サルコペニア(筋肉減少)とは
もともと太りにくい体質なのですが、ケガからの回復期に一番苦労したのは「筋肉がなかなかもどらない」ことでした。今回は年齢が上がったときにどうやって筋肉量を増やすかについてのお話です。
1 サルコペニアとは
かんたんなサルコペニアのみわけ方は、両手の親指と中指でわっかを作り、ふくらはぎの太さを診る方法です。わっかのなかをふくらはぎがすっと通り抜けたらサルコペニア、ひっかかるようだったら筋肉量はじゅうぶんです。実際に私がやってみると左はひっかかりましたが、5年前にけがをした右はやや細いようです。このあいだウルトラマラソン(70キロ)を走ったのにまだ細いのか⁈とちょっとがっかりしました。
でもはじめのころと比べたら全然ちがいます。左右の筋力差が大きくて、疲れるとびっこをひいていたのが最近はだいぶ良くなりました。けがによる筋委縮も、全身のサルコペニア(筋肉減少)もおおもとの理屈は同じで、使う量が減れば筋肉がやせ、増えれば筋肉が太ります。最近では筋肉の量が想像を超えて健康にかかわることがわかってきました。
気をつけなければいけないのは見た目の太い・細いでは必ずしもサルコペニアがみわけられないことです。そんなときは本人にあおむけに寝てもらい、調べる人がかかとから足を持ち上げて左右に動かしてください。重く感じたら筋肉が十分ついています。思ったより軽いと感じたらサルコペニアの可能性が高いです。
2 サルコペニアがなぜ良くないのか
移動できなくなる・・・慣れないところに出かけたり、ふだん以上に動いたときにどっと疲れが出てきませんか?もしそうならサルコペニアの可能性があります。明治・大正の時代、人はもっと歩きもっとからだを使っていました。いざというときの体力(予備能力)がなくなると外出がおっくうになり、さらに体力低下を招きます。
新陳代謝が下がる・・・からだが冷え、暑さ・寒さに弱くなります。発汗能力が下がるので夏の暑い盛りに熱中症になりやすいです。地球温暖化の影響でこれからの夏はもっと熱くなりそうなので、汗をかける能力を保つことが重要になるでしょう。
内臓や免疫機能に悪影響・・・筋肉からでるマイオカイン(ホルモンの一種)は脳や内臓にも影響を与えます。まだまだわかっていないことが多いのですが、筋肉量が少なくなるだけで元気がなくなったり、免疫力が低下する可能性が指摘されています。
3 なる理由は
年齢はあまり関係がない・・・サルコペニアは年寄りがなるものと思われてきましたが、最近では年齢に関係なく起きると考えられています。これからお話しするように、栄養と運動量が深くかかわっています。
栄養(とくにタンパク質)不足・・・食事中のカロリーが高めでも、タンパク質の摂取量が少ないとサルコペニアになりやすくなります。一日平均で男性60グラム、女性50グラムが必要と言われていますが、食材は豊富だがタンパク質の量が十分に摂れていない人が多い印象があります。
同じ運動ばかりではだめ・・・散歩は立派な運動ですが、散歩だけでは全身の筋肉への刺激にはなりません。ゴルフ・ボーリング・キャッチボールなど上半身の運動を取り入れ、階段や坂道を積極的に使いましょう。元気な人はハイキングやランニングをしてみましょう。
4 今からでもおそくはない
ふだんの食事を見直そう・・・じゅうぶんにタンパク質をとることがとても重要です。自分でどれくらいたんぱく質をとれているかは計算することができます。ネットで「素材・料理の名前+タンパク質」と入力・検索してください。右表によくある料理のタンパク質量をあげてみました。
筋トレの効果を上げるこつ・・・じゅうぶんなタンパク質量をとれないときに運動すると、逆にサルコペニアが進むことがあります。筋肉などのタンパク質が分解されエネルギーに利用されるためです。筋トレの直前~直後にたんぱくをとると筋肉がつきやすいと言われています。
バラエティのある生活習慣・・・家にこもらず外に出ましょう。用事は自分でみつけましょう。スポーツクラブや体育館のトレーニング室を利用して暑さ・寒さに関わらず体を動かしましょう。係りの人(トレーナーさん)にやり方を聞けばていねいに教えてくれるはずです
コメントを残す