目白ヨシノ治療院

目白ヨシノ治療院は新宿区下落、目白駅から徒歩3分、マニュアルメディシンを用いたマッサージ、手技治療,リハビリの専門治療院です。病院では特に問題のなかったつらい症状、日常生活で困る痛み、肩こりや腰痛、首の痛み、またはよく分からない目の奥の痛みや頭痛など機能障害に関する問題の治療を行っています。

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松ぼっくり通信電子版
高野台松本クリニックの院長、松本不二生(ふじお)先生が体にまつわるあれこれを書いた松ぼっくり通信。読めばカラダに役立つ、読むサプリです

高野台松本クリニック 177-0035 練馬区高野台1-3-7NFプラザⅡ三階 
℡03-5372-7773

(整形外科・リハビリテーション科・漢方外来

松ぼっくり通信

松ぼっくり通信 2025年 7月号

脳疲労をやりくりする

 疲労の本質は脳の疲労であることがわかってきました。だからどんなことにもくじけない強靭さ・粘り強さ(タフネス)を養うには脳を鍛えることが必要です。今回のテーマです。

1 疲れるのは脳のせい

 ちょっと動いただけで疲れてしまう。気力が続かなくなった。だからつい引っ込み思案になってしまう。こういった相談をよく受けます。貧血、糖尿病や慢性の内臓疾患があれば疲れやすくなりますが、多くの場合は原因がはっきりしないケースです。疲労の原因は長らく筋肉など肉体側にあると考えられてきましたが、最近の研究で疲労の本質は脳の機能であることがわかっています。体の微小なダメージが蓄積していくと、神経を介して脳に情報が伝わります。そして脳がこれ以上のからだのダメージを避けるためにからだにブレーキをかけようとします。これが私たちの感じる疲労の正体です。このブレーキは本来必要なものですが、脳自体が弱ってくるとすぐにブレーキを踏むようになりがちです。からだは適度な刺激を受けることで元気になっていくものですが、十分な刺激を受けるより前にブレーキを踏んでしまうと元気になる機会を失ってしまうのです。

2 脳にも栄養(脂肪)存在する

 脳は血液で運ばれてくるブドウ糖を使って仕事をしています。ところが長時間の運動(マラソンなど)をするときには、脳内の脂肪(ミエリンという組織内にある)を分解して神経の栄養源にしていることがわかってきました。体の脂肪が長時間の運動に備えて蓄えられているのと同じく、脳の脂肪も脳を長時間使用できるように備えられているのです。

エネルギー源としてブドウ糖から脂肪への切り替えが起きるのは細く長く使用したときですので、筋肉なら短距離走や重量挙げよりサッカーやマラソン、脳ならばストレス少なめでのんびりと続けられる作業が脂肪燃焼に向いており、脳が疲れにくいと言えるでしょう。そして脳が疲れにくくなれば、結果的に体の持久力も高まっていきます。

3 からだで脳を鍛える

 脳のトレーニングでだいじなのは、受け身のトレーニング(テレビを見る、ネットを見るなど)ではなく自発的なトレーニング(自分から働きかけてなにかをするもの)を多く取り入れることでしょう。そのほうがたくさんの脳内ネットワークを使用しますから効果が大きくなります。

 からだを動かす作業はどんなことでも脳の大半を利用するので脳トレとして効率的です。たとえば冷蔵庫の中身を調べながら夕方の献立を組み立て、スーパーに行き食材を選定購入し、段取りを考えて調理し味付けを調整、配膳や片付けをスマートに行えば広範に脳の機能を使っています。日常生活全般(たとえば庭の手入れ・風呂そうじ)や趣味も同じで、自分なりの工夫や計画(いつ・どのように)を立てて行動すれば立派な脳トレです。もちろん運動全般でも同様、考えながらやることで立派な脳トレとなるでしょう。

4 心で脳を鍛える

びくびく・ドキドキからはなれる

 長いこと診療して思うのは、症状以上に不安が患者さんを苦しめているケースが多いことです。「これからどうなるのだろう?」「仕事や学校に影響が出るのでは?」「じつは悪い病気(がんそのほか)が隠れているのでは?」と考える人もいるでしょう。でも考えすぎは良くありません。それ自体がストレスになります。悪い病気でなければのんびりかまえましょう。後から見ればたいていのことはなんとかなっています。

