目白ヨシノ治療院

目白ヨシノ治療院は新宿区下落、目白駅から徒歩3分、マニュアルメディシンを用いたマッサージ、手技治療,リハビリの専門治療院です。病院では特に問題のなかったつらい症状、日常生活で困る痛み、肩こりや腰痛、首の痛み、またはよく分からない目の奥の痛みや頭痛など機能障害に関する問題の治療を行っています。

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2023年

松ぼっくり通信 2023年 2月号

一日1万歩

 クリニックをはじめて5年めのある日、急に呼吸が苦しくなり動けなくなりました。その後も気分が悪く長くは立っていられません。食事がのどを通らず、腕がしびれ、夜もぐっすり眠れなくなりました。自分で(ストレス性?)と診たてたものの、クスリを飲んでもふらふらするだけでした。そのとき役立ったことが二つあります。ひとつはスタッフがしてくれたマッサージ。そして今回お話しする一日1万歩のウォーキングです。

1 1万歩のひみつ

正確には「数千から1万歩」ぐらい、毎日歩きました。1万歩って長いと思いますか?軽快に歩くと、だいたい1時間で6・7千歩は歩けます。家の用事や仕事中が3千歩(人によりけり、少ない人や多い人もいる)とすれば一日1万歩はそう大変ではありません。クリニックの休み時間を使って、一日30分くらいから始めました。はじめはのんびり歩いてもふらふらしましたが、やってみると(これならなんとか続けられるかな)と思いました。

1か月を過ぎたあたりから(良さそう!)な気がしました。となりの駅やふだん行かないあたりまで足を延ばし、ときどき電柱一本ぐらい走ってみたりするうち、しだいに体調が戻るのを感じ始めました。その後はご存じのように、元気になりました。マラソンやトレランをやり、ストレッチや筋トレが習慣になりました。それなりに年を取ったものの、まだまだやれそう!と思えるようになりました。

最近の研究で「1日1万歩の習慣がもっとも長生きしやすい」という報告があります。それより少なくても効果はありますが、1万歩までは寿命の延伸効果があり、それ以上歩いてもあまり変わらないのだそうです。私なりに解説してみます。

2 歩くことで脳のスイッチを切り替える

あのころ仕事が急に忙しくなったうえ、医師会の仕事も加わって心と体がまいってしまったのだと思います。運動不足だとわかっていたものの、忙しくてそれどころでない!というのが当時の正直な気持ちでした。今はわかるのですが、「できない」理由は実際に時間が取れないというよりも、気持ちに余裕がなかったのです。気持ちの切り替えができず、いつも同じことをぐるぐる考えている。これでは脳が休まりません。スイッチがいつも入りっぱなしで、オーバーヒートしている状態ですね。

これを良くするために大事なのは脳のスイッチをこまめに切り替えることです。いつも同じ脳の部分ばかりを使っていると故障しますから、いろいろなところを順番に使い分ける必要があります。ボーっとしていても歩けるように感じるのは、意識に上らない部分の脳を活発に使っているからできる芸当なのです。

おおむかし、狩猟や採集で人が暮らしていたころ、今以上に脳全体の機能をフルに使って暮らしていたはずです。脳の健康を考えるなら、できる範囲でご先祖様のライフスタイルに近づいたほうがいいのです。いのししに追いかけられたときは必死だけれど、みんなでたき火をかこみ腹いっぱいのときは幸せになる。これは脳のスイッチが切り換えられるからできたことなのです。

仕事や世の中のしくみが複雑になったためか、現代の私たちは絶えず心配したり、イライラしがちです。そんなとき、ただ歩く。それだけで脳のスイッチが切り替わり、心も体も元気になっていきます。その最適量が一日一万歩ぐらいなのでしょう。

3 歩いて元気になるコツ

歩くことのデメリットはほとんどなく、普通に暮らしている人の大半は今以上に歩いたほうがいいです。でもマンネリ化したり、効果を感じられなくなったりする人が出るかもしれないので、こつをお教えします。

4つの変化を使い分ける・・・歩く距離、ペース、フォーム、テレイン(地形)の4つのうち一つだけを変えてみる。たとえば少し長い距離を歩いてみる。少しペースを上げてみる。腕の振りや姿勢を変えてみる。平べったいコースから坂道のあるコースに変えてみるなど。一つの変化だけなら、その結果がいいか悪いかシンプルに判断できる。進歩の具合や弱点もわかりやすい。

結果は1・2週後に判断する・・・いつもより疲れたと感じるのは良いトレーニングだった可能性あり。ちょっとたってから同じ条件でやってみると進歩がわかるはず。

仕事や家事とセットで考えよう・・・いろいろな理由で疲労はたまるもの。本当に疲れたときは休みましょう。

4 もっと気軽に

寒い季節、でも背中に日差しが当たればぽかぽかと暖かい。小さな子供だった頃、公園で走り回ったり、砂場で遊んでいたときにそんな経験をしたはずです。犬も歩けば棒に当たる。人も歩けばおもしろいことにぶつかります。用事がなくても、いや用事がないからこそ外に出てみませんか。車のように速くはないけれど、そのぶん町の空気、におい、風の流れを感じることができます。初めて行った街角や商店街を見物し、おいしそうなものを見つけたら、その場で食べたり、お土産に。歩けばあなたの世界が広がります。

 

ねりまインクワイアラー190コロナ後遺症

 コロナは全身感染症なので、もともと体の弱点だったところがさらにダメージを受けます。だから腰痛の人は腰痛の悪化、持病のある人は持病の悪化が起きやすいのです。

 

