高野台松本クリニックの院長、松本不二生(ふじお)先生が体にまつわるあれこれを書いた松ぼっくり通信。読めばカラダに役立つ、読むサプリです。
五十肩のセルフマッサージ
五十肩(肩関節周囲炎)の多くは筋肉が原因でおこります。肩の痛みに関連する筋肉は20種類くらいありますが、ここでは一番原因としてよくある4つの筋肉のセルフマッサージをご紹介します。
1 前斜角筋(ぜんしゃかくきん)
くびの付け根の前よりにある筋肉です。五十肩のボスキャラ的存在で、この筋肉が強くこってくると痛みが肩に放散し、肩回りのいろいろな筋肉に二次的なトリガーポイント(押して痛むところ)を生じます。頭の重さを支える大事な筋肉ですから、長く座り続ける仕事(デスクワークや運転など)では、じっとしているだけでこの筋肉がこってくることがあります。くびの横、やや前をさわって固く張った筋肉を見つけてください。痛いところをみつけて指先でマッサージします。
赤く塗られているところがこの筋肉で痛みが生じる場所です。とても広くて手まで広がっているのがわかります。ペケ印が押して痛むところ(トリガーポイント)なのに、肩から腕全体に痛みが広がっています。
2 肩甲下筋(けんこうかきん)
腕を持ち上げたり、内側に回す筋肉です。わきの下の奥に写真のように指を押し込むと触れます。肩甲骨の前にある筋肉なので、肩の後ろに向かって指を押し付けると触りやすいでしょう。指先でのマッサージの他すりこ木などの道具でもできると思います。筋肉の位置と自分が感じる痛みの場所が全くちがいますね。
3 棘下筋(きょくかきん)
肩甲骨のまうしろにある筋肉です。肩甲骨の上を後ろから押して痛いところを見つけます。痛いところがたくさん見つかるはずなので、細かく場所を変えてマッサージしてください。この筋肉でも、こんなに広い範囲が痛くなります。原因としてとても大きい筋肉です。テニスボールを壁に当ててマッサージする方法もよく効きます。
4 棘上筋(きょくじょうきん)
肩の上、うなじのやや後ろ、肩甲骨の上にある筋肉です。痛いところを見つけたら上から押してマッサージします。
痛みが強いと肘まで痛みが広がることがあります。
5 マッサージを自分で行う時のコツと注意点
1. 押して気持ちいい~ちょっと痛いけれどがまんできるくらいで行う
2. いちどきにたくさんやらず、少しづつこまめに行う
3. 手が届かないところ、やりづらいところはほかの方法で・・・テニスボールや器具を使ったマッサージ法をクリニックホームページに載せてありますので参考にしてくださいさらに細かく知りたいとき、今はお手軽ないい方法があります。スマホアプリで「トリガーポイント」と検索してください。おすすめは「筋のトリガーポイント」です。だれでも自分が痛みを感じる部位をもとにどの筋に問題があるかわかりやすく図示されています。拙著「痛みの臨床に役立つ手技療法ASTR」もご利用いただければ幸いです(上の挿絵は同書から転載しました)。トリガーポイントマッサージがどんなものか知りたい方はクリニックのホームページ⇒「マニュアルメディシン」⇒「トリガーポイントの知識」を読んでください。
ねりまインクワイアラー 210
エアコンの快適温度
この夏は暑さで寝つけず消耗しました。病院やホテルの場合、室内温度は夏26度冬24度で統一されていますが、みなさんはどうですか?睡眠中の快適温度を調べてみたら、男性で26度、女性で28度前後の方が多いようです。やはり男女差があるのですね。
小さな疑問にお答えします
わざわざ病院に来るほどではないけれど、気になるので聞いてみたい。そんな質問にお答えします。
1 からだの筋肉がピクピクするのはどうして?
