目白ヨシノ治療院

目白ヨシノ治療院は新宿区下落、目白駅から徒歩3分、マニュアルメディシンを用いたマッサージ、手技治療,リハビリの専門治療院です。病院では特に問題のなかったつらい症状、日常生活で困る痛み、肩こりや腰痛、首の痛み、またはよく分からない目の奥の痛みや頭痛など機能障害に関する問題の治療を行っています。

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松ぼっくり通信電子版
高野台松本クリニックの院長、松本不二生(ふじお)先生が体にまつわるあれこれを書いた松ぼっくり通信。読めばカラダに役立つ、読むサプリです

高野台松本クリニック 177-0035 練馬区高野台1-3-7NFプラザⅡ三階 
℡03-5372-7773

(整形外科・リハビリテーション科・漢方外来

松ぼっくり通信

松ぼっくり通信 2021年 3月号

疲労と元気のあいま

 最近疲れやすくなったと相談を受けることがあります。疲れやすくなったと感じるのは、年のせい、運動不足のせい、あるいはストレスのせい?なかなかわかりにくいですね。今回のお話です。

1 精神疲労と肉体疲労

 慶弔に関わらず何かの式典や行事に出るのは疲れますが、まったく行ったことがない場所や知らない人ばかりだったりするとさらに疲労感が強くなります。このように同じ場所で同じ空気を吸っていても緊張感が強ければ疲労しやすく、リラックスできれば疲れにくくなります。これは脳の疲れ=精神疲労で、脳の調子が良いかどうかで疲労にどれだけ耐えられるかが決まってきます。

2 年をとると疲れやすいのか

 肉体疲労はわかりやすいです。ふだん以上にたくさん歩いたり、重いものをたくさん運んだ時の足のだるさやあちこちの筋肉痛を誰もが経験しています。筋肉内のエネルギーが枯渇したり、筋肉や腱のダメージが重なると、神経を伝って脳に連絡があり、(休んだほうがいいよ!)と言ってくるのです。しかし最後に判断するのはやっぱり脳なので、脳の調子がいまいちだと肉体疲労も強く感じることになるわけです。

 となると、脳を元気に保つことが疲れを癒す早道です。長年患者さんたちの相談をうけていても、気持ちに張りがある人はやはり疲れにくいと思います。

 脳の機能自体は、からだのほかの部分と同じく年齢の影響を受けます。神経細胞の数が減り、一個一個の神経細胞も年をとります。だから若い人と全く同じというわけにはいかないでしょう。でも脳のすみずみまでしっかり働かせて手入れを行っていれば、脳の老化を防ぎ、活性化させることができます。筋肉をいっぱい使うと筋肉の血流量が増えるのと同じように、脳をいっぱい使えば脳の血流量が増え、脳細胞が元気になっていきます。

 ただし、一か所だけを集中して使いすぎると無理が来るのも筋肉と似ています。だから脳の幅広い機能をまんべんなく使うこと、そして疲労をためないことが大切です。

3 線維筋痛症と慢性疲労症候群

 この二つは今の医学ではまだよくわかっていない病気です。繊維筋痛症は体中の節々が痛くなるとともに、疲労感やさまざまなからだの不調が起きます。慢性疲労症候群では通常よりはるかに強い疲労感が続くほかにも体中の痛みなど多彩な不調がおきて、日常の生活をすることが困難になります。

 どちらも原因がよくわからず、手探りの治療が行われていますが、いろいろな調査が行われて運動をすることはある程度役に立つことがわかりました。きつすぎず、本人にできる範囲で、少しづつ行っていくことがだいじです。原因不明ながらストレスが少なからず関係している病気なので、やはり脳の疲労=精神疲労が発病の一因なのかもしれません。

 近年こういった一見謎のような病気が増えてきたことと、ストレス過多な現代生活には何らかの関係があるようです。ストレスは有り過ぎても無さ過ぎてもよくないので、そのバランスをどうやって保つか。ここに疲労とうまく付き合う秘訣があります。

