目白ヨシノ治療院

目白ヨシノ治療院は新宿区下落、目白駅から徒歩3分、マニュアルメディシンを用いたマッサージ、手技治療,リハビリの専門治療院です。病院では特に問題のなかったつらい症状、日常生活で困る痛み、肩こりや腰痛、首の痛み、またはよく分からない目の奥の痛みや頭痛など機能障害に関する問題の治療を行っています。

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2017年

松ぼっくり通信 2017年 2月号

筋肉痛とつきあう

 よくある話ですが、「筋肉痛が原因」と説明されて、「じゃあ、ほっといてもいいんですね?」と聞いてくる患者さんがいます。なかにはもっと深刻な病気があると思って受診したのに、筋肉痛と言われてがっかりする人もいるようです。いいえ、筋肉痛なら治療がいらないということではないし、軽くあしらっているのでもありません。また、なかなか取れない頑固な痛みが筋肉痛の場合もあります。誤解の多い「筋肉痛」の話です。

1 ほっといてもいい筋肉痛とは

運動不足なので久しぶりにハイキングに出かけたら、帰ってから二三日は体のあちこちが痛かった。こんな経験は誰でもあります。からだはふだん使っている状態に合わせて体を作ります。たくさん動いている人にはたくさん動いても大丈夫なように骨や筋を強化していきます。あまり体を動かさない人では、今の暮らしに耐えられるくらいの強さにしかならず、いつも以上の運動をすると筋肉や腱の組織にダメージが生じ、痛みを自覚します。一般的な筋肉痛とは、こういった2・3日で治る軽いダメージのことです。

 さらにきついダメージが残ると、1・2週間筋肉痛が消えないことがあります。これがDOMS(ドムス=遅発性筋痛)で、筋肉にかかる負担が強すぎて筋肉細胞がところどころダメになっている状態です。ダメになった筋肉細胞は壊死しますが、そばにある予備細胞が発達してもっと強い負担にも耐えられる筋肉細胞に変わります。これを続けていくといわゆるアスリート体形になり、ボディビルダーのように極限まで筋肉を増大させることも可能なのです。DOMSも基本的に体の修復システムの一部ですから、うまくいっている限りお医者さんが関わることはありませんが、ときに痛みが残ることがあります。

2 筋肉痛が長引いたとき 

からだの修理が進まなかったり、修理するたびにじゃまが入ったりすると「いつまでも痛みが残る」状態になります。

栄養のアンバランス、睡眠不足や過剰なストレスなど治癒のメカニズムを阻害する理由はたくさんありますが、筋肉の場合、運動方法の過ちが治りを遅らせる大きな理由になります。オーバートレーニング(運動のやり過ぎ)、ミスユース(誤用、フォームの問題や誤ったトレーニング法)やディスユース(使わないと弱くなること)があると、故障した部位がなかなか回復せずいつまでも痛みが続きます。痛みの個所を調べると、筋肉内にひきつれやしこりが残り、引っぱられたり押されると痛むようになります。こういうときにストレッチやマッサージが効果を発揮します。

3 肩こりは筋肉痛?

 ただし、はり・こり・筋肉痛の診断は意外とむずかしいです。例えば肩こりの治療でマッサージを受けたがなかなか良くならないという相談は多いのですが、調べてみるとくびの骨(頸椎)やせなかの骨(胸椎)に故障が見つかることがあります。神経のつながりではり・こり・痛みを感じるが、筋肉そのものは硬くなっていません。くびや背中の治療で症状が取れてくると、患者さんも納得してくれるようです。同じように太ももやふくらはぎに痛みがあって、筋肉を押すと痛むという相談はたくさんありますが、腰のヘルニアや脊柱管狭窄症がほんとうの原因であることもめずらしくありません。ほんとうのこり・筋肉痛なのか、神経痛なのかで治療法はちがってきますから、「こったから、押すと痛むから筋肉のマッサージ!」と決めつけないことです。

4 筋肉痛とつきあう

 はじめにお話ししたように、体を日ごろ動かしていない人が久しぶりに運動することで筋肉痛になるのはあたりまえであって、むしろトレーニングになった!!と思っていいでしょう。若い人・運動を定期的にしている人ならDOMS(遅発性筋痛)のレベルまで追い込むのもありです。でも運動不足や高齢の人は?私の経験をお話ししましょう。生まれて初めてフルマラソンを走った後の1週間、筋肉痛のために階段が登れず、横断歩道を渡り切れず大変困りました。それなりに練習を積んでこうなるのですから、人によっては筋肉痛と疲労で寝たきりになることもあると思います。ちょっとしたはりや痛みを感じるくらいならオーケー、でもやり過ぎには気を付けながら体を動かしていきましょう。