からだのあちこちの筋肉がピクピクすることは私もよくあります。マラソンなどややきつい運動の後は特に出やすい気がします。若いころはちょっと心配でしたが、今も特に問題はありません。筋肉に疲れがたまるといわゆる「コリ」=筋肉が縮まって戻らない状態になり、それがほどけるときにピクピクするのだと考えています。
ピクピクが出る特殊な病気もなくはないですが、かなり珍しく多彩な症状が出ますから、ピクピクだけで心配は無用です。
2 足(下肢)がよく攣るのはなぜですか?
私もしょっちゅう足が攣っていますが、脱水気味の時が多いです。だいぶ前に山の中で両足が攣ったときは往生しました。激痛で立てないと思いましたが、周りに誰もいないので助けはありません。はいずるように進むうち、しだいに歩けるようになって無事山を降りることができました。それ以来登山の時はけいれん止めの漢方薬(芍薬甘草湯)を持参し、たっぷりの水分補給を心がけています。
夏場、クーラーの効いた部屋にいると気づかずに脱水になり、足がつりやすいです。お茶や水分をこまめにとりましょう。また、筋けいれんをくりかえす部位には筋肉のコリができてつりやすくなることがありますから、筋肉内の押して痛いところをこまめにマッサージしてください。しだいに攣らなくなるはずです。
3 内臓の病気から腰痛が起きますか?
めずらしいけれどあります。診察の時は患者さんの話を聞きながら、いつも深刻な病気の兆候はないかアンテナを張っていますから、(あれ?ちょっとおかしいぞ)と思ったら検査を追加したり専門医に紹介しています。
これはどこのお医者さんも同じだと思います。自分の心配の中身をお医者さんに尋ねてください。話を聞くだけで安心できる場合も多いはずです。
4 ちょっとがんばって歩くとあちこちが痛くなるのはなぜ?
たいていの場合、運動不足が原因です。人間のからだはほうっとくだけでどんどん弱く、硬くなっていきます。それだけで動かしたときに体のあちこちが痛くなることがあるのです。小さな子供や中高生みたいにふだんから飛んだり跳ねたり走り回っていれば関節・筋肉の柔軟性は保たれますが、年をとるとだんだんとからだを動かすのがおっくうになりがちです。
年配の方が気持ちを切り替えてからだを動かし始めても、最初のうちは体が硬く、弱く、疲れやすくて、あちこちが痛くなるかもしれません。体の調子を見ながら、ちょっとずつ、こまめにからだを動かしてください。しだいにじょうぶなからだに変わっていくことと思います。
5 筋肉がつかないのはどうして?
4と同じようにあきらめずに根気よくつづけていくことがだいじですが、二つ注意点を上げておきます。
l 負荷を上げていく・・・今やっていることにからだが慣れてきたら、すこしづつレベルを上げましょう。ちょっと強く・多く・長く・速くやってみるのです。いきなり上げると故障するのでゆっくりと上げていきましょう。
l 食事はじゅうぶんかチェックする・・・患者さんの話を聞くと、タンパク質の量をしっかり摂れていない人が多いと感じています。食が細い人はプロテインドリンクなどの栄養食品を摂るのもいい方法です。
6 夜寝ているときの痛みの原因は?
