目白ヨシノ治療院

目白ヨシノ治療院は新宿区下落、目白駅から徒歩3分、マニュアルメディシンを用いたマッサージ、手技治療,リハビリの専門治療院です。病院では特に問題のなかったつらい症状、日常生活で困る痛み、肩こりや腰痛、首の痛み、またはよく分からない目の奥の痛みや頭痛など機能障害に関する問題の治療を行っています。

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松ぼっくり通信電子版
高野台松本クリニックの院長、松本不二生(ふじお)先生が体にまつわるあれこれを書いた松ぼっくり通信。読めばカラダに役立つ、読むサプリです

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℡03-5372-7773

(整形外科・リハビリテーション科・漢方外来

松ぼっくり通信

松ぼっくり通信 2017年 3月号

わかりにくい考えと向き合う

あたりまえだと思っていたことがちがうと言われた。自分の考えた理屈と全然あわないのでついていけない。聞いたこともないので判断に困る。予想もしない話を聞かされた時、こういう風に感じるのは人間の本性です。直感や経験をねじふせて理論や理性だけで判断することは、私たちの得意分野ではありません。

ではありますが、それではまずい!場合があることをお話しします。

1 「母親たちの救い主」ゼンメルワイスのはなし

  19世紀中ごろのオーストラリア・ウイーンの出来事です。産科医のゼンメルワイスは、同じ病棟で分娩を行った女性のうち産褥熱で亡くなる人の割合が、助産婦の介助に比べ、医師の介助のときに10倍も高くなることに気づきました。当時の医師は別室で素手のまま解剖を行い、特別に手を洗うことなくそのままお産の介助をするという習慣があり、ゼンメルワイスはこれが原因ではないかと考えました。そこで試しに医師がお産の前には必ず石炭酸で手を洗うようにしたところ、産褥熱による死亡率が劇的に下がったのです。産褥熱の原因を医師が手を洗わないからとした発表はセンセーションを引き起こしました。発表の内容は筋道の通ったものだったのですが、医師たちの反発は大きく、ゼンメルワイスは仕事を追われたばかりか肉体的な暴力がもとで命を失いました。

 まだ細菌の発見以前であり、何が産褥熱の原因になったのか完全に説明できなかった点もあげられますが、なによりも医師が患者を殺したことになるという主張がどうしても世間の感情に受け入れられなかったのです。

2 常識は経験則に過ぎない

 これほど劇的ではありませんが、最近では傷の消毒について考え方が大きく変わってきました。わたしが学校を出たころは、傷にはヒビテンやイソジンなどの消毒薬を塗るのが一般的で、医師でこれを疑う人はいませんでした。ところが、近ごろは傷そのものに消毒薬を直接塗ると健常な組織を傷めるので塗らないほうが良いという考えが主流になっています。また抗生物質の使い方も変わってきました。以前はとりあえず感染予防に抗生物質を処方するのがふつうでしたが、今では予防的投与はできるだけ少なくして耐性菌を作らないことが大事だと考えられています。医学の世界だけでなく、世の中のあらゆる分野で昔の常識と今の常識がちがっていることはめずらしくありません。わたしたちがあたりまえと思っていることのかなりの部分は、「みんながそう思っているから、わたしもそう思っている(気になっている)」のです。たいていの場合、それでうまくいき誰にも文句を言われないのですが、環境、気候、経済や科学の進歩など新しい変化により今までの常識が通用しなくなる時があります。それに最初に気づき、声をあげられる人こそほんとうに考えている人です。常識にとらわれず、事実から推論を組み立て、新しい考え方を生み出せること。私たちはできているでしょうか?

3 本能やカンばかりではまずい

 まだ飛行機が発明されて間もないころのことです。四枚羽の複葉機が一般的で、エンジンが非力なため操縦は難しく、墜落も珍しくありませんでした。墜落の一番の理由は離陸直後のエンジンストップで、パイロットはあわてて引き返そうとします。危険を感じたら基地に引き返そうとするのは自然な反応ですが、回旋することでさらに失速し、墜落する事故が後を絶ちませんでした。飛行機の物理学を理解していれば、エンジンが止まった時はそのまま真っ直ぐに滑空して前方の空き地のどこかに不時着するのが一番安全で、パイロットは本能に逆らってそのまま飛び続けなければなりません。人間の本能は役立つことも多いのですが、このように論理的に(つまり理屈っぽく)ふるまわないとマズイ!という場合があります。学校で習ったリクツは実生活に無縁だと思っている人はどこかで損をしている可能性が高いです。 

