目白ヨシノ治療院

目白ヨシノ治療院は新宿区下落、目白駅から徒歩3分、マニュアルメディシンを用いたマッサージ、手技治療,リハビリの専門治療院です。病院では特に問題のなかったつらい症状、日常生活で困る痛み、肩こりや腰痛、首の痛み、またはよく分からない目の奥の痛みや頭痛など機能障害に関する問題の治療を行っています。

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松ぼっくり通信電子版
高野台松本クリニックの院長、松本不二生(ふじお)先生が体にまつわるあれこれを書いた松ぼっくり通信。読めばカラダに役立つ、読むサプリです

高野台松本クリニック 177-0035 練馬区高野台1-3-7NFプラザⅡ三階 
℡03-5372-7773

(整形外科・リハビリテーション科・漢方外来

松ぼっくり通信

松ぼっくり通信 2023年 1月号 

前頭葉をきたえよう

 手足のけがや腰痛などくびから下を中心に診ていますが、なんでけがをしたのか、痛みが出たのかをつきつめると、からだを動かさないことがきっかけとなったケースが多いです。そしてからだをしっかり動かすためには、脳を元気に使うことが必要なのです。

 前頭葉の役割

だれだって楽はしたいものです。いつもと同じ毎日、深く考えず過ごしていれば気楽です。でもそれだけだと脳が退化します。とくに脳の前方にある前頭葉の働きが弱ってしまいます。前頭葉が司っているのは、強い意志を持ち、粘り強く計画し、実際に行動する力です。

脳やせき髄(中枢神経)は生まれてから死ぬまで絶えず改変されています。よく使うところは強化され、あまり使わない部分は委縮していきます。前頭葉を使わないでいるとしだいに委縮し、いざ!というときに働かなくなっていきます。体のほかの部分と同様に、委縮の程度がある一線を越えてしまうと機能不全が戻らなくなります。認知症と呼ばれる状態ですが、実際は腎不全・心不全と同じく、脳不全になっているのです。

2 よく聞き、一考する

脳の健康のため、前頭葉を働かせましょう。まず第一歩は「よく聞く」ことです。外来で診察していると、(この人はほんとうにわかってるのかな?)と思うことがあります。みょうに受け答えが軽く、聞き流しているような印象、あとで聞いてみると要領を得なくなっている。そんなに珍しいことではありません。

医療にかぎらずその道のプロに接することがあるはずです。趣味や習い事でかなりの経験を積んだ人から話を聞くこともあるでしょう。そういう時、相手の言葉をしっかりと聞き取りましょう。わからないことは質問してください。ことばの選び方にその人なりの含蓄があり、人柄や考え方が現れています。聞きたいこととちがう回答だった場合、まず一回飲み込み、落ち着いて考える習慣をつけましょう。心を柔らかくして、いろいろな可能性に心を開くことが脳を鍛えます。怒る、はねつけるなど拙速の反応は機械がショートしたのと同じで、脳にダメージを与えます。

3 すぐに実行する

言うは易く行うは難し。ことわざにあるとおり、誰にとっても何かをやるのは大変です。わたしの経験でいうと、いきなりなにかすごいこと、かっこいいことをしようとするとまず失敗します。適当に、興味のおもむくままに、ちょっといいかげんにやりはじめると、案外長続きするようです。はるかむかしの学生時代、優柔不断な自分に嫌気がさして(いろいろ考えずにまずやってみよう)と思いたちました。40年以上たったいま思い返してみて、失敗することもありましたが大すじはそれで良かったなーと思っています。

すべてを準備せず、走り出してから考える。ビジネス書にありそうな内容ですが、最近の脳科学の研究からも正しいことがわかってきました。とりあえずやってみると、脳の中の回路が働き始め、最初大変だと思っていたことでもなんとかなるものです。これができなくなるのが高次脳機能障害の一つ、遂行機能障害で、前頭葉のはたらきが落ちているサインです。病気やけががよくなっていて本人さえその気になれば歩けそう、でも実際には歩けない。最近リハビリの現場では、こういう方を見ることがめずらしくありません。歩かないのか、歩けないのか?まわりは悩みますが、やはり認知症がかかわっているケースが大半だと考えています。認知症の予防のためにも前頭葉を鍛えましょう。

4 前頭葉を鍛えるには

自分を抑える・・・前頭葉のダメージが強くなると感情の抑えが聞かず、すぐに怒ったり泣いたりするようになります。怒りやすい人はなぜ自分が怒りを感じるのか、一度立ち止まって考える習慣をつけましょう。日ごろの生活でも、自分ばかりを優先せず相手の立場を思いやったり、気遣う言葉をかけるなど、前頭葉訓練のチャンスがごろごろ転がっています。