4 疲労と回復のバランスを

 脳をまんべんなく使い、脳のすみずみまで新鮮な血液が行きわたり、老廃物が除かれ、栄養分が届く状態にする。使えば疲れは出てくるが、ため込まないようにする。一か所だけ集中して使うと壊れやすいので、同じことばかりするのは避ける。ちょっと疲れがたまったら、しっかりと休養を取る。こうすれば脳の健康が保たれ、やる気が失われず、毎日元気よく暮らすことができます。そのためにだいじなことを整理してみます。

  • 使う(ストレスのかかる)ところは幅広く・・・脳にもからだにも言えることです。一か所に集中して負担がかかることを避けましょう。いつも同じことをぐるぐる考え続けたり、すわりっぱなしで長時間仕事をするなどをさけ、間に休憩を入れ、気晴らしをしたり散歩をしましょう。

  • 使っていないのはどこか考える・・・体を動かしたり、人とおしゃべりするなど、脳の広い範囲を使う機会を作りましょう。前はしていたが最近はやらなくなったこと、前からやってみたいと思っていたことなど、新しい経験をとり入れるのもすばらしいです。

  • 睡眠時間や食事をたいせつに・・・起き抜けにすっきりとしていれば、多少眠りが浅くても目が途中で醒めてもオッケーです。食事は幅広くいろいろなものを食べましょう。

  • ちょっとだけ無理を・・・人は楽に馴れるものです。ときどきいつもよりがんばってみてください。適度な疲労=適度なストレスは人生のスパイス、良いトレーニングになります。

ねりまインクワイアラー 167 コロナワクチン

 効くのか効かないのか。副作用は?といろいろ心配になりますが、最近のワクチンは作り方から一新されています。体の事情(病気・アレルギーなど)が許す方は、ワクチン接種をお勧めします。

松ぼっくり通信 2021年 1・2月号

良い姿勢のみつけかた

 姿勢がだいじだとよく言われますが、どんな姿勢がいいかにはだいぶ誤解があるようです。今回のお話です。

1 「良い」ってどういうこと?

 だれにもあてはまる良い姿勢がある。こう思い込んでいませんか。目鼻立ちがみなちがうのと同じように、体つきも千差万別です。ひょろっとした人もいれば、全体にまるい感じの人もいます。せぼねや手足の骨も形は千差万別なので、人とちがうからおかしい!ということはありません。

 良い姿勢とは「その人にとってもっとも無理がなく、骨や筋肉に負担がかからず、疲れにくい姿勢」のことです。だからどんなに人と違っていても、自分にとって快適で楽に動けるのならそれがあなたのベストの姿勢だといえます。

 友人や家族から「背中が丸くなった」とか「年寄くさい」と言われても、あなたが気持ちよく動けているのならそれでいいのです。見た目でいろいろ言われても、それは余計なお世話だと考えましょう。

 ところが知らず知らずのうちに余計な力が入って、姿勢が崩れることがあります。この姿勢では、世間に対して身構え、肩を怒らせ、胸を反らしあごを上げます。私は強い、負けないぞ!ゴリラの威嚇ポーズを思い出すとイメージがわくはずです。 2 「イケイケどんどん!」姿勢

実際には写真のようにもっと目立たないポーズですが、ストレスに負けず立ち向かおうとするとき、無意識にこういった姿勢となりがちです。土俵上での力士の姿勢が典型的です。戦う前の準備状態をあらわす姿勢ですが、全体に筋肉に力が入っていますから、長く続けると疲れやすいし、体のあちこちがこったり痛くなったりします。

厳しい世の中、ときにはこういう姿勢も必要です。企業戦士の姿勢。でもずっとこれだとくたびれてしまいますよ。

3 「かしこまってござる」姿勢

  できるだけ目立たないようにしたい。だから目線を落として姿勢が合わないよう、うつむき加減になる。自己主張をせず、背景に溶け込む感じ。「イケイケどんどん」とは逆の意味で、世の中を生き抜く処世術をあらわす姿勢です。

 家父長制が強かった昔、女性はこういった姿勢の方が多かった気がします。いや、今でもそうかもしれません。控え目、従順、やさしい感じ。男性で言うなら、ワンマン社長にかしずく秘書のイメージです。もっと快適な姿勢に比べると、ぜんたいに小さく縮こまろうとするので、これはこれで疲れやすいのです。