一意専心

 たくさんの用事を抱えているときでも、結局は一つずつ片付ければいいだけです。マルチタスク(同時にいくつかのことをやる)はかっこよく見えますが、脳には負担です。複雑なことも小さく分解して少しずつやれば意外とスムーズにできるものです。

休むときは休もう

 これは忘れがちです。ほんとうに疲れたらちゃんと休みましょう。

長嶋さんを見習おう

 脳梗塞になった長嶋さんは周りがびっくりするくらいリハビリに励み、同病の人たちを励ましたそうです。リハビリをやり続けたことはウソをつきません。心の持久力を上げれば体の持久力も上がります。ふだんの暮らしでも長嶋さんを見習いたいですね。

ねりまインクワイアラー 21 フラット登山

 飛騨高山で、昔の巡礼道や田舎道をとことこ歩きました。高いところはお寺(千光寺)くらい、これってハイキング?ウォーキング?登ることを目的としない山歩きをフラット登山と呼ぶそうです。

松ぼっくり通信 2025年 6月号

ふだん考えていること お話しします

仕事が忙しいときものんびりしたときもありますが、ぽっかり時間が空くといろいろ考えます。今回のお話です。

1 きちんとケアをしたらどれくらい体がもつのか?

患者さんたちにはセルフケアが大事だと伝えています。五年十年で考えればきちんとケアをしているか否かで体の状態はまったくちがってきますが、三十年四十年で見るとどうでしょうか?ハーバード大学の卒業生を対象にした調査では長生きの度合いや体の調子ではっきりしたちがいがあることがわかりました。でも私が気になるのは、「ストレッチを続けていれば体はいつまでもやわらかいのか?」とか「ランニングを続けていれば90歳になっても走り続けられるのか?」といったことなのです。バレエのように柔軟性が必要なアーチスト・アスリートの方たちを見ていると、日ごろからストレッチをやる効果がはっきりとあるのだなと感じます。手入れを続けることで手足の関節はかなり柔らかさが保てますが、せぼね(脊椎)は年と共に硬くなる方が多いようです。それでも日常の生活動作には肩・ひざ・股関節の影響が大きいので、やはりストレッチは有効です。

ランニングの場合、海外では101歳でフルマラソンを完走した人がいます。マラソン大会に参加すると70歳以上の参加者が増えているのを実感します。たしかに記録は落ちてきますが、走ることを楽しむ気持ちがあれば意外と長く続けられるのではという気がしています。さすがに90代は?と思いますが。日に当たるのでビタミンD補給もばっちりです。

2 「お客様」より参加者になろう

患者さんに今後の見通しを伝えたとき、反応が大きく二つに分かれます。一つ目は「これから良くなるために何をしたらいいのですか?」、二つ目は「いつごろ治りますか?」と聞いてくる場合です。筋肉や関節の故障の回復期は、患者さん自身がからだを動かし硬いところをほぐし弱いところを強くしなければなりません。病院にたよりきりではだめです。だから二つ目の質問を聞くとだいじょうぶ?と思ってしまいます。

私事ですが5年前に足のけがをして以来あきらめずに動きストレッチを続けていると、毎日(あれ少しやわらかくなったな!)(ちょっと前より楽に動ける!)と感じます。まさに「けがは一瞬・リハビリは一生」ですね。長くかかっても良くなることがいっぱいありますから、あきらめずに続けることが大切です。自分のからだの責任者はあくまでも自分!積極的に体を動かし、整えましょう。

3 転び始めたら要注意

ちょっと前までとても元気だった人が「転んでしまった!」と受診することが多くなりました。ハイキングやトレランをしているとき転びそうで転ばないことはしょっちゅうですが、疲れて何でもないところで転ぶことが数回ありました。つま先が上がらないのに気がつかず小さな根っこや段差に足先がひっかかってしまうのです。転びやすい人は、つま先を地面でこするように歩くくせを直しましょう。つま先を上げようとせず、ひざを上げてください。腿のつけ根にある腸腰筋という大きい筋肉を動かすことを意識します。すると転びにくくなるし、足がひっかかっても次足がさっと出てリカバリーができるはずです。

まだ元気なうちに「手を前に出す」練習をしておきましょう。壁に向かって立ち、手を下ろしたままからだを前に傾けていきます。倒れそうになったらさっと手を挙げて壁につき体を支えます。慣れてきたら壁との距離を広げてやってみてください。これは反射神経の訓練です。転ぶ瞬間に手が出ずに上半身のけがをする方が多いので、ふだんからすぐに手が出るように訓練しましょう。