4 プロを活用する

 スマートフォンやネットを使っている人は多いですが、そのしくみがわかっている人はめったにいないでしょう。それでもふつうに使えているのはいざというときに専門家がいるからです。平安や鎌倉時代なら一人でカバーできる技術は広範囲にわたりますが、情報が爆発的にあふれた現代に本当の専門家になるためには、かなり狭い領域を深ほりしていくことが必要です。専門馬鹿は問題ですが、専門家を尊重することも学ばなければなりません。プロ(専門家)の意見はときにあなたの直感や常識に反することがあります。期待した答えではない可能性もあります。それは深い専門知識があってのことで、ちょっと聞いただけでなぜかはわからないかもしれません。自分の知識だけで専門家の良し悪しを判断するのは慎重にすべきです。わたしも自分の仕事以外はまったくの素人ですから、何かわからないことがあったらネットや本で調べるとしても、最後はきちんとしたプロに相談することが必要だと考えています。

 

ねりまインクワイアラー 123 重力波

 アインシュタインが予言した物理現象の中で最後まで確認できなかったのが重力波です。物と物が引き合う力=重力は物と物の間にある空間のゆがみによって生じます。このゆがみは一種の波のようなもので、空間を伝わっていきますが、今まで観測することができませんでした。近年重力波を検出できたという報告が続いており、ノーベル賞の取沙汰もされています。何の役に立つのかな?今のところ誰にもわかりませんが、無重力装置やタイムマシンの発明につながるかも!と期待しています。

松ぼっくり通信 2017年 2月号

筋肉痛とつきあう

 よくある話ですが、「筋肉痛が原因」と説明されて、「じゃあ、ほっといてもいいんですね?」と聞いてくる患者さんがいます。なかにはもっと深刻な病気があると思って受診したのに、筋肉痛と言われてがっかりする人もいるようです。いいえ、筋肉痛なら治療がいらないということではないし、軽くあしらっているのでもありません。また、なかなか取れない頑固な痛みが筋肉痛の場合もあります。誤解の多い「筋肉痛」の話です。

1 ほっといてもいい筋肉痛とは

運動不足なので久しぶりにハイキングに出かけたら、帰ってから二三日は体のあちこちが痛かった。こんな経験は誰でもあります。からだはふだん使っている状態に合わせて体を作ります。たくさん動いている人にはたくさん動いても大丈夫なように骨や筋を強化していきます。あまり体を動かさない人では、今の暮らしに耐えられるくらいの強さにしかならず、いつも以上の運動をすると筋肉や腱の組織にダメージが生じ、痛みを自覚します。一般的な筋肉痛とは、こういった2・3日で治る軽いダメージのことです。

 さらにきついダメージが残ると、1・2週間筋肉痛が消えないことがあります。これがDOMS(ドムス=遅発性筋痛)で、筋肉にかかる負担が強すぎて筋肉細胞がところどころダメになっている状態です。ダメになった筋肉細胞は壊死しますが、そばにある予備細胞が発達してもっと強い負担にも耐えられる筋肉細胞に変わります。これを続けていくといわゆるアスリート体形になり、ボディビルダーのように極限まで筋肉を増大させることも可能なのです。DOMSも基本的に体の修復システムの一部ですから、うまくいっている限りお医者さんが関わることはありませんが、ときに痛みが残ることがあります。

2 筋肉痛が長引いたとき 

からだの修理が進まなかったり、修理するたびにじゃまが入ったりすると「いつまでも痛みが残る」状態になります。

栄養のアンバランス、睡眠不足や過剰なストレスなど治癒のメカニズムを阻害する理由はたくさんありますが、筋肉の場合、運動方法の過ちが治りを遅らせる大きな理由になります。オーバートレーニング(運動のやり過ぎ)、ミスユース(誤用、フォームの問題や誤ったトレーニング法)やディスユース(使わないと弱くなること)があると、故障した部位がなかなか回復せずいつまでも痛みが続きます。痛みの個所を調べると、筋肉内にひきつれやしこりが残り、引っぱられたり押されると痛むようになります。こういうときにストレッチやマッサージが効果を発揮します。

3 肩こりは筋肉痛?

