ビタミンDの効能は?
2019年の新型コロナウイルス流行のころから、からだの痛み・体調悪化の相談が増えました。今回閉院にあたってビタミンD不足でどんな体の相談があったのかをまとめてみました(ビタミンDキャンペーン第5弾です)。
わたしが外来で経験したビタミンD欠乏の症状
1 ひざの痛み(よくある相談)
コロナが流行り始めたころからひざの痛みの相談が急増しました。年配の方ばかりでなく、中高生や小学生まで・・・急増の理由を突き止めるために生活習慣を細かく聞くうちにビタミンD不足?と考え始めました。まず高齢の方のひざ痛(レントゲンで変化がなく、炎症サインも診られない人)に対しビタミンDを処方し、効果があったので少しずつ対象を広げていきました。
ふつうにクリニックを訪れたひざ痛の患者さんの大多数がビタミンD内服(痛み止めなし)だけで良くなりました。ただし、ビタミン剤が効いてくるのに一か月~半年はかかります。診たてはレントゲンと触診(診察)で行いますが、詳細は今春出る本(仮題「手技療法の教科書」)にのせました。
2 手指の痛み・こわばり
手指の関節は年齢とともにだれでも摩耗しますが、50代くらいで痛みを訴える方もいます。ビタミンD内服で大半の人が痛み止めを飲まずにすむくらい改善しました。しかし変形は残りますから、くすりですべてが変わるわけではありません。
3 多発性・全身性の関節痛
デスクワーカー、妊娠中後の女性など、日光にあたらない生活が続いた人たちが上半身を含む体中のふしぶしの痛みを訴えてクリニックに訪れることがありました。歩けなくなった方もいました。外出制限を国が奨励し、学校が休校になった頃に多かったです。
4 立てない・歩けない(筋力低下をおこす)
高齢者や透析中の患者さんが、痛みというより「歩けなくなった」」「動けなくなった」ために受診することがありました。試みにビタミンDを内服してもらうと「歩ける!」ようになったので、患者さん・私もびっくりでした。ビタミンD低下は筋にも影響し、筋力低下をきたすことがあるようです。外出機会の少なくなった高齢者(ホーム入所など)の方は太陽光を屋外で浴びることを意識してください。
5 足うら・指つけねの痛み・しびれ
足うらの相談は多いです。一般的には痛み止め内服などで様子を診てもらうようですが、訴えのある方を触診で調べて骨と筋肉の連結部分に隆起があることに気づきました。付着部炎と呼ばれる状態なので、今までの経験からビタミンDが効くのでは?と内服薬を処方しました。なかなかいいようです。
6 テニス肘
テニス肘・ゴルフ肘もビタミンD内服で治療できます。標準的な治療(注射、痛み止めなど)より効果があると思います。
7 ばね指・腱鞘炎(+手のしびれ)
ちょっとマニアックですが、ばね指・腱鞘炎もビタミンDで治療すると効果があるようです。手のしびれも関係があるかもしれません。そのほか五十肩や偽痛風にも試しています。
ビタミンDの特徴まとめ
1. 自己合成ができる=油断すると欠乏する
ビタミンDを除くすべてのビタミンは自分のからだで合成できず、食事の中で補給する必要があります。唯一ビタミンDだけが体内で合成可能だから、逆に欠乏しにくいと思いませんか?ビタミンDの合成は日光中の紫外線が皮膚にあたると行われますが、これが現代の暮らしではあだとなっているのです(3で説明)。
2. カルシウム代謝にかかわる(全身に影響が出る)
ビタミンDがしているのは全身のカルシウム代謝のコントロールです。とてもシンプルに説明すると、カルシウムが細胞内に増えると細胞は興奮し、減るとおとなしくなります。骨・筋肉だけでなくすべての体組織で同じなのですが、症状がわかりやすいのが骨・筋肉です。でも脳・神経、消化器など内臓、免疫機能などにも関係しますからビタミンD不足が広範な体の不調の原因になることがありえます。
3. 現代の生活で欠乏しがち
ネットやスマホが普及し、屋内で完結するライフスタイルがあたりまえになりました。その結果日光にあたる時間が急激に減少したことが大きな理由だと考えています。衣類や化粧品も関係しています。皆さんも「屋外で日光にあたる時間を意識する」ようにしてください。食事やサプリでの補給も可能です。
ねりまインクワイアラー 227 みなさん、ありがとうございました
30年ちょっとの開業生活でしたが、勤務医時代にできなかったことをいろいろできて良かったです。名前の「不二生」は二度とない人生の意味だと親から聞かされたけど、その通りにできたかな?閉院後は少しゆっくりして、趣味のランニングや街道歩き・山歩きを続けます。今後の動向はホームページ「高野台松本クリニック」に載せるつもりです。それではみなさん、良い思い出をいただいてありがとうございました。