欲望がお手伝い・・・ちょっと前ですが、京都の山中でみつけたレストランがなかなかおいしくて、またハイキングで行ってみようかな!と思っています。食欲・物欲そのほか基本的な欲望は行動への大きなドライバーになります。うまく活用して行動範囲を広げましょう。

肩書・立場からはなれる・・・身にまとっているものにいつのまにかとらわれていませんか。だれもあなたのことを知らない場所やイベントに身を置いてみましょう。ただのおじさん・おばさんになって素のままで行動すると新鮮です。心のオーバーホールになりますよ。

エイヤ!とやってみる・・・なにかをしてみたいと思ったとき、心の中でできない理由をさがしていませんか?ほんとうにできないことなのか、それともやらないですむ理由を探しているのか。よく考えてみましょう。やるかやらないか迷ったとき、とりあえず「やる!」の選択ボタンを押してみましょう。これも心の訓練の一つ、失敗もあるでしょうが、だんだんと「やる!」を選ぶことに抵抗がなくなってくるはずです。

ねりまインクワイアラー 189 マスクとお国柄

 日本は世界で突出してマスクの使用率が高い国です。コロナの疫病対策は世界中で知識が共有されていますが、あとはお国柄、住んでいる人たちの考え方が反映されているようです。

 

ねりまホンゾー No.307

トレビス

見た目は紫キャベツに似ていますが、チコリの仲間です。食べてみるとかすかな苦みがあり、葉が柔らかい印象です。サラダのほか焼いてもおいしいそうです。

 

松ぼっくり通信 2022年 12月号

コロナで激変!どう暮らすか

先日、ある学会でこれからのコロナ対策について講演を聞きました。コロナはこれからもまだまだ続くだろう、すっきりとおしまいにはならず、だんだんと風邪の一つになっていき、ワクチンは年一回になっていくのではないかというお話でした。わかってはいたものの、ちょっとがっかり、でも元気に暮らす方策が必要です。今回のお話です。

1 世の中のしくみが一変した

緊急事態宣言前の2020年2月、青梅マラソンに参加したとき、電車は超満員、だれもマスクは付けておらず、フツーに走ってフツーに帰ることができました。それからの出来事は皆さんもご存じのとおりです。もちろんランニング大会などのイベントは一切行われず、みんなが息をひそめて家でじっとしている状態が続きました。人々の行動形態がいっきに変わり、仕事、学校、家庭生活にものすごい影響が出ました。

2 ワクチンの意義

これまでにコロナワクチンを4回受け、近日中に5回目も接種予定ですが、正直うっとうしいです。まわりの医療関係者もよろこんで打っている人はまずいないです。仕事柄もあって、流行予防(軽減?)にワクチンが有効という情報を聞いているから、(まあしょうがないか)と考えている人が大半です。

新型コロナは変異性が強いため、新しい変異株が出ると急いでワクチンを作ります。RNAワクチンは比較的早く作ることができますが、理屈上先回りができないので、どうしても追いかけっこになるのが残念です。でも集団感染のスピードを抑えて死亡率を減少させることができますから、ワクチン接種を推進するのは意味があります。

一言でいうと、ワクチン接種は「世のため、人のため」になります。ただし、ワクチン接種がむずかしい方(副反応が強い人など)もいますから、心配な方は医師と相談して受けるかどうか決めてください。

3 若い人はどうする?

ある意味、コロナの影響を最も受けたのは若い人たちです。学校、友人関係、就活、キャリア形成など、一生でもっとも大事な時期に大きな波をかぶりました。たぶん100年で一回あるかという大きな転回点だと思います。先輩たちの経験や積み重ねられたデータが通用しなくなり、手探りで人生設計を考えざるを得なくなりました。

中世のペスト流行ではヨーロッパの人口の3分の2が亡くなり、社会のしくみが根底からゆすぶられました。極端な人手不足から農奴制が崩壊し、農業以外の産業が発達し、宗教にとらわれた価値観からはなれ自由にものを考える習慣が広まっていきました。当時の人たちも苦しい毎日を送っていたはずですが、長い目で見るとチャンスが広がる世の中に変わったともいえます。コロナ流行も同様だと私は考えています。

若い人たちへのアドバイスはシンプルです。日光を浴び体を動かして体力を養いましょう。あなたたちの時代はもうそこまで来ています。そしてワクチン接種を受けてみようかな?と考える人が増えてほしいと願っています。

4 年寄りは?