 ただし、はり・こり・筋肉痛の診断は意外とむずかしいです。例えば肩こりの治療でマッサージを受けたがなかなか良くならないという相談は多いのですが、調べてみるとくびの骨(頸椎)やせなかの骨(胸椎)に故障が見つかることがあります。神経のつながりではり・こり・痛みを感じるが、筋肉そのものは硬くなっていません。くびや背中の治療で症状が取れてくると、患者さんも納得してくれるようです。同じように太ももやふくらはぎに痛みがあって、筋肉を押すと痛むという相談はたくさんありますが、腰のヘルニアや脊柱管狭窄症がほんとうの原因であることもめずらしくありません。ほんとうのこり・筋肉痛なのか、神経痛なのかで治療法はちがってきますから、「こったから、押すと痛むから筋肉のマッサージ!」と決めつけないことです。

4 筋肉痛とつきあう

 はじめにお話ししたように、体を日ごろ動かしていない人が久しぶりに運動することで筋肉痛になるのはあたりまえであって、むしろトレーニングになった!!と思っていいでしょう。若い人・運動を定期的にしている人ならDOMS(遅発性筋痛)のレベルまで追い込むのもありです。でも運動不足や高齢の人は?私の経験をお話ししましょう。生まれて初めてフルマラソンを走った後の1週間、筋肉痛のために階段が登れず、横断歩道を渡り切れず大変困りました。それなりに練習を積んでこうなるのですから、人によっては筋肉痛と疲労で寝たきりになることもあると思います。ちょっとしたはりや痛みを感じるくらいならオーケー、でもやり過ぎには気を付けながら体を動かしていきましょう。

ねりまインクワイアラー 122 マイナースポーツは究極の遊び

 今まで紹介したもの以外にも、世の中に知られていないスポーツはいっぱいあります。どこかの街角で、ごく親しい友達だけでする遊びでも、それなりのルールがあって楽しく参加できるならそれはスポーツです。どれだけ上達してもやっていない人にはそのすごさがわからないし、有名人にもお金持ちにもなりません。体力や反射神経の向上に役立つかもしれないけれど、それはおまけです。きつかったり難しくなくてもスポーツになりますし、ボッチャのように体力より頭脳勝負のものだってあります。ポケモンゴーも、将棋や囲碁も広い意味でスポーツです。

 楽しくて好きなことをみつけてチャレンジしているなら、あなたも(マイナー)スポーツマンというわけです。

松ぼっくり通信 2017年1月号

 「老い」に負けない5箇条

 年の初めにはみなさんに元気を与えられるお話をしたいと思っています。最近は自分でも年かな?と思うことがあるので、ちょっと切実な気持ちで書いてみました。

 

1 受け入れることはあきらめることではない

 20代以降は基本的に老化のプロセスが進行していますが、急に故障がでても自然治癒力がはたらいて「なんとかなる」ことがほとんどです。でも完璧にもどるのではないことも理解しましょう。故障がなくても、からだがなし得る最大のパフォーマンスは落ちていきます。例えば最大心拍数は毎年二拍ずつ下がっていきますし、100メートル走のスピードは年齢が上がるごとに落ちていきます。誰にもこういった老化の影響がでることはさけられません。

しかし、平均的な暮らしをしている人ならば相当な伸びしろが残されているのも事実です。ジョギングを続ければ体は軽くなり、息切れしそうな階段を駆け上れるようになります。ダンスを続けていけばはじめはぎこちなかった動きが滑らかになり、羽が生えたような軽やかな動きができるようになるでしょう。あせらずにストレッチやヨガを続けていたら、だれでもからだは柔らかくなります。バーベルをほとんど持ち上げられない人が地道に続ければ、必ず持ち上げられる日が来ます。何歳からでもその気さえあれば人には伸びしろがあります。あきらめずに続けていく。若い人と同じにはいかないけれど、今の自分ができることをする。老化を理解しながらも、あきらめないで続けていくことです。