4 どんな場合も「治る力」がだいじ

医者になってからいろいろと経験して、こういう風に仕事をしたいと考えてきたのは①患者さんの治る力を利用する②無駄な検査はしない③薬・注射は必要最小限④しないですむ手術はしないの4点です。自分が患者さんだったらこうしてほしいと思うことなので、あたりまえのことばかりかもしれませんね。

それでも長く続けていると仕事のしかたに個性が出ているようです。患者さんによってですが、(もっと検査をしてほしい)(もっと薬を出してほしい)(注射をしてほしい)(手術をしてさっさと直してほしい)と言われることがあります。しかし①~④を守るためにそれなりにくふうがあり、努力もしています。とくに①はほんとうに大切だと思っています。だから食事やエクササイズのアドバイスをしたり、マッサージやストレッチを取り入れたり、日光浴を勧めたり、歩き方や身のこなしのアドバイスをしたり・・・地味だからがっかりする人がいるかもしれません。でも意外なくらい効果を発揮することも多いのです。私が理想とする町医者の仕事はこんな感じです。これからもこの方針は変えずに続けて、みなさんの信頼にこたえられるように(でもがんばりすぎず)やっていきたいです。

ねりまインクワイアラー 218 長崎歩き旅

先日長崎―雲仙小浜の歩き旅(マラニック)に参加しました。山を越え、海岸線を歩き、広大なジャガイモ畑を進み、むかしの線路跡を抜け、最後は温泉街にゴール!8時間ちょっとかかりましたが、一歩一歩が思い出に残った気がします。みなさんも歩き旅、挑戦してみませんか?

松ぼっくり通信 2025年 5月号

みんな水分が足りてません!

2年続きでたいへん暑い夏が続いたので、今年がどうなるか心配です。例年暑い時期にも運動を心がけていましたが、昨年は体調をくずしてしまいました。今考えると慢性の脱水になっていたのだと思っています。今年の夏を乗り切るためにたいせつな「水」のお話です。

1 からだの大部分は水でできている

人のからだは約37兆の細胞でできています。地球全体の人口が80億人と言われていますから、どれだけ多いのか見当もつかない数と言えるでしょう。でもその一つ一つの細胞が体液にかこまれていて、そこから栄養や酸素をもらったり、老廃物を洗い流してもらっているのです。赤血球・白血球のように体液の中を漂っているか、あるいは内臓や筋肉のようなかたまりへ体液がしみ込んでいくかのちがいはあるものの、海水とほぼ同じ濃度の体液の中で暮らしているのがあらゆる細胞の共通点です。だから、脱水になるとすべての細胞が影響を受けます。

一般的に体重の60~70%は水でできていますから、体重60キロの人なら40キロ弱、すなわち40リットルが水でできています。水分2リットル(体重の3%)以上の脱水が起きるといろいろな症状が出てくると考えられています。

2 不感蒸泄と発汗

不感蒸泄とは「自分では全く汗をかいていないと感じていても、気づかないうちにからだから失われている水分」のことです。体重60キロの人で一日900ml の不感蒸泄があると言われています。気温が上がると不感蒸泄も増えていき、運動の最中は6倍まで増えたという報告があります。

そして発汗です。汗ばむような運動をしているとき、だいたい1時間当たり1~1.5リットルの汗が出ると言われています。汗っかきの人だともう少し多いかもしれませんが、運動中は30分で500mlのペットボトル1本は飲むべきと思ってください。

以前山の中を71キロ、24時間以内にゴールするレースに参加したことがあります。6リットルの水を担いでスタート、途中で1.5リットルの補給をして完走できましたが、計7.5リットル飲んでもまだ脱水気味だったです。外来で話を聞いていると(水分が足りないのでは?)と思うことがしばしばです。暑い季節になったら、不感蒸泄900ml+おしっこの量300ml=1200ml/日の水分補給では絶対足りないです。迷ったら水分は多めに取りましょう。