超高齢化社会にコロナ流行がかぶって、国の社会保障費が激増しています。年金受給年齢の繰り上げなど、ありがたくない話題も増えてきました。ここでは、自分たちができることに目を向けてみましょう。

● 必要以上に恐れない・・・動ける人は家にこもりきりを避けてください。街中でも人混みでなければマスクを外して歩くことができますが、お店、病院そのほかエチケット上マスクをつけた方がいい場所では付けましょう。コロナに感染した場合、もとからある病気(慢性疾患)が悪化して亡くなる人が増えています。運動不足は多くの慢性疾患の悪化を招きます。散歩をするならはじめから何歩までと決めず、疲れるまで歩きましょう。いつも同じところを歩かず、スピードに緩急をつけたり、坂や階段にもチャレンジしてください。バス・電車賃を持って物見遊山に出かけるのも手です。
● スマホ・パソコンをやろう・・・やると意外なくらいおもしろいし、意外なくらい簡単です。遠方の孫との会話も楽しめます。より年をとって足腰が弱ったとしても、遠くの家族・親戚や友人と歓談できます。自分の世界が広がりますよ。
●働くのもあり・・・長く患者さんを診ていて、ご高齢で働いている方はやっぱり違います。働くことのメリットは収入プラス人付き合い・頭の体操・運動不足の解消で大きいです。ボランティアだってすごくいいと思います。

 

ねりまインクワイアラー 188 あのころ、町に基地があった

所沢の航空公園のそばに広大な空き地をみつけ、調べたら米軍の通信基地でした。基地と言えば…立川にいたころ、まわりには米軍の外人ハウス(家族住宅)がいっぱい、基地の子たちと遊んだりけんかしたり。家に遊びに行くと広い芝生でパターゴルフをしたり。空ではゴーゴー飛行機が飛び交っていました。駅前には英語看板の店があちこちに。いろいろなことを思い出しました。

 

ねりまホンゾー No.306

プロトタキシーテス

地球上にまだ一本の木も生えていなかったころ、巨大なキノコが生えていました。キノコといっても笠はなく、ヘタだけですが高さはなんと9m(3階建てのビルなみ)もあったそうです。
その後、様々な制限が少しづつ緩和されてきましたが、コロナ前の生活に戻れることはないでしょう。わたしもマスクが苦手ですが、おそらく仕事の時はマスクをずっと付けることになるのでは?と予想しています。マラソンなどのイベントがやっと開かれるようになりましたが、感染対策のため運営がずいぶん変わりました。これも今後変わらないはずです。皆さんが感じている毎日の変化は、これからもずっと続き、日常の一部になっていく可能性が高いといえます。

松ぼっくり通信 2022年 11号

関節を元気にしよう!!

 20年ほど前、はじめてマラソンを走った時のことです。帰りがけ、膝が痛くて駅の階段が上がれず苦労しました。1週間は横断歩道をわたりきれず、車にクラクションを鳴らされました。その後走り慣れてくると痛みは軽くなり、しだいに痛みを意識せずに走れるようになってきました。ところが⁈ 今回のお話です。

1 むかしとった杵柄(きねずか)はありません

 数年前に右足の骨折をしてからすべてが変わりました。細かい話は省きますが、アキレス腱の故障⇒骨折⇒手術をくぐりぬけた数年間で右脚の筋力がガタ落ちになりました。歩くのはOKでも、まともに走れません。感覚でいうと、マラソンを始める前、運動不足で体調を崩したころより悪くなった気がしました。

 「ゼツボー!」と一瞬思いましたが、すごろくで振り出しに戻ったのと同じ、またやるしかないと思いました。それからまた数年がたち、なんとか格好がついてきました。年を取った分スピードは出ませんが、これからも楽しんで走っていきたいと考えています。

 むかしスポーツをしていて、久しぶりに同じことをやろうとすると、気持ちは同じでもからだが全くついていかない。みんなはじめはそうなのですよ。でも気を取り直して続けていけば、またちょっとずつ上手になっていくのです。

2 軟骨のせいばかりにしないで

軟骨がすり減ったから、ひざ(股関節そのほか)が痛いのだと考えていませんか?そう書いてある本や、お医者さんの説明があったかもしれません。医学生のころ、軟骨についてイの一番に学んだのは「軟骨には神経が存在しない」ことでした。神経が通っていないところは痛みを感じません。だから、お医者さんたちも(軟骨が痛みの直接の原因でない)ことは知っているのですが、いまでも関節痛の原因をクリアに説明できていないので、「軟骨がすり減っている」で話を終わりにしがちなのです。