2 発想は柔軟に

 野球やテニスをずっと続けてきたが、肩を痛めてサーブや投球がちゃんとできなくなってしまった。ランニングを長年やっていたが、走ると膝が痛むようになった。こういった相談は珍しくありません。こまかい診断は省きますが、一時的な休養、練習内容の調整、動作やフォームのくふう、ストレッチや筋力強化などの補強やクロストレーニング(ほかの運動を取り入れること)など、運動再開に向けてできることはたくさんあります。

 自分が望むようなレベルで練習や競技ができないから、そのスポーツと全くちがうことに挑戦するのも手です。ほかのスポーツに限らず、音楽や絵画などの芸術活動、園芸やボランティア活動に参加するのもありです。まったく料理や洗濯をしなかった人がそれに挑戦してみることも立派です。自分はこうである、こうしなくてはいけないという思い込みにとらわれている人は、いちどそこから離れてみることです。心が自由になると、結果的にからだも楽になり健康にも良い効果が生まれます。 

3 健康番組とあなたの健康は別物

 テレビや雑誌の健康番組は見るとおもしろく、「へーそうなんだ!」と引き込まれます。番組制作のプロはやっぱりすごいですね。でも中身をすぐに自分にあてはめることはやめましょう。あれはあくまでもショー番組です。おもしろい切り口をとらえることと、一人一人の健康に責任を持つことはまったく別の仕事です。同じくネットの内容も慎重に吟味してください。わかりやすい主張がいいとは限りません。宣伝や偏った意見のほうが目立つし数が多いものです。自分は影響を受けやすいと思う人は、テレビの健康番組やネットの記事を見ないほうがいいかもしれません。

4 怒らない

 五千年前のエジプトの碑文に「今の若いものは…」と書いてあったそうです。いつの時代も年寄りは怒りっぽいイメージがあるようです。でも、そんなに怒らなければいけないことってあるのでしょうか?じつは怒っているのは、自分がイライラしているからでは?苦手だったり、自分が理解できないことに直面したり、忙しくて手が回らなくなったりしたときに怒る習慣ができていませんか。怒る前に相手の立場になって考えていますか?私自身も反省するところ大です。感情的に怒ることは脳の回路がショートしたのと同じであり、あなたの脳(そして心)にもよくありません。怒らずに考えることは、脳の機能訓練・リハビリととらえましょう。

5 「幸せ」だけを追い求めない

 脳の中にはエンドルフィンという「幸せホルモン」があって、これがたくさん作られると人は幸せを感じます。体のほかの部分と同じように、活発に働くタイミングと休養するタイミングが交互に訪れることで脳のバランスが保たれています。言い換えれば、いい時と悪い時が交互に訪れるのが正常な状態です。風の中に花の香りを感じたり、いつもよりおいしく料理が出来上がったり、美しい景色に出会ったり、小さな幸せを見逃さないようにしましょう。五感を刺激するために外に出かけましょう。足が疲れるからこそ、行った価値があります。苦労したからこそ、やった価値が生まれます。受け身ではなく、自分から働きかける。人に言われるのではなく、自分で面白いものを見つけていく。「いやだ」「やったことがない」「いまさら」と言わないで、新しいことにチャレンジしていきましょう。

松ぼっくり通信 2016年12月号

神経障害性疼痛のはなし

 武田鉄矢さんのCMをご覧になった方は、シンケイショウガイセイトウツウって何だろうと思ったのではないでしょうか。診察中にはなかなかじゅうぶんに説明できていない気がします。あらためてお話しします。

1 痛みには種類がある

 たんこぶ、切り傷や骨折など。こういうわかりやすい痛みのことを、侵害受容性疼痛(しんがいじゅようせいとうつう)と呼びます。痛みを感じる神経の末端が刺激を受けて痛みを感じます。ところが神経障害性疼痛では、神経そのものに故障が起きて痛みがおきるので、神経が通っている部分(末端部)には何も問題がなく痛みを感じます。世間一般で神経痛と呼んでいるもの、帯状疱疹後の神経痛や特殊な痛み(片手症候群・CRPS・視床痛など)がこれに入ります。

 もうひとつ、忘れていけないのが心因性疼痛です。この場合も痛みを感じる部位には本当の故障は見つからず、心理的な原因のために痛みを感じます。気のせいではなく、この痛みはほんとうに痛いのです。痛みが起きるしくみははっきりわかっていませんが、脳の過敏性や筋・血管の攣縮が関係していると考えられています。

