肉がつかないのはどうして?
4と同じようにあきらめずに根気よくつづけていくことがだいじですが、二つ注意点を上げておきます。
l 負荷を上げていく・・・今やっていることにからだが慣れてきたら、すこしづつレベルを上げましょう。ちょっと強く・多く・長く・速くやってみるのです。いきなり上げると故障するのでゆっくりと上げていきましょう。
l 食事はじゅうぶんかチェックする・・・患者さんの話を聞くと、タンパク質の量をしっかり摂れていない人が多いと感じています。食が細い人はプロテインドリンクなどの栄養食品を摂るのもいい方法です。
6 夜寝ているときの痛みの原因は?
よくひざや手足の痛みでこの相談を受けることがあります。治療を受けていて、わずかずつでも症状が和らいでいるのでしたら様子を見ていてよいと思います。日中からだを動かしているあいだ、からだは故障部位を治すひまがありません。だから夜間~安静時にこつこつとからだの修理を行いますが、「今は工事中(修理中)だからそっとしておいてね!」と、痛みで知らせてくれるのです。強い痛みでなければ、「からださん、ごくろうさまです!」と答えてあげてください。なにごとも方便ですから、強い痛みで困る場合は一時的に痛み止めを飲むのもかまいません。ただし長く続くようでしたら一度お医者さんに相談してください。
ねりまインクワイアラー 209 mRNAワクチンとは
新型のコロナワクチンはmRNAワクチンです。ワクチンを打つと、ウイルス表面にある特殊なタンパク質だけがmRNAの働きで作られます。ここからがポイントです。ウイルスそのものを体内で増やすのではなく、ウイルスの表面にあるタンパク質だけを体内で作り、免疫反応を起こすのです。そしてウイルスをやっつけます。
mRNAそのものはすぐに分解されて残りません。だから「体内でウイルスを増やす」ワクチンではありません。ワクチンを打った人がそばにいても感染することはありませんからご安心を。
これからの医療は
40年間医者をやってきて超高齢化社会、新型感染症の出現、テクノロジーの爆発的進歩(パソコンの普及からAIの出現まで)を経験しました。未来の人から見ても世の中の仕組みが大きく動いた時代に出会えたのかもしれませんね。これから医療の世界に足を踏み入れたいと考えている皆さんに向けてこの小文を書きました。
1 医療のやりかたが変わってきた
ちょっと前まで医療の仕事はどれだけ命を助けるかが目標でしたが、多くの病気やけがの治療が進歩して長生きする人がとても増えました。そして老化によるからだの故障・不調をどうするかに医療の関心が移っていきました。長生きするためのテクノロジーはさらに進歩するはずですが、結果得られた長い人生をどうやって過ごすのかが問いかけられる時代になってきました。若いころ救急外来で仕事をしていたときはかんたんでした。とりあえず目の前の患者さんをなんとかすることだけを考えれば良かったですから。これからはシンプルな治療からもっと複雑な対応をしなければならない分野までずっと幅広い対応が迫られる時代になっていくでしょう。
これまでの40年以上にこれからの世の中は急速に変化し、それにつれて医療関係者の仕事もどんどん変わっていくと思います。
2 医学だって世の中と連動している
毎日たくさんの患者さんと接していて思うのは、手仕事(自分の手を使って何かを生み出す仕事)をしている人がほんとうに少なくなったことです。料理、建築、美容、造園、接客業の人だって仕事の中身を細かく見ていけば何らかの省力化・オートメーション化が行われています。手間を省けばコストが下がりますから競争力が上がります。世の中の流れとしては当然なのかもしれませんが、このままではむかしながらの職人技がなくなってしまうのではないかと心配になります。
医療の世界はとりわけ高度テクノロジー化が進んでいるように見えますが、最前線の町のお医者さんレベル(大病院でも同じ)ではまだまだ目や舌を調べたり顔色を診たりすることも行われています。しかし最近のスマホができることから推論すると、AIと画像診断システムを組み合わせて患者さんを診るシステムは作れるはずです。腕時計のような装置が触診の代わりとなり脈や自律神経の状態をチェック、あとは指示された必要最低限の血液検査や画像診断をオーダーすれば「ハイ、アナタノ病気ガワカリマシタ!」と教えるマシンができあがるでしょう。
となると、未来の医療関係者(医師も含めて)はAIの指示を受けて動くテクニシャンになるのか、あるいはAIと協調しつつも従来の役割をたもっていくのか気になるところです。