 伝統的な日本社会で美徳とされてきた慣習にぴたりと一致する姿勢。でもこれが習慣となれば、腰痛や肩こりの原因となりますよ。

4 良い姿勢とは流れる水のごとし

 良い姿勢とは、決して固まったまま動かない姿勢のことではありません。むしろ変幻自在な身のこなしと考えたほうがいいかもしれません。

姿勢は年齢で変化する・・・背骨はたくさんの骨がつながってできていますが、骨の間には軟骨(椎間板=写真の黒い部分)がはさまっています。年齢を重ねると、軟骨はどんどん厚みを減らし、背骨全体の湾曲が増して背中が丸くなっていきます。だから年を取って背中が丸くなるのは自然なことです。若い時より背中が丸くなったら、楽な姿勢=良い姿勢も丸くなっていきます。ときどき背筋を伸ばすのは構いませんが、いつでもまっすぐにしようとすると、かえって背中がつかれてしまいます。

かんぺきな姿勢でも疲れる・・・一番快適な姿勢であっても、長く立ち続けたり座り続ければ、やっぱり疲れてきます。姿勢を保つために働いている筋肉にすればずっと力を入れ続けていますから、疲れないわけがありません。だから疲れないためには姿勢をときどき変えたり、動き回ったり、寝転がったりすることが必要です。

姿勢のお手本は就学前の子供たち。じっとするのが苦手で、いつも動き回っています。学校に行ってじっとすることを教わる前ですから、体が感じるままに行動しています。どの子も自由に動き回っているとき、その姿勢・身のこなしは見事なものです。子供たちを見習って、大人の私たちも、もっと自由に、もっと身軽に動き回ることです。

ねりまインクワイアラー 166 男らしさ女らしさ

 マスクをしているのでリップはつけないという女性が増えているそうです。在宅勤務が増えて、会社の在り方や暮らし方にもいろいろなアイデアが生まれています。男らしさ・女らしさの見直しもその一つ。男だって男っぽくふるまう必要はありません。コロナがきっかけになり、もっと自由な生き方ができるようになるといいですね。

松ぼっくり通信 2020年 12月号

めずらしい相談

 ふだんの仕事では腰痛、五十肩や骨折・ねん挫などを扱うことが多いのですが、ときにはあまり出会わないめずらしい相談を扱うことがあります。今回は今までの経験から印象に残ったケースをお話しします。

1 お腹が痛くて立つことができない

 半年間大学病院に入院していた方のお話です。右のわき腹が痛くて入院し、たくさんの検査を受けましたが原因がつかめません。最後に整形外科の外来に受診した時に、たまたま私が診ることになりました。

 最初に気がついたのは、寝ている間は患者さんがまったく痛がらないことでした。ところが立たせると痛みが出て20秒と立っていられません。このように動作や姿勢で痛みがはっきり変わるときは原因が骨や筋肉にあることが多いのです。調べていくと右胸の肋骨に触ると痛いところがあったので、少し押してみました。ギャッと患者さんが叫んだのでヒヤッとしましたが、その直後から患者さんの痛みは消えて、1週間後に患者さんは無事退院されました。 このように基本的には小さな故障なのに検査で原因をつかみにくく、深刻な病気と誤認される場合をときに経験します。こういう故障を「体性機能障害」と呼びますが、その原因を考え続けたことが今の診療スタイルにいたるきっかけとなりました。

2 72時間止まらないしゃっくり

 仕事がらしゃっくりを診ることはなかなかないのですが、このときは内科の先生が困ったらしく私の外来に廻ってきました。三日間夜昼かまわずしゃっくりが続き、患者さんは食事ものどを通らず夜もまったく眠れず憔悴しきっていました。(どうすればいい?)と迷いましたが、以前くびの付け根にある神経を圧迫するとしゃっくりが治ることがあると聞いたことを思い出しました。患者さんに説明して、くびの脇にある神経の位置を両手で圧迫して数分経つと、しだいにしゃっくりが収まっていきました。