よくひざや手足の痛みでこの相談を受けることがあります。治療を受けていて、わずかずつでも症状が和らいでいるのでしたら様子を見ていてよいと思います。日中からだを動かしているあいだ、からだは故障部位を治すひまがありません。だから夜間~安静時にこつこつとからだの修理を行いますが、「今は工事中(修理中)だからそっとしておいてね!」と、痛みで知らせてくれるのです。強い痛みでなければ、「からださん、ごくろうさまです!」と答えてあげてください。なにごとも方便ですから、強い痛みで困る場合は一時的に痛み止めを飲むのもかまいません。ただし長く続くようでしたら一度お医者さんに相談してください。
ねりまインクワイアラー 209 mRNAワクチンとは
新型のコロナワクチンはmRNAワクチンです。ワクチンを打つと、ウイルス表面にある特殊なタンパク質だけがmRNAの働きで作られます。ここからがポイントです。ウイルスそのものを体内で増やすのではなく、ウイルスの表面にあるタンパク質だけを体内で作り、免疫反応を起こすのです。そしてウイルスをやっつけます。
mRNAそのものはすぐに分解されて残りません。だから「体内でウイルスを増やす」ワクチンではありません。ワクチンを打った人がそばにいても感染することはありませんからご安心を。
これからの医療は
40年間医者をやってきて超高齢化社会、新型感染症の出現、テクノロジーの爆発的進歩(パソコンの普及からAIの出現まで)を経験しました。未来の人から見ても世の中の仕組みが大きく動いた時代に出会えたのかもしれませんね。これから医療の世界に足を踏み入れたいと考えている皆さんに向けてこの小文を書きました。
1 医療のやりかたが変わってきた
ちょっと前まで医療の仕事はどれだけ命を助けるかが目標でしたが、多くの病気やけがの治療が進歩して長生きする人がとても増えました。そして老化によるからだの故障・不調をどうするかに医療の関心が移っていきました。長生きするためのテクノロジーはさらに進歩するはずですが、結果得られた長い人生をどうやって過ごすのかが問いかけられる時代になってきました。若いころ救急外来で仕事をしていたときはかんたんでした。とりあえず目の前の患者さんをなんとかすることだけを考えれば良かったですから。これからはシンプルな治療からもっと複雑な対応をしなければならない分野までずっと幅広い対応が迫られる時代になっていくでしょう。
これまでの40年以上にこれからの世の中は急速に変化し、それにつれて医療関係者の仕事もどんどん変わっていくと思います。
2 医学だって世の中と連動している
毎日たくさんの患者さんと接していて思うのは、手仕事(自分の手を使って何かを生み出す仕事)をしている人がほんとうに少なくなったことです。料理、建築、美容、造園、接客業の人だって仕事の中身を細かく見ていけば何らかの省力化・オートメーション化が行われています。手間を省けばコストが下がりますから競争力が上がります。世の中の流れとしては当然なのかもしれませんが、このままではむかしながらの職人技がなくなってしまうのではないかと心配になります。
医療の世界はとりわけ高度テクノロジー化が進んでいるように見えますが、最前線の町のお医者さんレベル(大病院でも同じ)ではまだまだ目や舌を調べたり顔色を診たりすることも行われています。しかし最近のスマホができることから推論すると、AIと画像診断システムを組み合わせて患者さんを診るシステムは作れるはずです。腕時計のような装置が触診の代わりとなり脈や自律神経の状態をチェック、あとは指示された必要最低限の血液検査や画像診断をオーダーすれば「ハイ、アナタノ病気ガワカリマシタ!」と教えるマシンができあがるでしょう。
となると、未来の医療関係者(医師も含めて)はAIの指示を受けて動くテクニシャンになるのか、あるいはAIと協調しつつも従来の役割をたもっていくのか気になるところです。