3 AIはツール(道具)それともライバル?
よく言われるのは、AIは与えられた指示にもとづいて問題を解決することは得意だが、まったく新しい発想を生み出すことはできないということです。たしかにそうかもしれませんが、ちょっとしたくふうや発想の転換で生み出されるような発明・改良ならできる気がします。発明の大部分は従来からあるものの組み合わせですから、むしろ既成概念にとらわれないAIのほうが得意かもしれませんね。みんなで作る連歌と同じで、自分一人ではたどりつかないようなおもしろい趣向(発想)がみつかるかもしれません。
AIでもたどりつけないような、ほんとうに新しい概念にたどりつくのはごくかぎられた人たちになるでしょう。ただしAIのアイデアを現実の生活にあてはめていくのは人間なので、AI=あたまのいい相談相手くらいにとらえることもできそうです。イメージで言うと「りくつっぽいドラえもん」かな。
またAIには人間によって生み出された以上、どうしても乗り越えられない壁があります。たとえばいま地球の人口は100億と言われていますが、人口増大が地球温暖化などの環境問題や食料問題にどのように影響しているのか慎重に判断しなければなりません。すこしばくぜんとした言い方に聞こえると思いますが、仕事・食べ物・勉強・休日の過ごし方・家族のあり方・人生の目標など具体的な私たちの生活に大きく影響することでしょう。こういった地球規模の問題はAIでなく人間たちが決めるほかないと思います。
4 これからの医療は
同じように人間の感情もAIが乗り越えられない壁になります。予測不能、おもむくまま、いいかげんではあるがときにこまやか、繊細になる心の動きを扱うのは人間同士でないと難しいでしょう。病院の入り口ではAIが活躍するけれど、そこからはAさん、Bさん、Cさん・・・・・・・一人一人にちがう対応が求められます。治療技術や初期対応では人の仕事が減っていくかもしれませんが、人と付き合い、話し、ときには笑ったり、おこったり、はげましたりする仕事はこれからも続いていくでしょう。未来のお医者さん、医療人に求められるのはたんに「治す」だけでなく、AIと協力しながら「元気にする」「はげます」「安心させる」技術です。でもそれだとむかしのお医者さんとさして変わらないのでは?と思いませんか。そうなのです。時代が変わっても、いつでも根っこは同じなのです。
ねりまインクワイアラー 208 蚊が少ない
今年は蚊が少ない気がしますが、暑すぎてボウフラが育つ水たまりが減ったせいでしょうか。でも生物は進化します。そのうちどんなに暑くても元気な蚊が出てくるかもしれませんね。
サルコペニア(筋肉減少)とは
もともと太りにくい体質なのですが、ケガからの回復期に一番苦労したのは「筋肉がなかなかもどらない」ことでした。今回は年齢が上がったときにどうやって筋肉量を増やすかについてのお話です。
1 サルコペニアとは
かんたんなサルコペニアのみわけ方は、両手の親指と中指でわっかを作り、ふくらはぎの太さを診る方法です。わっかのなかをふくらはぎがすっと通り抜けたらサルコペニア、ひっかかるようだったら筋肉量はじゅうぶんです。実際に私がやってみると左はひっかかりましたが、5年前にけがをした右はやや細いようです。このあいだウルトラマラソン(70キロ)を走ったのにまだ細いのか⁈とちょっとがっかりしました。
でもはじめのころと比べたら全然ちがいます。左右の筋力差が大きくて、疲れるとびっこをひいていたのが最近はだいぶ良くなりました。けがによる筋委縮も、全身のサルコペニア(筋肉減少)もおおもとの理屈は同じで、使う量が減れば筋肉がやせ、増えれば筋肉が太ります。最近では筋肉の量が想像を超えて健康にかかわることがわかってきました。
気をつけなければいけないのは見た目の太い・細いでは必ずしもサルコペニアがみわけられないことです。そんなときは本人にあおむけに寝てもらい、調べる人がかかとから足を持ち上げて左右に動かしてください。重く感じたら筋肉が十分ついています。思ったより軽いと感じたらサルコペニアの可能性が高いです。