 これとは別に急性疼痛と慢性疼痛という分け方もあります。けがや病気のために痛むものは急性疼痛ですが、けがや病気が治ってから時間がたっても痛みが残る場合を慢性疼痛と呼んでいます。慢性疼痛ではいろいろな痛みが混じっているといわれていて、治療にいろいろ工夫が必要です。

2 神経は電気配線 

 神経障害性疼痛がわかりにくいのは、痛みの原因の場所と感じている場所が同じでないからです。

 頭の中でステレオセットを想像してみてください。ラジオやCDを操作する本体と左右のスピーカーは配線でつながっていますね。本体から配線をつたわって電気信号がスピーカーに流れ、音楽を楽しむことができます。どちらかのスピーカーが鳴らなくなったとしたら、①スピーカーが壊れた②つないでいる配線が途中でおかしくなった③本体が故障した④電源コードが抜けていた⑤停電などいろいろ原因を考えつくと思います。神経障害性疼痛はこのうちの②(一部③も入る)にあてはまります。スピーカーはまったく壊れていないが、配線に問題があって音が出ない場合です。むしろ接触が悪くて音が変になっている状態といったほうが近いかもしれません。

 肩が痛いのに首に原因があったり、膝が痛いのに腰に原因があったり、神経障害性疼痛はよくあります。とくに年齢が高くなり、背骨の変形が進んでくるとちょっとしたことから神経痛がおきてきます。本人にしてみると本当に肩や膝が痛むので、原因が別のところにあると言われてもすぐに呑み込めないのもわかります。痛みそのものは目に見えるものではないので、なおさらわかりづらいと思います。正直に申し上げると、お医者さんたちにとっても判断が難しいことがめずらしくありません。

3 神経障害性疼痛のみわけかた

 コマーシャルで言っているように「じんじん」「びりびり」「ちくちく」とした痛みが代表ですが、「ずきん」と刺し込むような痛みのこともあって、感じ方だけで区別するのは難しいです。背骨の変形やヘルニアが原因の場合、姿勢や体の動かし方で痛みが変化するので、患者さんにいろいろな格好をとってもらって痛みの度合いを聞いていきます。

 実際にはかなり細かい観察が必要になります。たとえばひざがしゃがんだり立ったりするときに痛むという人を診るとします。立った状態からしゃがむとき、腰椎も反る動きをするので、脊柱管狭窄症のある人では神経痛としてのひざ痛がでることがあります。もちろん膝関節の炎症がある人も屈伸で痛みますから、パッと目にはどちらも同じ症状です。そこでさらに腰や膝の細かい動きを観察してどちらがほんとうの原因かを考えます。

 あたりまえでもすごく大事なのがひざ(痛みを感じる部位)をきちんと診ることです。ひざに熱や腫れがあれば膝に問題があることがはっきりしますから、神経痛の可能性は低くなるというわけです。

4 良くするには

 すり傷を治すには、上にばんそうこうをあてて傷を保護し、皮膚がもとに戻るのを待ちます。神経痛を回復させるのも基本はすり傷と同じです。傷ついた神経が回復しやすいように、せぼねの動きや筋肉の使い方を練習します。神経に無理のない動き方を続けていれば、次第に神経は回復してきます。そのために、患者さんが積極的に治療にかかわることが必要です。注射や薬だけではなかなかすっきりしないことが多いので、人任せにせず、自分がやれることをやりましょう。かたい体は柔らかくし、弱った筋肉は強くする。病院で指導はできますが、やるのはあなたです。地味な努力をつづけることが結果に結びつくといえます。

松ぼっくり通信 2016年11月号

実践ウォーキング

ウォーキング(歩行)の効用はむかしから言われていますが、気晴らしとして歩くのか、ダイエットあるいは体力増進のためなのか目的によって歩き方はちがいます。自分にあった歩き方を見つけるためのアドバイスです。

1 ウォーキングはスポーツ?