そこで関節に関係がありそうなことをぜんぶ調べていくのです。ひざ一つとっても、軟骨以外に骨、筋肉、じん帯、血管、神経そのほか細かな組織が縦横無尽につながっていて、ひざから離れたところまでたどって調べることが必要です。そして離れたところに原因が見つかることがしばしばあります。

マラソン練習中の関節の痛みは大半が筋肉性でした。骨やじん帯の痛みもありました。神経痛もたっぷり経験しましたが、いまでもたまにぶり返します。痛みとの付き合い方をお話ししましょう。

3 痛みとつきあう

痛み=絶対悪ではありません。温感・冷感・触感などと同じようにからだに必要な情報です。だから痛みと相談しながら体を動かしましょう。動き始めは痛いけれど、だんだん軽くなるようだったらとりあえず動いていいでしょう。反対に動けば動くほど痛みが強くなるようだったら、運動を休止するのが安全です。

経過を見るのも大事です。週~月単位で痛みが軽くなっているのなら、とりあえず運動を続けてみてください。一瞬顔をしかめるような痛みがあっても、そのあと痛みが消えているときは大丈夫なことがほとんどです。うずくような痛みが長く続いたり、夜間睡眠を妨げるような痛みが出るときは運動を休止し、お医者さんに相談してみてください。

筋肉が弱ってくると痛みが出やすくなります。運動不足の人は少しづつ運動量を増やしていくといいでしょう。急に運動量を増やすと、あちこちの故障を招きがちです。

4 関節を元気にするひけつ

  • 軟骨はざぶとん・・・お尻の下にざぶとんを敷くと楽になるように、骨にかかる衝撃を減らしてくれるのが軟骨です。軟骨を長持ちさせるには①適度な有酸素運動と休養のめりはりをつける②ミネラル・タンパク質に富んだ食事③長く座り続けず(背骨の軟骨=椎間板に良くない)こまめに動いてください。

  • 骨も重要・・・意外と骨の痛みが関節痛の原因だったりします。ビタミンD不足に注意!

  • 筋肉はばね・・・ 縄跳びのようなはずむ動きを練習してください。関節にかかる負担をやわらげます。

  • じん帯にスローな筋トレ・・・ゆっくりしたスクワットはひざのじん帯を強化します。回数よりも、ゆっくりやることが大切です。慣れたらウェイト(重し)を使って負荷をかけるといいでしょう。

栄養食品について・・・コラーゲンはタンパク質の一種で、皮膚・骨・筋肉などからだのすべてを形づくるもとになっています。コラーゲンそのものを口から摂取しても、消化管内でアミノ酸に分解され、もとのコラーゲンがそのまま体に入るわけではありません。現状では割高な栄養食品だと思った方がいいでしょう。スーパーで売っているゼラチンはコラーゲンの一種です。ゼリーを作って食べるのもいいですが、軟骨・牛すじ・煮こごりなどコラーゲンを多く含む食事をとるのが賢い方法だといえます。コンドロイチン・グルコサミンサプリについての最近の研究では、効果が疑問視されているようです。

ねりまインクワイアラー 187 10キロ歩こう

活発なライフスタイルを続けるために、10キロ歩くことを目標にしてみましょう。この辺からは池袋・所沢・小金井公園などが10キロ圏内です。2・3時間の行程ですから半日運動し、行った先で遊んでください。

 

ねりまホンゾー No.305

クリ

秋の味覚の代表ですが、日本産のクリは渋皮とりが面倒です。子供のころ、母親が買ってきたモンブランケーキを食べて「こんなにウマいものがあったのか!」と感動しました。以来、モンブランケーキは好物の一つです。生モンブランにも挑戦してみたいです。焼き甘栗もおいしいですね。

松ぼっくり通信 2022年10月号

おうちエクササイズのめやす

 2年ほどにわたるコロナ感染症の影響なのか、以前と比べ体力がめだって落ちた方をクリニックで診ることが増えました。こういうとき、だいじなのはふだんの暮らしの中で体を動かして、体力を上げていくことです。できるだけ安全に、でも効果的におうちエクササイズを行うためのアドバイスです。

1 JABCとは?

 ふだんの暮らしの中で実際にやっている動作(ADL)を分類したもので、介護保険などで実際に使われているものです。これを使うと、おおまかなその人のイメージが浮かんできます。