2 サルコペニアがなぜ良くないのか
移動できなくなる・・・慣れないところに出かけたり、ふだん以上に動いたときにどっと疲れが出てきませんか?もしそうならサルコペニアの可能性があります。明治・大正の時代、人はもっと歩きもっとからだを使っていました。いざというときの体力(予備能力)がなくなると外出がおっくうになり、さらに体力低下を招きます。
新陳代謝が下がる・・・からだが冷え、暑さ・寒さに弱くなります。発汗能力が下がるので夏の暑い盛りに熱中症になりやすいです。地球温暖化の影響でこれからの夏はもっと熱くなりそうなので、汗をかける能力を保つことが重要になるでしょう。
内臓や免疫機能に悪影響・・・筋肉からでるマイオカイン(ホルモンの一種)は脳や内臓にも影響を与えます。まだまだわかっていないことが多いのですが、筋肉量が少なくなるだけで元気がなくなったり、免疫力が低下する可能性が指摘されています。
3 なる理由は
年齢はあまり関係がない・・・サルコペニアは年寄りがなるものと思われてきましたが、最近では年齢に関係なく起きると考えられています。これからお話しするように、栄養と運動量が深くかかわっています。
栄養(とくにタンパク質)不足・・・食事中のカロリーが高めでも、タンパク質の摂取量が少ないとサルコペニアになりやすくなります。一日平均で男性60グラム、女性50グラムが必要と言われていますが、食材は豊富だがタンパク質の量が十分に摂れていない人が多い印象があります。
同じ運動ばかりではだめ・・・散歩は立派な運動ですが、散歩だけでは全身の筋肉への刺激にはなりません。ゴルフ・ボーリング・キャッチボールなど上半身の運動を取り入れ、階段や坂道を積極的に使いましょう。元気な人はハイキングやランニングをしてみましょう。
4 今からでもおそくはない
ふだんの食事を見直そう ・・・じゅうぶんにタンパク質をとることがとても重要です。自分でどれくらいたんぱく質をとれているかは計算することができます。ネットで「素材・料理の名前+タンパク質」と入力・検索してください。右表によくある料理のタンパク質量をあげてみました。
筋トレの効果を上げるこつ ・・・じゅうぶんなタンパク質量をとれないときに運動すると、逆にサルコペニアが進むことがあります。筋肉などのタンパク質が分解されエネルギーに利用されるためです。筋トレの直前~直後にたんぱくをとると筋肉がつきやすいと言われています。
バラエティのある生活習慣 ・・・家にこもらず外に出ましょう。用事は自分でみつけましょう。スポーツクラブや体育館のトレーニング室を利用して暑さ・寒さに関わらず体を動かしましょう。係りの人(トレーナーさん)にやり方を聞けばていねいに教えてくれるはずです
ねりまインクワイアラー 207 カイロウドウケツ
カイロウドウケツはカイメン^_^の仲間で海の中の岩に固着して育ちます。このなかでみつかるドウケツエビはかならず雌雄のつがいになり、一生をカイメンのなかで暮らします。そこでカイロウドウケツと言えば仲の良い夫婦の象徴・縁起物として扱われるようになりました。漢字では「偕老同穴」と書きます。
その痛みは筋肉痛かも
痛みの原因が筋肉にあると説明した時、「筋肉痛ですか⁈」と驚かれることがあります。骨や関節の痛みだとふんふん(なっとくです)と聞いてくれるのですが、筋肉の痛みと言われると軽くあしらわれたように感じるようです。
でも‼それはかんちがいです。筋肉の痛みを見落として、別の故障とまちがうことは珍しくありません。診たてがちがえば治療もちがってきます。筋肉なら筋肉向けの治療があるのに、骨や関節向けの治療を続けたなら効果が出ません。だからきちんと筋肉の故障をみつけることが必要です。
1 プロとアマでは言葉の用い方がちがう