  楽しみながら体を動かすことができればそれはスポーツです。弓道やアーチェリーのきつさはウォーキングと同程度ですが、スポーツと認知されています。ふつうの歩行(時速4キロ)で運動強度が3メッツ(基礎代謝の3倍)くらい、ソファに腰かけてテレビ鑑賞をしている時が1.5メッツですから、じっとしているときの2倍は動いていることになります。いっぽう、階段を上ると7メッツ、ランニングで9~11メッツぐらいなので、ランニングと比べれば1/3~1/4のきつさです。言い換えると、ランニング30分と同じカロリーを消費するためにはウォーキングで1時間半は歩かなければいけません。のんびりと景色を眺めながら歩いたり、犬と一緒に散歩すれば時速2キロくらい、ランニング30分と同じカロリー消費のためには3時間以上歩かなければいけない計算です。犬といっしょに走っている女性をみかけたことがありますが、あれなら相当な運動量でしょう。歩くスピードが時速8キロを超えるとランニングよりきつくなる(カロリー消費が上回る)ことがわかっています。のんびりとジョギングしている人やゆっくりとした自転車を追い抜くスピードですから、歩くといえどかなり速いといえます。

以上を考えると、しっかりとからだを動かしカロリーを消費したいならランニング、安全に、体に負担をかけずに動きたいならウォーキングが良いと言えるでしょう。

2 知っておきたいこと

 ウォーキングに向く靴があると聞くと、歩くのに向かない靴なんてあるの?と不思議になります。ちょっと昔の田舎では、はだしで歩き回るのは珍しくありませんでした(私も経験があります)。でもそのころの道は草の生えたあぜ道や土の道(集落の道はそれがあたりまえ)だったので、足には優しかったのです。今の道はアスファルト舗装がほとんどですからはだしで歩くには硬すぎます。長く安全に歩くには適度なクッションと体重がうまく分散できるような中敷きや足を保護できる外革が必要です。現代の道路を長い時間歩き続けるためには、スポーツシューズ(ウォーキング・ランニング用)をはくのが現実的と思います。

 ところで歩くとき、自分の歩幅はどれくらいか知っていますか。100メートルを150歩の割合で歩くと一歩は約67センチ(100➗150=0.67)となるように、決められた距離を何歩で歩くか知ることで自分の歩幅を計算することができます。一般には身長の3〜4割の歩幅ですが、後に述べるパワーウォークでは4〜5割まで歩幅が伸びます。むりに歩幅を伸ばそうとすると身体のかなり前方で足が着地することでブレーキがかかって足や膝に無理がかかり、故障しやすくなります。股関節から先は余計な力を抜くようにして、自然な振り出しで足が着地するようにすれば疲れにくくスムーズな足の運びができるはずです。

3 目的別のウォーキング

ダイエット 短時間でできるだけ多くのカロリーを消費するためには楽であるよりも「たくさん汗をかく」ことが必要です。そのためには、手足を大きく動かしてできるだけたくさんの筋肉を使う必要があります。これがパワーウォークと言われるもので、慣れてくると軽いジョギングと同じか少し速いくらいまでスピードが上がります。脂肪の燃焼を促進するために息がきれない程度のペースで、毎日30分以上歩くのがコツです。

体力増進 持久力をつけたいのなら長く歩くことを心がけます。足腰のバネを強くしたいのなら階段や坂道など起伏のあるところを歩きます。上半身の筋力をつけるにはノルディックウォーキングが最適でしょう。両手にスキーストックに似た杖を持ち、上半身の筋力も利用して歩きます。最近では高齢の人が「転ばぬ先の杖」代わりに使うこともあります。以前山道を十数時間かけて歩いたときには両杖の効果を実感しました。山道を歩くトレッキング、楽しみを兼ねてのハイキングも効果的です。

気晴らしとして 雲を眺め、鳥のさえづりを聞き、花を愛でる。いつもの散歩道から少し足を伸ばしたり、電車で降りた先で歩いてみる。美味しいと評判のパン屋さんやお菓子屋さんを目標に歩いてみる。何をするかは人それぞれです。楽しいと感じることが脳を活性化させ、食欲が増し、寝つき良く寝覚めもすっきりさせてくれるでしょう。気が向いたら、3分だけ速歩で歩いてみましょう。これがインターバル速歩と言われるもので、気軽にできるのに筋力・心肺機能の向上が得られる方法です。むずかしく考えず、まずは歩いてみましょう。何をするか、何をしたくなるかは感じるままに、自由にやればいいのです。