ねりまインクワイアラー 122 マイナースポーツは究極の遊び

 今まで紹介したもの以外にも、世の中に知られていないスポーツはいっぱいあります。どこかの街角で、ごく親しい友達だけでする遊びでも、それなりのルールがあって楽しく参加できるならそれはスポーツです。どれだけ上達してもやっていない人にはそのすごさがわからないし、有名人にもお金持ちにもなりません。体力や反射神経の向上に役立つかもしれないけれど、それはおまけです。きつかったり難しくなくてもスポーツになりますし、ボッチャのように体力より頭脳勝負のものだってあります。ポケモンゴーも、将棋や囲碁も広い意味でスポーツです。

 楽しくて好きなことをみつけてチャレンジしているなら、あなたも(マイナー)スポーツマンというわけです。

松ぼっくり通信 2017年1月号

 「老い」に負けない5箇条

 年の初めにはみなさんに元気を与えられるお話をしたいと思っています。最近は自分でも年かな?と思うことがあるので、ちょっと切実な気持ちで書いてみました。

 

1 受け入れることはあきらめることではない

 20代以降は基本的に老化のプロセスが進行していますが、急に故障がでても自然治癒力がはたらいて「なんとかなる」ことがほとんどです。でも完璧にもどるのではないことも理解しましょう。故障がなくても、からだがなし得る最大のパフォーマンスは落ちていきます。例えば最大心拍数は毎年二拍ずつ下がっていきますし、100メートル走のスピードは年齢が上がるごとに落ちていきます。誰にもこういった老化の影響がでることはさけられません。

しかし、平均的な暮らしをしている人ならば相当な伸びしろが残されているのも事実です。ジョギングを続ければ体は軽くなり、息切れしそうな階段を駆け上れるようになります。ダンスを続けていけばはじめはぎこちなかった動きが滑らかになり、羽が生えたような軽やかな動きができるようになるでしょう。あせらずにストレッチやヨガを続けていたら、だれでもからだは柔らかくなります。バーベルをほとんど持ち上げられない人が地道に続ければ、必ず持ち上げられる日が来ます。何歳からでもその気さえあれば人には伸びしろがあります。あきらめずに続けていく。若い人と同じにはいかないけれど、今の自分ができることをする。老化を理解しながらも、あきらめないで続けていくことです。

2 発想は柔軟に

 野球やテニスをずっと続けてきたが、肩を痛めてサーブや投球がちゃんとできなくなってしまった。ランニングを長年やっていたが、走ると膝が痛むようになった。こういった相談は珍しくありません。こまかい診断は省きますが、一時的な休養、練習内容の調整、動作やフォームのくふう、ストレッチや筋力強化などの補強やクロストレーニング(ほかの運動を取り入れること)など、運動再開に向けてできることはたくさんあります。

 自分が望むようなレベルで練習や競技ができないから、そのスポーツと全くちがうことに挑戦するのも手です。ほかのスポーツに限らず、音楽や絵画などの芸術活動、園芸やボランティア活動に参加するのもありです。まったく料理や洗濯をしなかった人がそれに挑戦してみることも立派です。自分はこうである、こうしなくてはいけないという思い込みにとらわれている人は、いちどそこから離れてみることです。心が自由になると、結果的にからだも楽になり健康にも良い効果が生まれます。 

3 健康番組とあなたの健康は別物

 テレビや雑誌の健康番組は見るとおもしろく、「へーそうなんだ!」と引き込まれます。番組制作のプロはやっぱりすごいですね。でも中身をすぐに自分にあてはめることはやめましょう。あれはあくまでもショー番組です。おもしろい切り口をとらえることと、一人一人の健康に責任を持つことはまったく別の仕事です。同じくネットの内容も慎重に吟味してください。わかりやすい主張がいいとは限りません。宣伝や偏った意見のほうが目立つし数が多いものです。自分は影響を受けやすいと思う人は、テレビの健康番組やネットの記事を見ないほうがいいかもしれません。

4 怒らない

 五千年前のエジプトの碑文に「今の若いものは…」と書いてあったそうです。いつの時代も年寄りは怒りっぽいイメージがあるようです。でも、そんなに怒らなければいけないことってあるのでしょうか?じつは怒っているのは、自分がイライラしているからでは?苦手だったり、自分が理解できないことに直面したり、忙しくて手が回らなくなったりしたときに怒る習慣ができていませんか。怒る前に相手の立場になって考えていますか?私自身も反省するところ大です。感情的に怒ることは脳の回路がショートしたのと同じであり、あなたの脳(そして心)にもよくありません。怒らずに考えることは、脳の機能訓練・リハビリととらえましょう。

5 「幸せ」だけを追い求めない

 脳の中にはエンドルフィンという「幸せホルモン」があって、これがたくさん作られると人は幸せを感じます。体のほかの部分と同じように、活発に働くタイミングと休養するタイミングが交互に訪れることで脳のバランスが保たれています。言い換えれば、いい時と悪い時が交互に訪れるのが正常な状態です。風の中に花の香りを感じたり、いつもよりおいしく料理が出来上がったり、美しい景色に出会ったり、小さな幸せを見逃さないようにしましょう。五感を刺激するために外に出かけましょう。足が疲れるからこそ、行った価値があります。苦労したからこそ、やった価値が生まれます。受け身ではなく、自分から働きかける。人に言われるのではなく、自分で面白いものを見つけていく。「いやだ」「やったことがない」「いまさら」と言わないで、新しいことにチャレンジしていきましょう。