  • J 外出できる人。ほぼ自由に動ける人と、ご近所ぐらいは動ける人に分かれます。

  • A 家のなかでは動ける人。手助けがあれば外出もする人と、ほとんど家から出ない人に分かれます。

  • B 屋内でも手助けが必要な人。車いすへ一人で乗り移れる人と手助けが必要な人に分かれます。

  • C 一日ベッドで過ごす人。寝返りができる人とできない人に分かれます。

2 J(外出できる)の場合

キーワードは「忍耐・不屈・楽観的」です。おうちエクササイズが一番向いている人たちですが、そのぶん油断して気がつかないうちに体力を落としているかもしれません。歩くスピードが遅くなった、疲れやすくなった、急に年を取ったと人から言われた。こんな方は要注意です。

リハビリの結果はすぐに出ないようにみえますが、じつはやったらやっただけのことが返ってきます。歩くのがおそくなった⇒速く歩く練習をする、階段が疲れる⇒階段をこまめに登るのようにテーマを決めて動きましょう。しだいに速く、疲れずに歩き回れるようになってきます。

3 A(家の中では動けている)の場合

キーワードは「安全確保」です。つかまり歩きをしている人が多いので、家の中ならなんとかなるものの外に出ると、とたんに危なっかしくなります。歩行器やシルバーカー、つえは役立ちますが、つかまって動くことに慣れすぎて足が前に出なくなっているかもしれません。もう一歩前へ!を心がけて、つかまるのは念のため、あくまで足でしっかりと立つことを心がけましょう。

だんだんとつかまらずに動けるようになったら、外出の準備をしましょう。玄関で腰を下ろし、靴を履き、立ち上がる。ここが関門!バランスを崩して転ばないよう気をつけてください。

家の中では何かにつかまって(転ばないように)スクワットを繰り返します。手が滑ってケガしないようにおしりの下にいすを置いておくといいでしょう。何回やればいいのかというと、足が疲れたーと思うまでやってください。それまでは何回でも、何千回でもやってかまいません。できなくて困ることがあったら、遠慮なく介護保険などの公的サービスを利用しましょう。思ったよりもかんたんです。

4 B(屋内でも手助けが必要)C(一日ベッドで過ごす)の場合

キーワードは「本人・家族だけでかかえこまない」です。ご本人や家族のがんばりだけではどうにもならないことがいっぱいあるはずです。だれかの手助けをもとめることは恥でも何でもありません。ここまでくると外出まで持っていくのには相当の覚悟が必要です。外出時に車いす、ヘルパーさんの手助けや介護タクシーの利用などが必要です。日中ひとりにしてはかわいそうと思って、家族がずっと付き添っているケースがありますが、長い目で見るといろいろ無理が出てきます。公的サービス(介護保険など)を利用し、ケアマネさんや保健師さんに相談してみましょう。一人で悩むよりまず電話一本!区役所や出張所に相談してください。

本人ができることは?体は思うように動かなくても、手助けしてくれる人を手助けすることはできます。できることはする、けれどむりせずに。何もできなくても、「ありがとう」の一言でまわりもほっとするかもしれませんよ。

5 だいじなことは

  • じっとしている=なにも変わらないではありません。じっとしているだけで体力はどんどん落ちていきます。プロペラを回していないと落っこちるヘリコプターのようなものと考えてください。コロナ禍でも外に出て歩きましょう。動きましょう。

  • 脚力がそうとうに低下しても、意外なくらい立って歩けます。けれどもつまずいたり、急によけたときが危ない。ふんばれず転んでしまいます。日ごろからスクワットをしたり、階段の上り下りをして脚力を鍛えておくことです。

落ちるのは筋肉だけではありません。骨も関節も肺や心臓も、おまけに脳だって落ちます。ひさしぶりに体を動かそうと思っても、足が重く、息が切れ、すぐに疲れる。出だしはそんなものです。あきらめずに続けていくこと。これがいちばん大切です。

ねりまインクワイアラー 186 カンゾー先生

誰を診ても「カンゾーが悪い!」と言ったカンゾー先生は、坂口安吾の小説、榎本明さん主演の映画で有名となりました。実際には、地元伊東で有名な名医だったそうです。

松ぼっくり通信 2022年 9月号

人間だから・・・みんなくせがある

 だれでも考え方に個人の性向(くせ)があって、その人の持ち味になっています。今回はそのなかで、いくつか気になるくせについて書いてみました。

1 既定路線で走ってしまう

 今までこうやってきて、まちがったことはなかった。だから今回もうまくいくだろう。人はどうしてもこんなふうに考えがちです。たしかに十のうち九は、百のうち九十九はそうかもしれませんが、そうでないことも起こります。