プロが筋肉痛という時、その意味は「筋肉に原因がある痛み」のことを指します。多くの人たちが考えるような「がんばったり疲れたときに出てくる痛み」のことを指しているわけではありません。たしかに運動不足の人がいつもよりがんばった時に感じる痛みも筋肉痛の一例ですが、筋断裂(肉ばなれ)、DOMS(後述)、炎症、血流障害や感染症(ウイルスなど)などさまざまな原因で筋肉痛がおきます。一番多くて外来でしょっちゅう診るのはトリガーポイントです。筋肉の中に押すと痛いしこりができるのですが、みなさんにしてみればごく普通の生活をしているのにできるのですから、筋肉が原因と言われてもすぐに納得できない気持ちはわかります。そして筋肉痛の診断をさらにむずかしくしているのが「関連痛」の存在です。
2 関連痛とは
Aさんは手関節痛の相談で病院を受診したのに腕の筋肉が原因と言われた
Bさんはおなかの痛みで受診したのに筋肉が原因と言われた
Cさんは腰痛で受診したのに腎臓に石があると言われた
Dさんは右肩の痛みで受診したのに、調べたら肝臓の病気だった
上にあげた4人のケースはいずれも関連痛を発症した人たちです。A,Bさんのような相談は多くてしょっちゅう経験します。C,Dさんのようなケース(内臓が原因でからだの痛みが生じる)はときどき診ます。関連痛がおきるのは、からだのありとあらゆる部分が神経でつながっているからだと言われています。神経は複雑な配線図で区分けされていますから、関連痛が起きるときは同じ神経のグループ同士で痛みの共有(混線)が生じます。だから神経の配線図を細かく知っていれば、関連痛の配置から原因部位を突き止めることができるのです。
3 筋肉の故障はなぜおきるのか
トリガーポイントの場合、①使いすぎ②疲労の重なり③運動不足が発症の三大原因です。たとえば在宅ワークで家の外に出ることが少なく、朝から晩までパソコン作業、運動の習慣がなくて睡眠不足気味の人を想定すると、三大原因全部があてはまってしまうのでトリガーポイントができやすくなるわけです。
一見逆のようですが、アスリートの人たちもトリガーポイントを作りやすいです。トレーニングをする≒体に負担をかけることなので、適度な量を越えたトレーニングが続くと疲労が重なりトリガーポイントができやすいです。またスポーツには故障がつきもので、故障を抱えながらトレーニングを続けることで逆に筋の負担を増やしさらに故障を招くことも珍しくありません。
筋の炎症でまず思い浮かぶのはインフルエンザです。あの何とも言えない重だるい節々がうずく感じ・・・はウイルス性筋炎のサインです。新型コロナ、伝染性紅斑(リンゴ病)も筋肉痛を起こすことで有名ですが、ふつうのかぜだって筋肉痛を生じることがあります(もともとコロナはかぜウイルスです)。
そしてDOMS(遅発性筋痛:ドムス)です。かなり強度のきつい運動をやった後に、歩けなくなるくらい強い筋肉痛が生じます。筋細胞があちこちで破壊され、壊死したところに新しい筋細胞が生まれてきます。ここまでやるのは✖ですが、筋肥大のためにボディビルダーやウエイトリフティングの選手がわざとやることもあります。
4 筋肉痛のみつけかた
正常な筋肉は指で押してもそれほど痛むものではありませんが、自分で筋肉をあちこち押すと痛いところが見つかるかもしれません。トリガーポイントには活性型(実際に痛みを生じるタイプ)と潜在型(ふだんは痛みを生じないタイプ)の二つがあります。押して痛い筋肉はあるものの症状がない場合は潜在型だと思います。経験上たくさん歩く職業の人は下半身に、パソコン作業の人は上半身にトリガーポイントがみつかることが多いです。専門的にはもっと細かく診わけるのですが、みなさんはまず自分が痛いと感じる場所を触ってみてください。触って痛くない場合は周辺の筋肉を触りましょう。痛みを感じる場所の上下左右を広く押して痛みを感じる箇所がみつかったらトリガーポイントかもしれません。みつけたら一日数回マッサージしてみましょう。あれ?痛みが消えた!と思うときが来るかもしれませんよ。
ねりまインクワイアラー 206 財布を落とした!
電車の中で財布を落としました。クレジットカードの停止、保険証紛失の届出など今はオンラインでできるのでたいへん助かりました。でも大失敗!あとでお財布がみつかりホッとしました。
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