松ぼっくり通信 2016年12月号

神経障害性疼痛のはなし

 武田鉄矢さんのCMをご覧になった方は、シンケイショウガイセイトウツウって何だろうと思ったのではないでしょうか。診察中にはなかなかじゅうぶんに説明できていない気がします。あらためてお話しします。

1 痛みには種類がある

 たんこぶ、切り傷や骨折など。こういうわかりやすい痛みのことを、侵害受容性疼痛(しんがいじゅようせいとうつう)と呼びます。痛みを感じる神経の末端が刺激を受けて痛みを感じます。ところが神経障害性疼痛では、神経そのものに故障が起きて痛みがおきるので、神経が通っている部分(末端部)には何も問題がなく痛みを感じます。世間一般で神経痛と呼んでいるもの、帯状疱疹後の神経痛や特殊な痛み(片手症候群・CRPS・視床痛など)がこれに入ります。

 もうひとつ、忘れていけないのが心因性疼痛です。この場合も痛みを感じる部位には本当の故障は見つからず、心理的な原因のために痛みを感じます。気のせいではなく、この痛みはほんとうに痛いのです。痛みが起きるしくみははっきりわかっていませんが、脳の過敏性や筋・血管の攣縮が関係していると考えられています。

 これとは別に急性疼痛と慢性疼痛という分け方もあります。けがや病気のために痛むものは急性疼痛ですが、けがや病気が治ってから時間がたっても痛みが残る場合を慢性疼痛と呼んでいます。慢性疼痛ではいろいろな痛みが混じっているといわれていて、治療にいろいろ工夫が必要です。

2 神経は電気配線 

 神経障害性疼痛がわかりにくいのは、痛みの原因の場所と感じている場所が同じでないからです。

 頭の中でステレオセットを想像してみてください。ラジオやCDを操作する本体と左右のスピーカーは配線でつながっていますね。本体から配線をつたわって電気信号がスピーカーに流れ、音楽を楽しむことができます。どちらかのスピーカーが鳴らなくなったとしたら、①スピーカーが壊れた②つないでいる配線が途中でおかしくなった③本体が故障した④電源コードが抜けていた⑤停電などいろいろ原因を考えつくと思います。神経障害性疼痛はこのうちの②(一部③も入る)にあてはまります。スピーカーはまったく壊れていないが、配線に問題があって音が出ない場合です。むしろ接触が悪くて音が変になっている状態といったほうが近いかもしれません。

 肩が痛いのに首に原因があったり、膝が痛いのに腰に原因があったり、神経障害性疼痛はよくあります。とくに年齢が高くなり、背骨の変形が進んでくるとちょっとしたことから神経痛がおきてきます。本人にしてみると本当に肩や膝が痛むので、原因が別のところにあると言われてもすぐに呑み込めないのもわかります。痛みそのものは目に見えるものではないので、なおさらわかりづらいと思います。正直に申し上げると、お医者さんたちにとっても判断が難しいことがめずらしくありません。

3 神経障害性疼痛のみわけかた

 コマーシャルで言っているように「じんじん」「びりびり」「ちくちく」とした痛みが代表ですが、「ずきん」と刺し込むような痛みのこともあって、感じ方だけで区別するのは難しいです。背骨の変形やヘルニアが原因の場合、姿勢や体の動かし方で痛みが変化するので、患者さんにいろいろな格好をとってもらって痛みの度合いを聞いていきます。

 実際にはかなり細かい観察が必要になります。たとえばひざがしゃがんだり立ったりするときに痛むという人を診るとします。立った状態からしゃがむとき、腰椎も反る動きをするので、脊柱管狭窄症のある人では神経痛としてのひざ痛がでることがあります。もちろん膝関節の炎症がある人も屈伸で痛みますから、パッと目にはどちらも同じ症状です。そこでさらに腰や膝の細かい動きを観察してどちらがほんとうの原因かを考えます。

 あたりまえでもすごく大事なのがひざ(痛みを感じる部位)をきちんと診ることです。ひざに熱や腫れがあれば膝に問題があることがはっきりしますから、神経痛の可能性は低くなるというわけです。

4 良くするには

 すり傷を治すには、上にばんそうこうをあてて傷を保護し、皮膚がもとに戻るのを待ちます。神経痛を回復させるのも基本はすり傷と同じです。傷ついた神経が回復しやすいように、せぼねの動きや筋肉の使い方を練習します。神経に無理のない動き方を続けていれば、次第に神経は回復してきます。そのために、患者さんが積極的に治療にかかわることが必要です。注射や薬だけではなかなかすっきりしないことが多いので、人任せにせず、自分がやれることをやりましょう。かたい体は柔らかくし、弱った筋肉は強くする。病院で指導はできますが、やるのはあなたです。地味な努力をつづけることが結果に結びつくといえます。