3 脱水の症状

砂漠地帯で十数日間さまよい、後に生きて発見された人の話を読んだことがあります。皮膚にしわがより唇が縮み歯がむき出しで、まるでミイラのように見えたそうです。声帯が縮んで悲鳴のような音しか出せなかったとか。ここまで極端なケースでなくとも、ふだんから水分の摂り方が少ない人が暑さなどで発汗(エアコンですぐ乾くので気がつかないことも多い)が増えるとき、本人や周りも気がつかないうちに脱水が進んでいるかもしれません。

脱水の初期は、筋けいれん・頭痛・口の渇き・微熱・皮膚の乾燥などがおきます。中等度ではいらいらした(興奮)状態になり、進めば意識障害⇒死亡することもあります。先日ハーフマラソンの救急室に勤務したとき、脱水になった人のほとんどは足の筋けいれんくらいでしたが、一人意識障害を起こした方は救急車に乗りました。

4 脱水になりやすい人と対策

ü  高齢者・・・体液の大部分は筋肉内にあるので、筋肉量の少ない高齢者は脱水になりやすいです。①もともと渇きを感じにくくて飲水量が少ない②薬(利尿剤など)や加齢の影響で尿量が多い③発熱や下痢がある④糖尿病やホルモンの病気(アジソン病・尿崩症など)があるとさらになりやすいです。

慢性的な脱水になると反対にのどの渇きが減り、ふらつきや失神が起きやすくなります。脱水になると血中の薬物濃度が高くなり、ふだんは見られない副作用(睡眠剤が効きすぎる・血圧が下がりすぎるなど)が出てきます。失禁や夜間のトイレを心配して水分をとりたがらない方もいますが、やはりきちんと摂りましょう。

ü  子ども・・・大人より水分量が多く赤ちゃんは70%を超えます。熱発や下痢があるとき、とくに暑い夏は心配です。大人に比べからだが地面に近いので、照り返しの影響を強くうけます。吐き気などで水分が摂りにくいとき、経口補水液(OS-1など)やスポーツ飲料を少しづつ飲ませてください。

ü  アスリート・・・電解質も失われるのでスポーツ飲料(経口補水液)は良いです。持ち運びが大変な人は粉のタイプもあります。塩飴や塩梅もいいですね。レースの時など給水を意識するあまり水中毒(これはこわい!)になることがありますから、おなかがちゃぽちゃぽ鳴る(飲んだ水が吸収できていないサイン)ようなら給水のペースを落としましょう。

 

ねりまインクワイアラー 217 万博どうする?

娘から大阪万博のチケットをもらいました(会社で買わされたらしい)。人混みが苦手だし、暑そうなのがイヤだなー。でも建築は面白そうなのがいっぱいありそうです。たこ焼き・お好み焼きは食べたいけれど。行くかどうか迷っています。電子チケットの発行は評判通りめんどうくさかったです

松ぼっくり通信 2025年 4月号

ビタミンDを作ろう・摂ろう!

微量ですが生きていくのに欠かせない有機化合物のことをビタミンと呼んでいます。そのなか唯一自分の体で合成できるのがビタミンDです。また、気をつけないと不足してしまうのもビタミンDの特徴です。毎年恒例となったビタミンDキャンペーン第4弾です!

1 なぜ不足するのか

いろいろなビタミンがありますが、共通しているのは「毎日の暮らしの中で絶えず使う必要がある」物質だということ。たとえるなら台所のみそ・塩・しょうゆみたいなものです。だから気をつけていないとなくなり困るはずですが、特に意識せずともバランスの取れた食事をしていればかなりのビタミン類が補えています。ところがビタミンDだけは現代の生活(とくに都会に暮らす人)で不足しがちなのです。

なぜなら、私たちのからだは自分でビタミンDを合成できるように組み立てられているからです。生活習慣の変化でほぼ日に当たらずに生活している人が増えたため、ビタミンD不足の人が増えたのだと考えられています。

2 どんな人がビタミンD不足になるのか

太陽光線(紫外線B)があたると皮ふの中でビタミンDが合成されます。そして腎臓で活性化され骨や体中の組織にいきわたっていろいろな仕事をします。国立環境研究所の報告では、夏の東京、お昼ごろなら顔と両手(の面積)に10分日が当たれば一日当たりのビタミンD必要量をまかなえるとされています。