 しゃっくりの原因は横隔膜の筋けいれんです。だから横隔膜につながる神経を圧迫することでけいれんが落ち着いたのです。

3 くびの激痛

 くびを全く動かすことができない、ちょっとでも動かそうとするとあたまから背中にかけて激痛が走る。からだが弱っている人だとまったく身動きできず、救急車で病院に運び込まれる。こういうケースは今までも経験していましたが、あるときあたまの付け根にある関節を調べれば原因を見つけられることに気がつきました。環軸関節という特殊な関節に炎症が起きるとこういう症状になるのです。

 ふつうのレントゲン検査でうつりにくい場所なので触診が命なのですが、見つけてしまえば治療はわりあいかんたんです。ふつうの消炎鎮痛剤がよく効きます。

4 おなかがでんぐりがえる

 ときには患者さんの話を聞いてもよくわからない、すぐには話が呑み込めないときがあります。このときも「でんぐりがえる」ってどういうこと?と最初思いました。

 ところが患者さんのお腹を見るとびっくり!おなかがぐりぐりと動いていてでんぐり返るという意味がわかりました。これはディストニアという症状で、脳の病気や薬の副作用で出ることがあります。患者さんの内服薬を調べて、疑わしいと考えた薬を休薬していただくことにしました。2週間後、おなかはまったくでんぐりがえらなくなりました。

5 踊り続ける女性

 医者になってまだ日が浅いころのお話です。おかしな様子の人がいるので救急外来に来てほしいと連絡を受けました。行ってみるとベッドに女性が腰かけているのですが、右手だけを動かして激しく踊っているように見えます。

 一瞬(これは変わった人なのかな!)との考えが頭をよぎったものの、患者さんはきわめて真剣で、受け答えもしっかりしていました。話を伺うと、病院のトイレを使用中に突然症状がはじまったそうです。聞いた瞬間、脳の故障!を疑いました。

 そのまま神経内科に紹介、やはり脳出血ということで入院となりました。リズムの速いダンスのような動きをバリスムと呼びます。脳の基底核(中心部)に問題があると起きる症状の一つです。トイレでいきんだことが発症のきっかけになったのでしょう。

 こうやって昔の経験を書いてみると、やはり問診と診察が大切だと感じます。忙しいとついおろそかになってしまいがちですが、これからも話を聞く・体を診るをていねいにやっていかねば!と改めて思いました。

ねりまインクワイアラー 165 ビタミンDふたたび

 北海道をはじめとしてコロナの第3波が懸念されています。冬場はウイルスの生存時間が長くなることと、日光に当たる機会が少なくなりビタミンDの体内合成が減ることが問題点として挙げられています。免疫機能を高めるビタミンDの合成のため、できるだけ肌に日光を浴びるようにしましょう!

松ぼっくり通信 2020年 11月号

まず行動せよ‼

 赤いアメと青いアメ、どっちから食べるか?こんな小さなことでもなかなか決められない子供でしたが、二十歳のころに(これではいかん!)と思って読んだのが「はじめに行動があった」(アンドレ・モロア著)です。これを読んで衝撃を受け、以来考えつつ行動し、行動しつつ考えるのを心がけてきました。いいことも悪いこともあったけれど、おおむねこれで良かった気がします。今回はいかに行動することが大事なのかをお話しします。

1 行動とは脳の働きである

 行動するかどうかを決めているのは、ひたいの奥にある脳の前頭葉という場所です。以前は大人になってから脳の機能を変えることはできないと考えられていました。ところが最近の脳科学から、脳はいくつになってもトレーニングできることがわかってきたのです。手足や体幹を鍛えることができるのと同様、脳も鍛えることができます。反対に使わなければ、手足と同じく脳もしなびてきます。

2 すべてを分析するのはムリ

練習すれば速く走れるようになるのと同じように、脳の機能も鍛えることができます。行動する、決断するといった能力もまた鍛えることができるわけです。

 ゲームの世界では、短時間で判断することが求められるもの(サッカーや格闘ゲームなど)と比較的時間を自由に使えるゲーム(将棋やカードゲームなど)があります。私たちのふだんの暮らしでも、同じように短時間で決めて行動するときとじっくり考えてから行動するときがあります。ライフステージで見ると、子供のころは瞬発的に自分のしたいことをする時期、大人になると熟考し慎重に判断をすることを学ぶ時期だと言えるでしょう。