マヤ文明の滅亡の理由はおどろきです。もともと雨の少ない土地だったのですが、貯水池などの工夫で農業を行い長らく繁栄してきました。ある年、雨が長く降らないときもマヤの人たちは(またなんとかなるだろう)と楽観視していました。ところが想像を上回る長期の干ばつが続き、農業システムが崩壊して住民が町から逃げ出した結果、マヤ文明は数年で滅んでしまったのです。

 街角の小さなクリニックですが、はたからみると同じようなぎっくり腰や五十肩を相手にしているように見えるかもしれません。でもみんな違うし、なかにはむずかしい病気がまぎれこんでくることもあり、既定路線で仕事をしないように気を付けています(でもむずかしい・・・ときもありますね)。

2 聞きたいように聞いてしまう

 あれ!そんなこと言ってないのに?いいえ、そう言ったよ!よくある口げんかですよね。じつは会話のとき、わたしたちは厳密にあいてのことばを聞いているわけではありません。言葉をいくつか拾って、そのときの状況とか過去の似たような会話体験を参照しながら記憶しています。だから、話し手の意図とはちがう形で相手が記憶するのは普通にあることです。

 おどろくのは文章のようにしっかりと形が残るものであっても、読んだ人の解釈の仕方で意味が変わってしまうことです。ときには書いた人が言いたかったことを、読んだ人がまるっきり反対に解釈する場合もあり、文学的な内容であるほどあやふや、不確かになる気がします。

 医療の世界も例外ではなく、「インフォームド・コンセント」(説明にもとづく合意)で、お医者さんと患者さんがきちんと理解しあえているかは?のケースがあるかもしれません。まずはわからないときに遠慮なく質問することで、少しでもギャップを縮めてみましょう。

3 自分基準がきつすぎる

 医者の側から見るとそうとうに良くなっているのに、患者さんは不満げということはよくあります。こまかく聞いてみると、たしかに完ぺきでないかもしれない。でも、仕事も運動も問題なくできていて、薬を飲む必要もないとなればOKと考えてみてはいかがでしょうか。

 中高年の人と話して、「治る=20歳のからだにもどる」と思っている人が意外と多いのです。だれでも年を取ればくたびれます。あちこちすり減ります。それでもきちんと手入れをすれば元気に暮らせます。あとは気持ちの問題、からだが完ぺきだから楽しいのではなく、じぶんのからだを自分なりにせいいっぱい使っているから楽しいのだと考えましょう。

 完ぺきであることと、幸せは別です。ときにはおおらかであることも大切ですよ。

4 物事の道理をわきまえている(ほんとう?)

 たしかに年をとれば経験が深まりますが、経験が足かせにもなることははじめにも書きました。わたしたちの判断力は、自分で考えているほど合理的ではないことが認知科学の研究からわかっています。自分があたりまえだと思っていることを、ほかの人はどうしてあたりまえと考えていないのかというと、だれにとってもあたりまえのことなどこの世に存在しないからです。

 今はやりの「多様性」でも、多様性を認めるということは、「おまえの意見などくそっくらえだ!」という人も認めるということなのです。あなたの道理はほかの人の道理ではない。このことを自覚して、意見が異なるからコミュニケーションが必要なのだと思ってください。

自分がやらないと決めていることがほんとうはあなたに向いているかもしれません。たとえば料理や家事はからだもあたまも使います。トライしてみては?興味ないと思っていたことでも、やってみたら意外と肌に合うかも?なにごともゼロベースで、もっと心をひろく、柔らかく使ってみ

ねりまインクワイアラー 185 ダンスの勃興

 わたしがもっとも遠い世界のことだと思っていること。それはダンスです。子どものころからこまかな動きをするのは苦手でした。でも最近のインスタグラムやフェイスブックを見てびっくり!こんなにいろいろなダンスがあるのに驚きです。アラブのはげしい身をたたくような動き、中央アジアのダンスでは女性の空中をすべるような動きに魅了されました。アイリッシュ・ダンスのリズミカルな足の動きはちょっとまねしたい気が・・。ネイティブアメリカン(インデアンと呼ばれていた)のダンスを見ると、遠い昔のアジアとのつながりが見える気がしました。こうして見てみると、日本の踊り(なかでも阿波踊り)もなかなか魅力的ですね。