ではみなさんが本当に日光をしっかり浴びているか?よく考えてみましょう。上の報告は直射日光がしっかりと肌にあたった場合の話です。ビルの陰や木陰に入れば著しく効果が薄れます。窓越しの日光では肝心の紫外線がブロックされるのでほとんど効果がありません。衣類や化粧品(サンブロック機能があるもの)の影響も大きいです。スイミングやバレーボールなどのインドアスポーツではほとんど日に当たりません。朝や夕方の日光は紫外線が少ないのであまり効果がありません・・・というように「きちんと日光を浴びている」人は意外と少ないのです。

週に一回1時間のウォーキングをしたとします。両手顔出しでまったく日陰のないところを歩いたとしても、1週間分にはまだちょっと足りません。また寒い季節は太陽光線も弱くなり、厚着の影響もうけますから春夏秋に冬の分のビタミンDをからだに貯めなければなりません。スポーツや肉体労働をしっかりやると骨や筋肉の補修工事にビタミンDをたくさん使うので、意外とビタミンD不足の症状が出やすいようです。最近、東京都の住民を対象に調べたところ98%の人がビタミンD不足だったそうですから、ほぼだれもがビタミンD不足だと言えるのかもしれません。

3 症状は?

コロナ大流行のあたりからビタミンD不足の方が激増しました。多いのはひざなど下半身の痛みですが、手指の痛み・こわばり、肘の痛み、足うらの痛みなどもずいぶん増えました。腰痛やおしりの痛みにもビタミンDが効く人がいます。また五十肩が治らないという相談の時に、ビタミンDが効果的な人がいることにも気がつきました。

サッカー・野球・ラグビーなど屋外スポーツをしっかりやっている人を診たとき、はじめのうち(しっかり日焼けしている人だからビタミンDはいらないだろう!)と思い薬を使わずに様子を見ていました。ところがすっきりしないので試しにビタミンDを処方すると効果的なケースがあることも発見しました。日焼けをすると皮膚内のメラニン色素が紫外線をブロックしますから、過度の日焼けはビタミンD合成にマイナスと考えてよさそうです。

4 ビタミンD補給が必要な人

l  高齢者・・・皮ふ自体のビタミンD合成機能が低下します。屋外に出る時間が少ない方が多いようですから、ビタミンD内服がおすすめです。ビタミンDは骨粗しょう症治療の基本になっています。また食が細い人はビタミンD不足になりやすいので気をつけましょう。

l  閉経期以降の女性・・・骨造成機能のある薬がおすすめですが、ビタミンDはその一つです。痛みなど症状がある人を診たとき、わたしはまずこれを処方しています。

l  屋内作業中心の方・・・在宅ワークの方は要注意です。外に出て日を浴びましょう。ビタミンDの薬やサプリも有効です。

l  運動量の多い方・・・以前東海道を(小分けして)走ったとき、途中から右ひざが痛くなりました。ビタミンDサプリを飲みながらゆるゆる歩いたり走ったりで京都まで行きましたが、今はまったく問題なく走れるようになっています。軽い痛みの原因がビタミンD不足である可能性も考えてみましょう。

l 日光浴ができない・したくない方・・・いろいろな事情や体の問題で日光浴ができない方がいることは承知しています。サケ・サンマ・キノコ類などを食べることでビタミンDを摂れますが、食事だけで十分に補給するのは難しいと思います。ビタミンDサプリは比較的安価で、普通のドラッグストアで買えますからおすすめです。私もサプリを飲んでいます。また日本なら、10分程度の日光浴ではほとんど日焼けしない方も多いですよ。

ねりまインクワイアラー 216 はだしで歩く

暖かくなったので自作のゴムサンダルで歩き始めるつもりです。はだしとほぼ同じ、足うらの感覚が新鮮です。

松ぼっくり通信 2025年 3月号

坐骨神経痛のつきあいかた

坐骨神経痛とは私自身長いつきあいをしています。良くなったり悪くなったりしながらもなんとかやってきました。100キロのウルトラマラソンを走ったり、夜通し山の中を駆け回るレースにも参加できました。でもときどき足がしびれたり、神経痛になったり…これまでの経験からお話しします。

1 坐骨神経痛は悪い病気ではない

中学生のとき、股関節あたりが急に痛くなることがありました。今考えれば、あれは坐骨神経痛(ヘルニアが原因?)だったと思います。大学生のころ、スキーに行ったのをきっかけに左下肢のしびれ・痛みが出ましたが動けないほどではないので様子を見ていました。医師になりたてのころ、からだの重い患者さんを持ち上げてぎっくり腰になりかかりしばらく腰下肢痛が続きました。