ですが大人になっても短時間の判断を求められる瞬間があります。事故に巻き込まれそうになったら、どちらに逃げるか一瞬の判断が生死を分けるときがあります。そこまでではないにせよ、日常でもバーゲン会場のように短時間で物を決めなければならないときがあります。

 短時間で何かを判断し行動するとき、あらゆることを分析する余裕はありません。それでもうまくいくようにするにはどうしたらいいのでしょうか?

3 カンに従え

 そこでだいじなのが「カンに従う」ということです。見た瞬間、聞いた瞬間に「コレだ!」と思うことがあったら、迷わず飛び込んでみる。まずやってみて、それでどうなるのか見てみる。うまくいくならゴー!だめならやめればいい。いい意味で臨機応変、状況に応じて方法を変えたり、もっと自分がやりたい方向にシフトしていく。心も体もかろやかにステップを変えていく。年を重ねるとこういったことが苦手になってくる人がいますが、はじめにお話ししたように脳は鍛えることができます。「いまさら」「私は苦手」「もう年だから」というフレーズを使わずに、ちょっとやってみて、後から考える。これは脳の若返り運動にもなります。

 カンが働くとき、じつは言葉にしにくいさまざまな情報を脳は解釈しています。悩んでいろいろ考えたけれど、最初に思いついたことが正解だったという経験は誰にもあるはずですが、脳の働きから見てもうなずけることなのです。

4 行動こそリハビリ

 からだを動かすこと=元気と考えて診療していますが、外来で診ると腰の重い方たちが多いと感じています。万全の構えができるまでじっと様子を見ていると、「へたな考え、休むに似たり」ということわざ通りになってしまいます。少しだけ「傾向と対策」をお示しします。

  • 時間がない… ほんとうに時間がない人もいますが、たいていの場合は言い訳になっています。5、10分でもいいので、こまめに頻回に体を動かしましょう。テレビ体操でも、ストレッチでも、軽い散歩でもオッケーです。ちりも積もれば山となりますから。

  • 運動すると疲れる… あまりにもつらいときはドクターに相談してください。多くの場合は、運動不足による体力低下です。ちょっと疲れるくらいなら適度な運動ですから、しばらく続けると楽になってくると思います。

  • 病気(けが)がある… 運動の可否・注意点をドクターに相談しましょう。多くの慢性疾患では運動は禁忌でなく、むしろ体に良い・必要であるとされています。

  • 気が進まない… 自信がない・やったことがないので不安・人前に出るのがおっくうだ・お金がかかるのでは?など引っかかりがあるなら、知り合いに聞いたり、見学してみるのも手です。でも案ずるより産むが易し。長い人生経験の中で皆さんもわかっているように、たいていのことはやってみれば何とかなるものです。

ねりまインクワイアラー 164 コロナはこれから?

 コロナ流行が長引き、コロナ疲れを感じるようになってきました。これからを予測するにあたってカギとなるのは、①寒い時期に流行が広がるか否か②ワクチン完成・接種のタイミングの二つで、コロナ特別措置が見直される来年2月ごろが節目になりそうです。いまは三密回避、マスク、手洗いの3点セットで頑張るしかなさそうですね。もう一つ、日光浴も忘れずに!

松ぼっくり通信 2020年 10月号

「ほっといていい痛み」をみわけるには

町のクリニックの役割は、ゲートキーパーだと言われています。ゲートキーパーとは、門を通すか通さないか判別する門番のことで、転じていいものと悪いものをみわける意味で使われています。からだの故障にはほっといていいものといけないものがあり、できるだけシンプルに確実にみわける(診断する)ことが必要とされているわけです。今回のお話です。