3 AIはツール(道具)それともライバル?
よく言われるのは、AIは与えられた指示にもとづいて問題を解決することは得意だが、まったく新しい発想を生み出すことはできないということです。たしかにそうかもしれませんが、ちょっとしたくふうや発想の転換で生み出されるような発明・改良ならできる気がします。発明の大部分は従来からあるものの組み合わせですから、むしろ既成概念にとらわれないAIのほうが得意かもしれませんね。みんなで作る連歌と同じで、自分一人ではたどりつかないようなおもしろい趣向(発想)がみつかるかもしれません。
AIでもたどりつけないような、ほんとうに新しい概念にたどりつくのはごくかぎられた人たちになるでしょう。ただしAIのアイデアを現実の生活にあてはめていくのは人間なので、AI=あたまのいい相談相手くらいにとらえることもできそうです。イメージで言うと「りくつっぽいドラえもん」かな。
またAIには人間によって生み出された以上、どうしても乗り越えられない壁があります。たとえばいま地球の人口は100億と言われていますが、人口増大が地球温暖化などの環境問題や食料問題にどのように影響しているのか慎重に判断しなければなりません。すこしばくぜんとした言い方に聞こえると思いますが、仕事・食べ物・勉強・休日の過ごし方・家族のあり方・人生の目標など具体的な私たちの生活に大きく影響することでしょう。こういった地球規模の問題はAIでなく人間たちが決めるほかないと思います。
4 これからの医療は
同じように人間の感情もAIが乗り越えられない壁になります。予測不能、おもむくまま、いいかげんではあるがときにこまやか、繊細になる心の動きを扱うのは人間同士でないと難しいでしょう。病院の入り口ではAIが活躍するけれど、そこからはAさん、Bさん、Cさん・・・・・・・一人一人にちがう対応が求められます。治療技術や初期対応では人の仕事が減っていくかもしれませんが、人と付き合い、話し、ときには笑ったり、おこったり、はげましたりする仕事はこれからも続いていくでしょう。未来のお医者さん、医療人に求められるのはたんに「治す」だけでなく、AIと協力しながら「元気にする」「はげます」「安心させる」技術です。でもそれだとむかしのお医者さんとさして変わらないのでは?と思いませんか。そうなのです。時代が変わっても、いつでも根っこは同じなのです。
ねりまインクワイアラー 208 蚊が少ない
今年は蚊が少ない気がしますが、暑すぎてボウフラが育つ水たまりが減ったせいでしょうか。でも生物は進化します。そのうちどんなに暑くても元気な蚊が出てくるかもしれませんね。
サルコペニア(筋肉減少)とは
もともと太りにくい体質なのですが、ケガからの回復期に一番苦労したのは「筋肉がなかなかもどらない」ことでした。今回は年齢が上がったときにどうやって筋肉量を増やすかについてのお話です。
1 サルコペニアとは
かんたんなサルコペニアのみわけ方は、両手の親指と中指でわっかを作り、ふくらはぎの太さを診る方法です。わっかのなかをふくらはぎがすっと通り抜けたらサルコペニア、ひっかかるようだったら筋肉量はじゅうぶんです。実際に私がやってみると左はひっかかりましたが、5年前にけがをした右はやや細いようです。このあいだウルトラマラソン(70キロ)を走ったのにまだ細いのか⁈とちょっとがっかりしました。
でもはじめのころと比べたら全然ちがいます。左右の筋力差が大きくて、疲れるとびっこをひいていたのが最近はだいぶ良くなりました。けがによる筋委縮も、全身のサルコペニア(筋肉減少)もおおもとの理屈は同じで、使う量が減れば筋肉がやせ、増えれば筋肉が太ります。最近では筋肉の量が想像を超えて健康にかかわることがわかってきました。
気をつけなければいけないのは見た目の太い・細いでは必ずしもサルコペニアがみわけられないことです。そんなときは本人にあおむけに寝てもらい、調べる人がかかとから足を持ち上げて左右に動かしてください。重く感じたら筋肉が十分ついています。思ったより軽いと感じたらサルコペニアの可能性が高いです。
2 サルコペニアがなぜ良くないのか