といろいろあったけれど、それでも仕事、育児や家事を行い、やりたいスポーツもできたから良かったと思っています。60過ぎてもまあまあからだを動かせているのは幸せだと感じています。

外来で腰下肢痛の相談を受けた時、10中8,9は良くなったり悪くなったりをくりかえしながらもなんとかやっていけるケースです。お医者さんの手伝いも時に必要ですが、坐骨神経痛の経過は一般に良好で、必要以上に怖がる必要はないといえます。

2 症状がおこるしくみ

坐骨神経痛が起きる理由はさまざまですが、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症など背骨の中で神経が圧迫されたり刺激されるケースが大半です。ヘルニアは若い人に多く、脊柱管狭窄症は年配の人に多いですが、ヘルニアの人も年齢が上がるにつれて狭窄の症状が出てくることはけっこう多いです。かつてはヘルニアが一度できると治らないと考えられていましたが、1、2年かけてヘルニアが自然に消えていくケースがあることがわかってきました。

脊柱管狭窄症の場合、変形そのものは何十年もかけてしだいに進んできます。ところがある時点で急に発症してくるのはなぜでしょうか?たくさんの患者さんを診ていて、①背骨をそらす動きが多い②長時間じっとしていることが多いと発症しやすいと感じています。①は姿勢のトレーニング、筋トレやストレッチ②はからだをこまめに動かす習慣作りをアドバイスし、様子を見ます。改善には数週間~数か月かかり忍耐と実行力が求められますが、手術をせずに良くなる方はけっして珍しくありません。

3 手術は必要?

脊椎外科医のトレーニングを受けてきたので手術のやり方はよく知っています。ですが、やらないで済むなら手術をしない方がいいと考えています。腰部脊柱管狭窄症の場合、①はっきりと脊椎に原因があり②手術以外の方法をきちんと行っても効果がなく③日常生活を送れないほど痛みやしびれが強く④全身状態や認知能力がしっかりしており⑤歩きたいという強い希望がある人なら手術で良くなるチャンスが大きいと言えるでしょう。

ヘルニアの場合、非手術的方法が治療の基本になっていますが、痛みが強く仕事や学校生活に支障が大きい場合は手術も考えていいでしょう。タイプによってはメスを使わずに注射でヘルニアを吸収する方法も開発されています。また下肢痛の原因が関節・筋肉・じん帯の痛みのこともありますから、手術を受ける前にほかの原因がないかきちんと診てもらうことも必要と思います。

4 私が考えるつきあいかた

坐骨神経痛では、ほとんどの方の症状が改善し元気に動けるようになります。でも脊椎の年齢的な変化は必ず残りますから、再び痛みが出にくいように体づくりを心がけましょう。

l  からだをやわらかく・・・脊柱管狭窄症の人はとくに股関節、それも後ろ方向に股関節が伸びるようにストレッチをしましょう。ただし股関節を伸ばそうとして、背中を一緒に反らすと逆効果になりますから気をつけて。ヘルニアの人は太腿うらの筋を伸ばすといいでしょう。

l  姿勢に気をつけよう・・・反りもせず前こごみにもならない姿勢がベストです。年をとると自然に姿勢が丸くなってきますが、ベストの姿勢は年齢によって変化します。若い人のように立つことを意識し過ぎず、自分にとって無理のない姿勢をとることを心がけます。ヘルニアの人は前こごみの姿勢・作業を長時間続けないように。

l  ちょこまか動く・・・ずっと椅子に座り続けたり、長いこと立ち続けたりはまずいです。でも通勤はするし、仕事をするのにどうすれば?ちょっとしたことでもすぐに立ち、すぐ戻りましょう。立っているときはときどき背骨を前後左右に曲げ伸ばしして楽な位置が見つけます(コツがあるので私やスタッフに聞いてください)。

l 有酸素運動を・・・神経内の微小な血行障害が発症の要因とも考えられています。毛細血管の血行を良くするために、息が弾み汗ばむくらいの運動を習慣にしましょう。

 

ねりまインクワイアラー 215 歩行のリズム

1分あたりの歩数は100-120歩と言われています。年をとると歩くリズムが乱れがちになりますが、、スマホアプリのメトロノームを使えば、リズムよく歩く練習ができます。