ねりまホンゾー No.308  ジャポチカバ

木の幹から直接実がなります。ブラジルではポピュラーな果物ですが、日持ちしないので日本では売っていないようです。

松ぼっくり通信 2023年 1月号 

前頭葉をきたえよう

 手足のけがや腰痛などくびから下を中心に診ていますが、なんでけがをしたのか、痛みが出たのかをつきつめると、からだを動かさないことがきっかけとなったケースが多いです。そしてからだをしっかり動かすためには、脳を元気に使うことが必要なのです。

 前頭葉の役割

だれだって楽はしたいものです。いつもと同じ毎日、深く考えず過ごしていれば気楽です。でもそれだけだと脳が退化します。とくに脳の前方にある前頭葉の働きが弱ってしまいます。前頭葉が司っているのは、強い意志を持ち、粘り強く計画し、実際に行動する力です。

脳やせき髄(中枢神経)は生まれてから死ぬまで絶えず改変されています。よく使うところは強化され、あまり使わない部分は委縮していきます。前頭葉を使わないでいるとしだいに委縮し、いざ!というときに働かなくなっていきます。体のほかの部分と同様に、委縮の程度がある一線を越えてしまうと機能不全が戻らなくなります。認知症と呼ばれる状態ですが、実際は腎不全・心不全と同じく、脳不全になっているのです。

2 よく聞き、一考する

脳の健康のため、前頭葉を働かせましょう。まず第一歩は「よく聞く」ことです。外来で診察していると、(この人はほんとうにわかってるのかな?)と思うことがあります。みょうに受け答えが軽く、聞き流しているような印象、あとで聞いてみると要領を得なくなっている。そんなに珍しいことではありません。

医療にかぎらずその道のプロに接することがあるはずです。趣味や習い事でかなりの経験を積んだ人から話を聞くこともあるでしょう。そういう時、相手の言葉をしっかりと聞き取りましょう。わからないことは質問してください。ことばの選び方にその人なりの含蓄があり、人柄や考え方が現れています。聞きたいこととちがう回答だった場合、まず一回飲み込み、落ち着いて考える習慣をつけましょう。心を柔らかくして、いろいろな可能性に心を開くことが脳を鍛えます。怒る、はねつけるなど拙速の反応は機械がショートしたのと同じで、脳にダメージを与えます。

3 すぐに実行する

言うは易く行うは難し。ことわざにあるとおり、誰にとっても何かをやるのは大変です。わたしの経験でいうと、いきなりなにかすごいこと、かっこいいことをしようとするとまず失敗します。適当に、興味のおもむくままに、ちょっといいかげんにやりはじめると、案外長続きするようです。はるかむかしの学生時代、優柔不断な自分に嫌気がさして(いろいろ考えずにまずやってみよう)と思いたちました。40年以上たったいま思い返してみて、失敗することもありましたが大すじはそれで良かったなーと思っています。

すべてを準備せず、走り出してから考える。ビジネス書にありそうな内容ですが、最近の脳科学の研究からも正しいことがわかってきました。とりあえずやってみると、脳の中の回路が働き始め、最初大変だと思っていたことでもなんとかなるものです。これができなくなるのが高次脳機能障害の一つ、遂行機能障害で、前頭葉のはたらきが落ちているサインです。病気やけががよくなっていて本人さえその気になれば歩けそう、でも実際には歩けない。最近リハビリの現場では、こういう方を見ることがめずらしくありません。歩かないのか、歩けないのか?まわりは悩みますが、やはり認知症がかかわっているケースが大半だと考えています。認知症の予防のためにも前頭葉を鍛えましょう。

4 前頭葉を鍛えるには

自分を抑える・・・前頭葉のダメージが強くなると感情の抑えが聞かず、すぐに怒ったり泣いたりするようになります。怒りやすい人はなぜ自分が怒りを感じるのか、一度立ち止まって考える習慣をつけましょう。日ごろの生活でも、自分ばかりを優先せず相手の立場を思いやったり、気遣う言葉をかけるなど、前頭葉訓練のチャンスがごろごろ転がっています。

欲望がお手伝い・・・ちょっと前ですが、京都の山中でみつけたレストランがなかなかおいしくて、またハイキングで行ってみようかな!と思っています。食欲・物欲そのほか基本的な欲望は行動への大きなドライバーになります。うまく活用して行動範囲を広げましょう。

肩書・立場からはなれる・・・身にまとっているものにいつのまにかとらわれていませんか。だれもあなたのことを知らない場所やイベントに身を置いてみましょう。ただのおじさん・おばさんになって素のままで行動すると新鮮です。心のオーバーホールになりますよ。

エイヤ!とやってみる・・・なにかをしてみたいと思ったとき、心の中でできない理由をさがしていませんか?ほんとうにできないことなのか、それともやらないですむ理由を探しているのか。よく考えてみましょう。やるかやらないか迷ったとき、とりあえず「やる!」の選択ボタンを押してみましょう。これも心の訓練の一つ、失敗もあるでしょうが、だんだんと「やる!」を選ぶことに抵抗がなくなってくるはずです。

ねりまインクワイアラー 189 マスクとお国柄

 日本は世界で突出してマスクの使用率が高い国です。コロナの疫病対策は世界中で知識が共有されていますが、あとはお国柄、住んでいる人たちの考え方が反映されているようです。

 

ねりまホンゾー No.307

トレビス

見た目は紫キャベツに似ていますが、チコリの仲間です。食べてみるとかすかな苦みがあり、葉が柔らかい印象です。サラダのほか焼いてもおいしいそうです。