移動できなくなる・・・慣れないところに出かけたり、ふだん以上に動いたときにどっと疲れが出てきませんか?もしそうならサルコペニアの可能性があります。明治・大正の時代、人はもっと歩きもっとからだを使っていました。いざというときの体力(予備能力)がなくなると外出がおっくうになり、さらに体力低下を招きます。
新陳代謝が下がる・・・からだが冷え、暑さ・寒さに弱くなります。発汗能力が下がるので夏の暑い盛りに熱中症になりやすいです。地球温暖化の影響でこれからの夏はもっと熱くなりそうなので、汗をかける能力を保つことが重要になるでしょう。
内臓や免疫機能に悪影響・・・筋肉からでるマイオカイン(ホルモンの一種)は脳や内臓にも影響を与えます。まだまだわかっていないことが多いのですが、筋肉量が少なくなるだけで元気がなくなったり、免疫力が低下する可能性が指摘されています。
3 なる理由は
年齢はあまり関係がない・・・サルコペニアは年寄りがなるものと思われてきましたが、最近では年齢に関係なく起きると考えられています。これからお話しするように、栄養と運動量が深くかかわっています。
栄養(とくにタンパク質)不足・・・食事中のカロリーが高めでも、タンパク質の摂取量が少ないとサルコペニアになりやすくなります。一日平均で男性60グラム、女性50グラムが必要と言われていますが、食材は豊富だがタンパク質の量が十分に摂れていない人が多い印象があります。
同じ運動ばかりではだめ・・・散歩は立派な運動ですが、散歩だけでは全身の筋肉への刺激にはなりません。ゴルフ・ボーリング・キャッチボールなど上半身の運動を取り入れ、階段や坂道を積極的に使いましょう。元気な人はハイキングやランニングをしてみましょう。
4 今からでもおそくはない
ふだんの食事を見直そう・・・じゅうぶんにタンパク質をとることがとても重要です。自分でどれくらいたんぱく質をとれているかは計算することができます。ネットで「素材・料理の名前+タンパク質」と入力・検索してください。右表によくある料理のタンパク質量をあげてみました。
筋トレの効果を上げるこつ・・・じゅうぶんなタンパク質量をとれないときに運動すると、逆にサルコペニアが進むことがあります。筋肉などのタンパク質が分解されエネルギーに利用されるためです。筋トレの直前~直後にたんぱくをとると筋肉がつきやすいと言われています。
バラエティのある生活習慣・・・家にこもらず外に出ましょう。用事は自分でみつけましょう。スポーツクラブや体育館のトレーニング室を利用して暑さ・寒さに関わらず体を動かしましょう。係りの人(トレーナーさん)にやり方を聞けばていねいに教えてくれるはずです
ねりまインクワイアラー 207 カイロウドウケツ
カイロウドウケツはカイメン^_^の仲間で海の中の岩に固着して育ちます。このなかでみつかるドウケツエビはかならず雌雄のつがいになり、一生をカイメンのなかで暮らします。そこでカイロウドウケツと言えば仲の良い夫婦の象徴・縁起物として扱われるようになりました。漢字では「偕老同穴」と書きます。
その痛みは筋肉痛かも
痛みの原因が筋肉にあると説明した時、「筋肉痛ですか⁈」と驚かれることがあります。骨や関節の痛みだとふんふん(なっとくです)と聞いてくれるのですが、筋肉の痛みと言われると軽くあしらわれたように感じるようです。
でも‼それはかんちがいです。筋肉の痛みを見落として、別の故障とまちがうことは珍しくありません。診たてがちがえば治療もちがってきます。筋肉なら筋肉向けの治療があるのに、骨や関節向けの治療を続けたなら効果が出ません。だからきちんと筋肉の故障をみつけることが必要です。
1 プロとアマでは言葉の用い方がちがう
プロが筋肉痛という時、その意味は「筋肉に原因がある痛み」のことを指します。多くの人たちが考えるような「がんばったり疲れたときに出てくる痛み」のことを指しているわけではありません。たしかに運動不足の人がいつもよりがんばった時に感じる痛みも筋肉痛の一例ですが、筋断裂(肉ばなれ)、DOMS(後述)、炎症、血流障害や感染症(ウイルスなど)などさまざまな原因で筋肉痛がおきます。一番多くて外来でしょっちゅう診るのはトリガーポイントです。筋肉の中に押すと痛いしこりができるのですが、みなさんにしてみればごく普通の生活をしているのにできるのですから、筋肉が原因と言われてもすぐに納得できない気持ちはわかります。そして筋肉痛の診断をさらにむずかしくしているのが「関連痛」の存在です。