1 ほっといてもいい痛みとは

 先日ジョギングをした後、腰が痛くて伸びにくくなりました。一夜明けると痛みはかなり良くなっていて、ほっといて良かったなと思いました。ほっといてもいい痛みとは、「重大な病気や故障ではなく、とくに治療をしなくても治る可能性が高い」「痛みはあるがまあまあふつうに暮らせる」「一時的には痛みがあっても、体調には大きな影響がない」タイプの痛みのことです。 良性の痛みと言い換えてもいいかもしれません。しかし痛みそのものはかなり強いことがあり、痛みの強さで計れません。むこうずね(弁慶の泣き所)を思いっきりぶつけたとか、ある種のぎっくり腰(筋けいれん)などはすごく痛いのですが、これに当てはまるでしょう。骨や筋だけでなく内臓や神経系にもほっといていい痛みがあるので、まとめてお話ししてみます。

2 なぜ、痛みがあるのか

 痛みそのものは体に必要なメッセージシステムです。だから建物に煙検知器やガス漏れ検知器があるのと同様、体のすみずみの故障を見逃さず教えてくれます。痛いと感じたら無理をしない。無理をしないから体が治る機会を作れる。とてもうまくできたシステムなのです。

 医療機関でいろいろ調べてもらったけれど、痛みのはっきりした原因がつかめないとき、(原因不明だから、むずかしい病気なのでは?)と思うかもしれません。しかしその多くはほっといてもいいからだの故障です。

 たとえ話をしてみます。練馬区外の人に「練馬区で知っている場所」を聞いたとします。としま園、光が丘公園や石神井公園の名は出るかもしれませんが、実際にはもっとたくさんの地名があって、さらに丁目や番地があり、たくさんの人が暮らしています。一般的な病名はその土地の有名スポットみたいなもの、街のあちこちで無数の小さなアクシデント(ガス漏れ・水漏れなど)が起きているのと同じように、有名スポットでない体のあちこちで毎日小さな故障が起きています。そして小さいだけに診察が難しく検査でも異常が出にくく、また自然に治ることがほとんどなので、病名がつかないことが多いのです。

3 ほっといてはいけない痛み

 では、ほっといてはいけない痛みはどんなものなのでしょうか?

  • じっと動かないでいても強い痛みがあって、食事や睡眠がさまたげられる

  • 動かしたときの痛みだが、歩く・座るなどの日常生活にかなりの妨げとなっている

  • 発熱、吐き気、めまい、便通の異常やしびれなど痛み以外の症状があり、しだいに強くなっている

  • 周りから見て、ぼうっとしている・受け答えがおかしいなど意識障害を疑う場合

  • 局所の腫れや熱が目立つとき

  • 不安や興奮状態が続いて、本人や周囲の管理が難しいと感じるとき

 こういったときはためらわずにお医者さんにかかることをお勧めします。

4 自分でみわけるには

 ちょっとどこかが痛いけれど、いつも痛いわけではない。とりあえず仕事や家事はできている。ご飯もおいしいし、夜も眠れる。出るものは出ているし、痛み以外は体調に目立った変化がない。あるいは動くとちょっと痛いけれど、この1.2週間で少し軽くなってきた印象がある。こんな感じのときは、様子を見てもいいと思います。

 はじめは軽いと感じていたが、しだいに痛みが強くなってきた。痛む回数が明らかに増えてきて、かばう動作がでたり、まわりの人からも気づかれるようになった。こんなときは受診をお勧めします。

 痛みそのものは軽いけれど、同時にさまざまなからだの不調も感じるときも要注意です。内臓の病気で痛みが出ることがありますから、深刻な病気がないことを確認するためにも一度診てもらったほうがいいでしょう。 年齢を重ねると、若いころよりあちこちが痛くなるものです。痛みを理解し、上手に判断の材料に使えば、必要以上に恐れることなく、仕事をし、スポーツを楽しみ、自分のやりたいことをする手助けになるはずです。

 

ねりまインクワイアラー 163 スウェーデンのコロナ対策

 スウェーデンのコロナウイルス対策は基本的に何もしないことです。集団免疫を早くつけることが収束の近道と考えているからですが、周囲の国より死者数が多くなっても方針はぶれません。社会保障・福祉に手厚いことで有名な国ですが、医療や死生観の考え方は国でほんとうにちがうのだなと実感します。