2 関連痛とは
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Aさんは手関節痛の相談で病院を受診したのに腕の筋肉が原因と言われた
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Bさんはおなかの痛みで受診したのに筋肉が原因と言われた
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Cさんは腰痛で受診したのに腎臓に石があると言われた
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Dさんは右肩の痛みで受診したのに、調べたら肝臓の病気だった
上にあげた4人のケースはいずれも関連痛を発症した人たちです。A,Bさんのような相談は多くてしょっちゅう経験します。C,Dさんのようなケース(内臓が原因でからだの痛みが生じる)はときどき診ます。関連痛がおきるのは、からだのありとあらゆる部分が神経でつながっているからだと言われています。神経は複雑な配線図で区分けされていますから、関連痛が起きるときは同じ神経のグループ同士で痛みの共有(混線)が生じます。だから神経の配線図を細かく知っていれば、関連痛の配置から原因部位を突き止めることができるのです。
3 筋肉の故障はなぜおきるのか
トリガーポイントの場合、①使いすぎ②疲労の重なり③運動不足が発症の三大原因です。たとえば在宅ワークで家の外に出ることが少なく、朝から晩までパソコン作業、運動の習慣がなくて睡眠不足気味の人を想定すると、三大原因全部があてはまってしまうのでトリガーポイントができやすくなるわけです。
一見逆のようですが、アスリートの人たちもトリガーポイントを作りやすいです。トレーニングをする≒体に負担をかけることなので、適度な量を越えたトレーニングが続くと疲労が重なりトリガーポイントができやすいです。またスポーツには故障がつきもので、故障を抱えながらトレーニングを続けることで逆に筋の負担を増やしさらに故障を招くことも珍しくありません。
筋の炎症でまず思い浮かぶのはインフルエンザです。あの何とも言えない重だるい節々がうずく感じ・・・はウイルス性筋炎のサインです。新型コロナ、伝染性紅斑(リンゴ病)も筋肉痛を起こすことで有名ですが、ふつうのかぜだって筋肉痛を生じることがあります(もともとコロナはかぜウイルスです)。
そしてDOMS(遅発性筋痛:ドムス)です。かなり強度のきつい運動をやった後に、歩けなくなるくらい強い筋肉痛が生じます。筋細胞があちこちで破壊され、壊死したところに新しい筋細胞が生まれてきます。ここまでやるのは✖ですが、筋肥大のためにボディビルダーやウエイトリフティングの選手がわざとやることもあります。
4 筋肉痛のみつけかた
正常な筋肉は指で押してもそれほど痛むものではありませんが、自分で筋肉をあちこち押すと痛いところが見つかるかもしれません。トリガーポイントには活性型(実際に痛みを生じるタイプ)と潜在型(ふだんは痛みを生じないタイプ)の二つがあります。押して痛い筋肉はあるものの症状がない場合は潜在型だと思います。経験上たくさん歩く職業の人は下半身に、パソコン作業の人は上半身にトリガーポイントがみつかることが多いです。専門的にはもっと細かく診わけるのですが、みなさんはまず自分が痛いと感じる場所を触ってみてください。触って痛くない場合は周辺の筋肉を触りましょう。痛みを感じる場所の上下左右を広く押して痛みを感じる箇所がみつかったらトリガーポイントかもしれません。みつけたら一日数回マッサージしてみましょう。あれ?痛みが消えた!と思うときが来るかもしれませんよ。
ねりまインクワイアラー 206 財布を落とした!
電車の中で財布を落としました。クレジットカードの停止、保険証紛失の届出など今はオンラインでできるのでたいへん助かりました。でも大失敗!あとでお財布がみつかりホッとしました。